2021.12.24

実践学園の新井翔太が高校生活を総括「チームのみんなで戦うことの重要性を学べた」

激しいマークにあいながら実践学園の新井はシュートを放った [写真提供]=日本バスケットボール協会
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 2点ビハインドの場面、残り時間は20秒を切った。実践学園高校(東京都)は同点、もしくは逆転を狙いシュートを放つ。しかし、ボールはリングを通過しない。それでもリバウンド、ルーズボールを奪いシュートを打ち続ける。この間4本のシュートを放ったが、最後にエースの新井翔太(3年)が放ったシュートがリングに弾かれると、リバウドをキープしたのは相手チーム。そして、試合終了を告げるブザーが無情にも鳴った。

 12月24日、「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の2日目第5試合に登場した実践学園と駒澤大学附属苫小牧高校(北海道)。前半は効率的にシュートを決めた実践学園が48−40とリードを奪ったが、後半、そのシュートが落ち始めると、駒大苫小牧の粘りにあう。

 第4クォーターの開始早々に同点となれると、そこから一進一退の展開に。残り49秒、駒大苫小牧の大山未南斗にシュートを決めら72−74とビハインドを背負うことに。実践学園はこの2点を覆すことができず、1回戦で姿を消すことになった。

 試合後、メディア対応した新井は「前半は自分たちの流れでいい試合ができていたのですが、第3クォーターに自分を含め、チームの雰囲気が悪くなって。こういう時に自分がシュートを決めないと乗れないチームなので、こういう結果になったのかな」と悔やんだ。

 実践学園は新型コロナウイルスの影響を大きく受けたチームと言えるだろう。昨年の大会では棄権を余儀なくされ、今夏のインターハイもコートに立てなかった。それだけに高校生活最後の大会に向け、「チーム全体でもコロナにかからないようにケアしてきて、やっと出られた試合だったので。(敗れはしたが)チームのみんなも楽しく試合ができたかなと思います」と振り返る。

 3年前の山口全中(全国中学バスケットボール大会、山口市開催)で新井を含めた実践学園中学のメンバーは優勝を果たした。中学時代の新井は同時からエースとして、時にはセルフィッシュと思えるシュートを放ったが、それは勝利を呼び込むためのプレーだったにほかならない。しかし、この3年間で新井のプレーは変わっていた。

「高校になると相手チームに留学生など大きな選手がいることもあり、なかなかフィニッシュまで行けなかったので、そこでチームメートに頼ることが多くなりました。自分だけで試合を完結するのではなく、チーム5人全員で戦おうという意識がついたと思います。中学の時から一人では勝てないのはわかっていたのですが、高校に入ってからよりチームメートの大切さ、チームのみんなで戦うことの重要性を学べました」

 自身の成長を感じた高校生活を経て、「今度は大学で日本一を目指します」と前を向く。これからの4年間で何を学び、またさらなる成長を遂げるのだろうか。

文=入江美紀雄

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