2022.07.19

インターハイ男子注目校(6)福岡第一(福岡)「3年ぶりの夏、最強のチャレンジャーとして頂点を目指す」

2019年以来のインターハイ制覇を目指す福岡第一 [写真]=小沼克年
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 7月27日から8月1日にかけて香川県で行われる「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。熱戦が期待される夏の祭典の開幕を前に、バスケットボールキングでは大会で見るべき注目のチームをピックアップした。

■男子注目チーム(6)福岡第一(福岡)

 福岡第一高校(福岡県)がインターハイの舞台に帰ってくる。

 2020年は大会自体が中止を余儀なくされ、昨年はインターハイ予選決勝であと1点届かず出場権をつかめなかった。同校が夏の全国大会に出場するのは実に3年ぶりである。

 今年、チームの中心はゲームキャプテンの轟琉維とチームキャプテンとして総勢100人を超える大所帯をまとめる城戸賢心(ともに3年)。2人は中学時代からのチームメートであり、コート上においても得点面や仲間を落ち着かせる精神的支柱として牽引するキープレーヤーだ。

 これまでも多くの名ガードを育てた井手口孝コーチも轟へは「先輩たちに続くような良いカードに育ってほしい」と期待を膨らませる。また城戸については「バスケットに取り組む姿勢も良いですし、轟ほど派手ではないけれども精神面でもプレー面でも頼れる存在」と厚い信頼を寄せる。

福岡第一の井手口コーチが信頼を寄せる城戸 [写真]=小沼克年


 その他にも、3年生では轟と同様に昨年から先発を担うシューターの小田健太や、献身的な守備やリバウンド、ランプレーで潤滑油的存在となる平岡倖汰が主力メンバー。さらには中村千颯、川端悠稀の170センチに満たないガードコンビが織りなすディフェンスも強力であり、2人はまるでシンクロしているかのような動きで相手を追いかけ回して流れを引き寄せる。その威力と運動量は、チームNo.1ガードの轟が「よくあんなに足が動くなと(笑)。自分は真似できないです」と苦笑いするほどだ。

 今年の福岡第一は既に全国区の選手として注目を浴びる轟に目がいきがちだが、城戸が「スピードのあるガード陣に周りがどんどん合わせていくチーム」、轟が「全員が点を取れる」と口にするように、伝統の『堅守速攻』をチーム一体で体現できることが強みと言える。6月に行われた福岡大学附属大濠高校との県予選決勝や「第75回 全九州高等学校バスケットボール競技大会」も、ベンチメンバーの活躍があったからこそ優勝することができた。

 3年ぶりのインターハイ――。つまりそれは、現在のメンバー全員にとって初舞台となる。優勝候補の筆頭でもあるが、新チームがスタートして間もない3月には「スプリングマッチ2022」で中部大学第一高校(愛知県)や北陸学院高校(石川県)に敗れていることも事実。指揮官や選手たちに油断など一切なく、井手口コーチが「もっとセンター陣を鍛えなければ」と言えば、城戸と轟もハーフコートオフェンスやさらなる守備力の向上を見据えている。

 本戦までにもう一段階ステップアップして優勝を成し遂げるには、「FIBA U17バスケットボールワールドカップ スペイン2022」に出場した崎濱秀斗とアピアパトリック眞(ともに2年)が世界での経験をどうチームに還元できるかも重要になるだろう。

 第1シードから2019年以来の優勝を目指す福岡第一は、あくまでもチャレンジャーとして香川県に乗り込む。

文・写真=小沼克年

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