ボール運びにパス、ポストプレーや3ポイントシュート、そしてリバウンドと、札幌山の手高校（北海道）の2年生キャプテンである森岡ほのかの役割は多い。

オールラウンドな動きを見せる森岡は、昨年のウインターカップでも主軸を務めベスト4入りに貢献。だが、この時は3年生に点取り屋の舘山萌菜（白鷗大学1年）がおり、「リバウンドやルーズボールは先輩たちがカバーしてくれていた」と振り返る。しかし今年は、「チームの台所事情が」と上島正光コーチが言うように、他の主力選手のキャリアがまだ浅く、どうしても森岡にかかる負担は大きくなってしまう。

それでも森岡自身は、「2年生になったので、ルーズボールやリバウンドで粘り勝ちできるように練習をしてきました。もっと私が点を取りに行かないといけないので、ボールを持ったら常にリングを見て得点をしていきたいです」と力を込める。

町田瑠唯（富士通レッドウェーブ）、長岡萌映子（トヨタ自動車アンテロープス）、東藤なな子（トヨタ紡織サンシャインラビッツ）のオリンピック銀メダリスト3人を輩出した札幌山の手は、指揮を執る上島コーチの型にはめない指導で、個性を生かしながら、これまでトップレベルの選手を育ててきた。それだけに上島コーチは、森岡に対してもあらゆる可能性を引き出している最中なのであろう。実際、上島コーチの森岡評は「パスの目がある」だ。

森岡本人は、「瑠唯さんのような強くて正確さのあるパス、なな子さんのようなディフェンスでの粘り強さ、萌映子さんのリバウンドの強さを真似したいです」と語り、「クイックネス、スピードがまだない」と冷静に自身の課題を挙げる。

指揮官も同様に「まだ2年生でスキルも体力もあるわけでないが、よく頑張っている。意欲がある選手で、しなやかだし、3ポイントシュートも入るようになってきました」と言いならがも、「後はクイックネス」と分析する。

札幌山の手は勝ち上がれば2回戦でインターハイ準優勝の大阪薫英女学院（大阪）と対戦。決して楽な組み合わせではないが、無限の可能性を秘める森岡が、強豪チームにどう挑むのか、期待がかかる。

文＝田島早苗