2022.06.17

「長い夏になりますが走り込みとスキルアップをテーマに」…IH出場はならずも、冬の連覇を狙う福岡大附大濠

インターハイは不出場となったがウインターカップで再起を誓う福岡大附大濠の片峯コーチ[写真]=田島早苗
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 全国各地で続々とインターハイの出場校が決定している。

 6月5日、福岡県もインターハイ県予選の決勝が行われ、昨年のウインターカップ覇者である福岡大学附属大濠高校が一つの出場権を懸けて、決勝で福岡第一高校と対戦した。

 試合は第1クォーターこそ互角の展開も、第2クォーターで激しいディフェンスを武器とするガードを投入した福岡第一に流れをつかまれてしまう。それでも9点を負う後半、福岡大附大濠は、高さのアドバンテージを生かしてインサイドを中心に攻撃を仕掛ける。第4クォーター出だしには1点差に詰め寄ったのだが、最後はハードなディフェンスと勝負強くシュートを沈めた福岡第一の前に64-70と一歩及ばず。インターハイ出場は叶わなかった。

 試合後、福岡大附大濠の指揮を執る片峯聡太コーチは、「ゾーンオフェンスをうまく攻められなかったり、(福岡第一がツーガードを交代で投入した第2クォーターで)ターンオーバーを連発したりしてしまった」と試合を振り返った。

体を張ったプレーで得点を重ねた川島[写真]=田島早苗


 昨年のウインターカップからスターターを務める湧川颯斗、副島成翔(いずれも3年)、川島悠翔(2年)の3人を擁し、今年も全国大会で優勝候補の呼び声が高かった福岡大附大濠。インサイドでは200センチの川島と197センチの副島が健在で、両ウイングは182センチの芦田真人と188センチの広瀬洸生の3年生の2人が積極的な攻めを見せる。そして昨年のウインターカップでも活躍した194センチの湧川はポイントガードへとポジションアップ。この大型ラインナップで挑んだが、「もう一つ、決め切るだとか、粘って守り切るといったところが。(福岡第一は)こちらの緩くなってしまったところや隙を突いてきたと思います」と片峯コーチ。スピードや球際の強さなどで一枚上手だった福岡第一の前にリズムがわずかに狂い、本来の良さを出し切ることができなかった。

「大きい選手たちに対してしっかりと練習ができていなかったというのは私の責任で、選手たちは試合を通して諦めずに最後までできることをやったと思います」と選手の健闘を称えた指揮官は、こうも付け足した。「やりたいことを相手が抑えてきたときにどう対応するのか。選手みんな、努力はできる。努力はできるのだけれど、工夫や駆け引きのところまでは私の力不足で至っていなかったです」

ガードとしてのさらなる成長に期待がかかる湧川[写真]=田島早苗


 だが、今年のチームはこれで終わったわけではない。「こういう大事なゲームからたくさんの学びがあります。湧川が素晴らしいもの持っていますが、ガードとして、どっちに(試合の行方が)行くか分からない状況のときに誰で攻めるのか、どうコントロールするのかなどを学んでいってほしいし、次のチャンスがあるからこそ、冬に向けてもう一回頑張っていきたいです」と片峯コーチは力を込めた。

 また、この試合では川島がインサイドだけでなく、ドライブを積極的に仕掛けるなど、獅子奮迅の活躍したことは、今後につながる収穫といえる。その川島の働きには、「プレーの精度はかなり上がってきてると思います」と片峯コーチも及第点を与えた。加えて「あとは連続してミスをすることがあるので、そこでどう自分の中でプレーを選択していくか」と期待値が高いからこそ、あえて今後の課題も挙げていた。

 冬に続いて、夏の全国制覇という夢を絶たれた福岡大附大濠。それでも次なる決戦を見据え、「長い夏になりますが、みっちり走り込みとスキルアップをテーマにやっていきたいと思います」と片峯コーチは気持ちを新たにして、体育館を後にした。

文・写真=田島早苗

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