2022.07.29

無念の敗退に桜花学園キャプテン横山智那美「冬までに粘り強さをつけていきたい」

15得点15リバウンド5アシストの数字を残した桜花学園・横山[写真]=吉田孝光
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 残り0.2秒、京都精華学園高校(京都府)の八木悠香(2年)が放ったシュートが決まり、桜花学園高校(愛知県)の連覇の夢が断たれた。

「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」は大会3日目、女子は3回戦の8試合が行われた。

 3回戦で最も注目を集めたのが、前回覇者・桜花学園と京都精華学園との一戦。両チームは、昨年はインターハイでは準決勝で、ウインターカップでは決勝で対戦しており、いずれも桜花学園が競り勝っている。

 昨年からの主力が多く残る京都精華学園に、ガードからセンターまで戦力が充実した布陣の桜花学園。今年もともに優勝候補に挙げられていた。

 迎えた大一番、試合序盤は、「ディフェンスに意識がいきすぎて、オフェンスが重くなってしまった」(長門明日香コーチ)と、桜花学園のシュートが思うように枠を捉えない。そのまま、「シュートのセレクトは悪くなかったけれど、(シュートが入らないことで)乗っていけなかった」桜花学園が、第1クォーターを終えて11ー16と5点のビハインドを負った。

 第2クォーターでも状況は変わらず。それでも、田中こころ(2年)が速攻に3ポイントシュートにと孤軍奮闘。前半のビハインドを27ー35と7点にとどめて試合を折り返す。

 すると後半には、「ディフェンスで耐えてリバウンドを取る。そこからドンドンと前に走ることは徹底できた」(長門コーチ)という桜花学園に本来の動きが戻る。3年生の横山智那美、平賀真帆らのドライブも決まり、第3クォーター残り4分を切って逆転に成功した。

 第4クォーター出だしも桜花学園ペース。10点前後のリードを奪ったのだが、次第に足が止まりだすと、粘る京都精華学園に堀内桜花(2年)のリバウンドシュートなどを決められてしまう。オフェンスでもシュートの精度が落ちた桜花学園は、じりじりと点差を詰められ、残り1分半には同点、そして残り1分には逆転を許してしまった。

 それでも残り44秒で横山が同点に追いつくシュートを勝負強く沈めたのだが、再び訪れた攻撃のチャンスを得点につなげることができず。逆に京都精華学園に残り0.2秒でシュートを決められ、63ー65で敗れた。

桜花学園のルーキー・深津はシックススマンとして攻防において献身的な働きを見せた[写真]=吉田孝光


「やってきたことはやれたと思いますし……。申し訳ないです。私の経験不足だと思います」と肩を落とした長門コーチ。さらに「8点ビハインドで後半に入り、第3クォーターで必死に追い上げて逆転まではできたのですが、そこで選手もすごくエネルギーを使ったと思います。その後は、6点、8点ぐらいのリードでしたが、最後、警戒はしていましたが、一番守らないといけない(3年の)イソジェ ウチェ選手のところでやられてしまいました」と試合を振り返った。

 大事な一戦に懸ける思いからか、長門コーチが「力が入っていましたね。ここを越えないと先はないという硬さがあったのかなと思います」と言うように、前半は慎重になりすぎたあまり、選手の動きからはアグレッシブさが欠けていた。それでも後半に一気に逆転をする地力も見せたのだが…。

 キャプテンの横山は、「自分のリバウンドを取られたところから相手に流れをもっていかれたので、自分の甘さが出たと思っています」と、試合終盤、マッチアップの相手に飛び込みリバウンドを許したシーンを挙げて自らを責めた。

 毎年、優勝が使命の桜花学園。最大のライバルと目される相手との早い段階での対戦には相当なプレッシャーを感じていただろう。それがわずかに歯車を狂わせたのかもしれない。

「気持ちの弱さが出てしまったので、まずは気持ちで相手に勝るということ。それとイージーシュートをみんなが外していたり、継続力や粘り強さに欠けていたりしていたので、冬までに粘り強さをつけていきたいと思います」と横山は言葉を絞り出した。

「ボックスアウトを徹底できていなかったし、ボールへの執着心も薄かったです」(横山)など、敗戦から得た課題はたくさんある。

 不完全燃焼に終わった今大会。桜花学園の夏の挑戦は3回戦で終わりを告げることとなった。

取材・文=田島早苗

BASKETBALLKING VIDEO