2021.08.14

エースの証である『背番号5』…大阪薫英の宮城楽子は「ふさわしいプレーヤーになりたい」

力強くスピードのあるドライブが武器の宮城[写真]=伊藤 大允
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「勝ててうれしいです!」

 試合後に笑顔でこう声を弾ませたのは大阪薫英女学院の宮城楽子(3年)。

「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会」の準決勝、残り50秒で逆転となる3ポイントシュートを決めた殊勲の選手だ。

 2年前と同じ対戦となった岐阜女子高校(岐阜県)との試合は白熱した展開に。その中で宮城は3ポイントシュート2本を含む18得点を挙げて、チームの勝利に大きく貢献した。

「私はメンタルが弱くて、シュートを落としたら、落ち込んでしまっていました。でも、今日は落としても、『それはいつも通り』と思うようにしていたので、開き直って打てたことが良かったと思います」と宮城は、試合を振り返った。

 今大会、ここまでの5試合で平均得点は18.2点。特に関東で強さを誇っていた昭和学院高校(千葉県)との3回戦では、第1クォーターから相手の戦意をくじくような鋭いドライブを見せて24得点。山場となった試合でチームに勢いをもたらした。

 その試合後、宮城の活躍に「薫英の5番でしたね」と発したのは安藤コーチだ。

 薫英の5番――。

 6年前に名門チームを引き継いだ安藤コーチは、チーム内での5番の位置付けをこう話す。

「エースという感じです。私が薫英に赴任した年に付けていたのが澁谷咲月(東京羽田ヴィッキーズ)。翌年が髙原春季(アイシンウィングス)と、その後もエースの仕事していた選手たちが付けています」

 その栄誉ある背番号を背負った宮城だが、実は準優勝となった6月の「令和3年度 第68回近畿高等学校バスケットボール大会」では、背番号5を付けていない。この頃の彼女に対し、安藤コーチは、「今の状況で5番は…」と語っていた。

「気持ちが出過ぎて勢いだけでやってしまう」(安藤コーチ)ところがあり、プレーをうまくコントロールできない宮城に、指揮官はさらなる成長を求めていたのだろう。それでも、インターハイでは期待を込めて5番のユニフォームを宮城に授けた。

「薫英の5番にふさわしいプレーヤーになろうと思ってやってきました」と、その思いに応えた宮城。近畿大会での敗戦も踏まえ、「シュートを落としてもいいからとにかくリングに向かっていこうと思っていました」とインターハイに懸ける思いを語ってくれた。

 ここまで、薫英の5番にふさわしい働きをしている宮城。今年は2年生の都野七海がキャプテンを務めるため、「プレーで引っ張っていければ」と力を込める。

 今日の準決勝、競った状況で迎えた終盤に「(宮城と佐藤双羽の)3年生2人が声を出していました。それは今までの3年生になかったこと」と安藤コーチは3年生の変化を口にする。その宮城は「インターハイに来てから、全員まとまって勝とうという意識を持ってできています」と胸を張った。

「ここまできたら日本一を取りたいので、薫英のバスケットをして勝ちたいと思います。(決勝は)思いっきり、楽しみたいです」(宮城)

 楽子という名前の通り、バスケットを楽しみながら、薫英の5番は、チームを夏の頂点へと導こうとしている。

宮城はアグレッシブなプレーでチームに活力をもたらす[写真]=伊藤 大允

写真=伊藤 大允
取材・文=田島早苗

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