2021.12.29

福岡第一の轟琉維…「力不足を実感した」冬を経て、日本一のエースガードを目指す

轟は準決勝で14得点8アシストを挙げるも、61-67で帝京長岡に敗れた[写真提供]=日本バスケットボール協会
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 福岡第一高校(福岡県)の「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は3位で幕を閉じた。

 決勝進出をかけて行われた準決勝の相手は、インターハイ2位の帝京長岡高校(新潟県)。試合は第3クォーターの10分を8-20とされてリードを許す展開となったが、そこから粘りを見せて試合終了残り1分58秒で同点に追いついた。同40秒で61-63となった時点で、井手口孝コーチはタイムアウトを請求。指揮官が同点、あるいは逆転シュートを託したのは今年の攻撃の要である佐藤涼成(3年)と轟琉維(2年)のガード陣だった。

「(得点が取れる選手が)轟か佐藤しかいないので、2人のどちらか、ということを指示しました」。井手口コーチの期待に対し、実際にシュートを試みたのは2年生の轟。トップの位置から1on1を仕掛けてゴール下に侵入し、205センチのコネ ボウゴウジィ ディット ハメード(2年)の前からワンハンドシュートを放ったが、リングの奥に当たりリバウンドを取られた。一方の帝京長岡は、このリバウンドからハメードの豪快なダンクシュートにつなげ、とどめを刺した。

「自分と涼成さんでしっかり決めきらなきゃいけなかったんですけど、自分の力不足でシュートを外してしまいこのような結果になってしまって、本当に申し訳ないと思っています」

「スピードは少しだけ通用したと思いますけど、自分の力不足をすごく実感しました」

「ガードとして決めないといけないショットを外して、取らなきゃいけないリバウンドやルーズボールも取られてしまったので、基礎からしっかり取り組んでいきたいです」

 目標としていた日本一にはあと2勝足らず、轟からは反省の弁ばかりが並んだ。

 それでも、今年2ガードを組んで福岡第一の攻撃を引っ張ったゲームキャプテンの佐藤は、この経験を経て後輩ガードがさらなる進化を遂げてくれることに期待を寄せる。

「井手口先生も轟のことをすごく信頼していますし、僕が見た感じではこの大会でもほかのチームのガードよりも技術もIQも優れていると思いました。あの身長(168センチ)ながら日の丸を背負えるような凄いプレーヤーになると思うので、これからも注目してほしい選手です」

 福岡第一の背番号8を背負ったことで、周りからは河村勇輝(現・東海大学2年)と比較するような声もある。轟自身も「憧れの存在ですし、目標にしている選手」と口にしているが、彼にはそんな声を気にせず、これからも自らが求めるガード像を描いてほしいと思う。

「来年は、今年の涼成さんのように積極的に周りに声をかけて、自分がエースとしてしっかりチームを勝たせられるような選手になりたいと思います」

 “河村2世”ではない。自らが描く轟琉維になるために、168センチの高速ガードは静かに牙を研ぎ続ける。

文=小沼克年

大会屈指のガードコンビとして福岡第一をベスト4へと導いた轟(左)と佐藤(右)[写真提供]=日本バスケットボール協会

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