2022.07.15

インターハイ男子注目校(2)開志国際(新潟)「経験と高さを備えて勝負。虎視眈々と狙うは日本一」

チームの大黒柱は世界を経験した武藤俊太朗(右) [写真]=小永吉陽子
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

 7月27日から8月1日にかけて香川県で行われる「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。熱戦が期待される夏の祭典の開幕を前に、バスケットボールキングでは大会で見るべき注目のチームをピックアップした。

■男子注目チーム(2)開志国際(新潟)

 今年、虎視眈々と日本一を狙っているのが開志国際高校だ。主力メンバーが昨年から変わらず、高さと経験値を備え、どこからでも得点が取れるのが今年の強みである。

 チームの主力となるのは3年生のウイング陣。U17代表としてワールドカップに出場し、攻防両面にわたって大黒柱となる武藤俊太朗(190センチ)、身体能力を生かして内外角で得点を取る介川アンソニー翔(197センチ)、派手さはないが力強いインサイドで貢献する境アリーム(198センチ)の3人だ。

チームを支える3年生トリオの一角、境アリーム [写真]=小永吉陽子


 ガード陣は下級生の成長が著しい。昨年、1年生でスタメンへと抜擢され、上級生たちとプレーしたことでコミュニケーションが図れるようになってきた2年生司令塔の澤田竜馬(167センチ)、1年生ながら度胸あふれるプレーで勝負強さを見せる平良宗龍(182センチ)が台頭。これに、留学生BASHIR FAISAL MUHAMMAD(202センチ)の高さを加えた今年は、各ポジションにバランスよくタレントが揃っている。

 インターハイ出場をかけた新潟県予選決勝では、帝京長岡高校との宿命のライバル対決を制した。残り3.6秒、同点の場面からブザービーターでリバウンドシュートが決まり、57-55で劇的勝利を飾ったのだ。激しいデッドヒートの末につかみ取った香川・高松行きのキップだった。

 そして、最大の難関だった県予選を突破したことで、選手一人ひとりに自覚が増していた。6月18、19日に開催された「第61回北信越高等学校選手権大会」での戦いぶりを見て富樫英樹コーチは「『自分たちはやれるんだ』という手応えが出てきて、選手たちの顔つきが変わっていました」と語る。準決勝では北越高校(新潟)に108−71、決勝では再び帝京長岡と対決して55−51で勝利。点差こそ競っているものの、決して慌てることなく試合を進めることができた。しかも、U16アジア選手権に出場していた武藤が不在、介川も準決勝の第1クォーターでヒザを痛めたために大事を取って試合には出ておらず、2人のエースが欠けた中で北信越を制したことは選手たちの自信になった。

 この夏、U16とU17代表に選出され、アジアと世界の舞台で経験を積んだ武藤は7月中旬にチームに合流。全員が集合してからのインターハイまでの2週間は、チーム全体でもうひと伸びできる時間となる。

 インターハイに向けて富樫コーチは「優勝を目指して、一戦一戦、足元を固めて戦います」と抱負を語る。個性的な選手たちが結束することで、2度目となる夏の制覇も近づいてくるだろう。

文・写真=小永吉陽子

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