2022.08.01

インターハイ2022女子決勝の見どころ「京都精華か、大阪薫英か…全国の決勝で近畿対決が実現」

決勝進出を決めたのは京都精華と大阪薫英 [写真]=伊藤 大允
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インターハイ2022女子決勝の見どころ「京都精華学園か、大阪薫英女学院か…全国の舞台で近畿対決が実現」

 7月31日、「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の女子準決勝2試合が行われ、京都精華学園高校(京都府)と大阪薫英女学院高校(大阪府)が決勝進出を果たした。

 この2チームは、6月の「令和4年度 第69回近畿高等学校バスケットボール大会」(以下近畿大会)でも決勝で対戦。このときは前半で13点のビハインドを負った大阪薫英女学院が、後半に怒とうの追い上げを見せて逆転勝利を飾っている。

初の全国制覇に王手…ポイントはディフェンスとリバウンド

京都精華を支えるイソジェ ウチェ [写真]=伊藤 大允


 今大会、第1シードの桜花学園高校(愛知県)を3回戦で破って決勝まで勝ち上がった京都精華学園は、188センチのイソジェ ウチェ(3年)がポイントゲッターとして奮起。ここまで5試合を戦って1試合平均27.8得点16.8リバウンドをマークしている。同じセンターのディマロ ジェシカ(2年)が初戦のケガにより不出場のため、インサイドでは一人で体を張っている。

 また、アンダーカテゴリーの日本代表活動のため近畿大会には出場しなかった堀内桜花、八木悠香(いずれも2年)もインターハイでは元気な姿を見せている。

 ポイントガードの堀内は安定したボール運びや巧みなパス、アシストなどで攻撃に貢献。八木はリバウンドからのシュートなど献身的な働きで、チームに欠かせない存在となっている。

 そこに近畿大会で活躍を見せた柴田柑菜(3年)が3ポイントシュートとドライブを主体に得点。1年生ながらスターターの座をつかんだ桃井優も伸び伸びとプレーしており、林咲良らバックアップ陣もしっかりと役割を果たしている。

「近畿大会では、最後に自分たちの焦りが出て負けてしまい、悔しい思いをしました。決勝で対戦できたらリベンジを目指してチーム一丸で戦いたいと思います」と語ったのは柴田。決勝進出を決めた時点での相手はまだ決まっていなかったが、大阪薫英女学院との対戦の可能性を聞かれ、こうコメントした。

 柴田は近畿大会で奮闘した選手の一人。決勝で敗れた後には悔し涙を流しており、リベンジへの思いは人一倍強いはずだ。

近畿大会のリベンジに燃える柴田柑菜 [写真]=伊藤 大允


 指揮を執る山本綱義コーチは「相手がどこであれ、最後の最後までディフェンスの連携をしっかりする。守り切る気持ちを持つ。そしてリバウンドはどんな相手でも取り合いを制するということを大事にしていきたいと思ってます」と意気込みを語った。

 桜花学園戦以降は危なげない戦いを見せる京都精華学園。インターハイは初の決勝進出。昨年のウインターカップでは決勝で敗れているだけに、今夏に悲願の全国大会初優勝を遂げたいところだ。

「大阪薫英らしく40分間走ってリズム良いバスケができれば」

大阪薫英のエース兼司令塔の都野七海 [写真]=伊藤 大允


 そんな京都精華学園に立ちはだかるのが大阪薫英女学院。ここ数年、近畿大会でも常にしのぎを削っている相手だ。

 第2シードで2回戦から登場した大阪薫英女学院は、初戦から準々決勝まで危なげない戦いで勝ち上がってきた。しかし、東海大学付嘱福岡高校(福岡県)との準決勝では、第1クォーターこそ16点のリードを奪ったものの、197センチのファール アミナタの高さに苦戦し、第3クォーター終盤に追いつかれてしまう。その後、一時は9点のビハインドを負ったが、積極的な攻めからアミナタのファウルを誘うと、アミナタがファウルアウトした残り4分半からは、内外とバランス良く加点。残り1分半に逆転に成功し、そのままリードを守り切り、2大会連続の決勝進出を決めた。

 大エースは、準決勝でも30得点を挙げた都野七海(3年)。1対1の能力に長け、ドライブから相手ディフェンスを巧みかわしてシュートをねじ込む選手だ。また、14得点挙げた熊谷のどか(3年)も、3ポイントシュートを武器とするポイントゲッター。だが、Wエースは、ともに158センチと決して大きくはない。大阪薫英女学院は主力に大型センターが不在のチームである。

 全国の上位争いとなると、高さではどうしてもハンディを負うのだが、そのハンディを補って余りあるほどのディフェンスとシュート力がチームにはある。全ポジションの選手が3ポイントシュートを放つことができ、それを要所で沈めていく。5人がボールを止めない、連携した動きは見事だ。

 ただ、近畿大会では前半に外角シュートが入らず苦戦したため、インターハイの決勝戦も3ポイントシュートの確率が勝敗を分けることになるだろう。

 また、京都精華学園との対戦ではペイントエリアでの争いに分が悪い。しかし、インサイドを担う仲江穂果(3年)はアウトサイドもできるため、ディフェンスの状況によって攻撃を仕掛け、京都精華学園に対抗したいところだ。

大阪薫英のポイントゲッターの一人、熊谷のどか [写真]=伊藤 大允


 決勝戦に向けて「大阪薫英女学院らしく40分間走ってリズム良いバスケットができれば」と安藤香織コーチ。また、「ずっと日本一になりたいという思いで選手たちは頑張っているので、いつも通りやれれば」ともコメントした。

 高さで圧倒的に優位に立つ京都精華学園がリング下を制圧し、大阪薫英女学院を押し切るか。大阪薫英女学院が3ポイントシュート攻勢で一気に頂点へと駆け上がるか。互いに手の内を知る近畿対決は、絶対に負けられない思いがぶつかる激しい戦いが予想される。

文=田島早苗
写真=伊藤 大允

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