2022.07.28

インハイ初出場の福島東稜が全国初勝利! 多彩な攻めで大阪桐蔭を下し2回戦へ

全国大会初勝利を挙げて笑顔を見せる福島東稜の選手たち [写真]=小沼克年
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 7月27日、香川県を舞台に「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」が開幕。高松市総合体育館会場で行われた女子第1試合では、初出場の福島東稜高校(福岡県)が大阪桐蔭高校(大阪府)を退けた。

 この試合、福島東稜は最初の10分間で5点リードを得ると、第2、第3クォーターでは一時20点近く点差を拡大。立ち上がりから勢いに乗り、最終スコア82−68で大阪桐蔭を押しきった。

「大阪桐蔭さんを研究してきましたし、それがうまくハマりました」。快勝と呼べる内容で初戦突破を決めたあと、そう勝因を述べたのは古川清春コーチ。この日に備え、相手の武器であるチェンジングディフェンスやナンバープレーへの対策を入念に練ってきたことが奏功したと指揮官が明かせば、チームを束ねる浅沼早英(3年)もスカウティングが勝利を手繰り寄せたと振り返った。

「まずはスタートを大事にしようと話していて、うまく勢いに乗れましたし、大阪桐蔭さんは3ポイントシュートが入るのでそこを徹底的にマークしようとも話していました。前日の夜もミーティングをしっかりして桐蔭さんへの対策ができたのが良かったと思います」

 福島東稜には191センチの高さを誇るジモー マリー アヨミデ(3年)がインサイドに君臨する。しかし、「うちは中と外の両方で点数を稼ぐチーム」と古川コーチが言うように、アウトサイド陣も果敢にリングへアタックするのがこのチームの強みだ。

 夏の初舞台ではガードの渡部奈月(3年)がスピードでペイント内を切り裂いて19得点をマーク。アウトサイドからは柴田美奈(2年)を中心にスコアを重ね、パワーフォワードの斎藤利緒(3年)も攻守に奮闘して16得点11リバウンドを挙げた。「今日は外のシュートが当たりましたし、中のカットインとのバランスが非常に良かった。久しぶりにいいゲームができたなという感触です」。古川コーチもご満悦な表情で選手たちを評価した。

 そして、この的を絞らせないオフェンスを生み出したのが司令塔を担う浅沼だ。「パスは好きですし、楽しいです」と口にする背番号5は、計4アシストとスタッツ上では少なめではある。だが、点差を詰めようと前のめりにプレッシャーを掛けてきた大阪桐蔭にも落ち着いて対応し、ボールを保持し過ぎることなく的確に空いた仲間やスペースへパスを配給して反撃の糸口をつかませなかった。

「今日は相手にプレスディフェンスをかけられたときに、周りのみんなも落ち着いてコントロールしてくれました。なので自分が活躍したという感じではないです」と、浅沼は控えめに自身の出来を振り返ったが、古川コーチは「自分で攻めることもできますし、パスでコントロールもできる。今日はいい状態でプレーできたんじゃないかなと思います」と及第点を与えた。

 昨年、チームはウインターカップ初出場を果たしたが、惜しくも2点差で敗れて全国初勝利を逃した苦い思い出がある。現在のメンバーは当時も主力として戦ってきた選手が多く、「その悔しさを晴らし、全国でひとつ勝ちましょうというところからのスタートでした」と古川コーチは明かす。

「トレーニングから強度を上げて、みんなで全国レベルを意識しながら練習に取り組んできました。チーム内でも競い合うことが増えてきましたし、全員の意識が高まってレベルアップにつながったと思います」とはキャプテンの浅沼。

 福島東陵は昨年の悔しさを力に変え、インターハイ初勝利のみならず全国初勝利を手にした。「自分たちはいつでもチャレンジャーの立場ですし、私たちの代から(新たな)歴史を築いていこうという目標もあります」(浅沼)と意気込む次なる相手は、優勝候補の一角・京都精華学園高校(京都府)だ。

19得点をマークした浅沼(左) [写真]=小沼克年


文・写真=小沼克年

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