2022.12.17

【ウインターカップ2022注目校】中部大第一(愛知)「攻撃力は全国屈指、守備を磨き悲願の初優勝へ」

夏からの成長が期待される中部大学第一 [写真]=伊藤大允
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 昨年のインターハイでは悲願の初優勝を達成。この夏の中部大学第一高校(愛知県)は大会連覇を狙ったものの、あと2勝足りなかった。

 今年は個性豊かな3年生4名がチームの中心を担う。昨年から先発として多くの経験を積んできたのは、ポイントガードの下山瑛司とエースの坂本康成だ。下山は168センチと小柄ながら、持ち前のスピードを武器にチームのトランジションバスケを繰り出し、攻守にわたってアグレッシブな姿勢を貫く。坂本は真骨頂の3ポイントシュートを中心に、内外から得点を重ねてオフェンスをけん引する存在。時には30得点以上を叩き出してチームを勝利へと導く。

 この2選手とともにスターターを担う小田晟は、多彩なスキルを駆使して攻撃を活性化させるだけでなく、下山と同様に激しいディフェンスでも流れを呼び込むガードプレーヤー。そして、背番号4を背負うのは小澤飛悠だ。昨年の小澤はなかなか出場機会に恵まれなかったが、今年はキャプテンとしてコート内外でチームを引っ張る。対峙する相手によってインサイドとアウトサイドでのプレーを柔軟に使い分けることができ、インターハイ後は坂本とともにU18日本代表に名を連ねた。

 どちらかと言えば、今年の中部大第一はディフェンスではなくオフェンス力が光る選手が並ぶ。しかし、重点に置くのはあくまでディフェンス。ハードな守備からの素早いオフェンスで畳み掛けるのがチームのストロングポイントであり、それを発動できたときの迫力とスピード感は、見ているこっちも圧倒される。

 今夏の全国大会では開志国際高校(新潟県)に敗れてトーナメントを終えた。最終スコア74−87となったこの試合、中部大第一は51本ものリバウンドを許してしまい、反対に自分たちは38リバウンドに留まったことが大きな敗因に挙がった。常田健コーチはこう試合を振り返っている。

「坂本にしても小澤にしてもオフェンスの方が得意な選手。ディフェンスやリバウンドの面ではまだ意識が薄いところがあるので、そこはうちのチームの弱点でした。大会前はその弱点をなんとか克服するために取り組んできたんですけど、僕の中ではかなり問題があると思っていました」

 エースの坂本は開志国際相手に30得点を挙げる活躍を見せた。だが、「やっぱり悔しいですけど、自分たちの課題が見つかったので、それを持ち帰ってウインターカップに向けて練習から意識してやっていきたいです」と、今後の課題に挙げたのはディフェンスとリバウンドだ。

「ディフェンス面で確実にボックスアウトをして、リバウンドで負けないようにしなきゃいけないです。1対1のディフェンスも課題ですし、練習から意識して取り組んでレベルアップしたいと思います」

 中部大第一が夏以上に「個の頑張りをチーム力に還元していく」(常田コーチ)ためには、選手一人ひとりのディフェンス、リバウンドでの奮起が問われる。この2点に磨きをかけることができれば、自然と速攻からの得点も増えるはずだ。ンベイエ ムハメド(2年)とトゥレ サリウ(1年)の下級生センターの成長もカギを握るポイントであり、決勝までの計5試合を戦い抜くにはベンチメンバーの台頭も必要不可欠。シックスマンとして出場する可能性の高い住吉大和(3年)、竹本義希(2年)がどこまで試合に絡めるかにも注目したい。

 8年連続11回目の出場となる今大会は、左下の第4シードに入った。過去3大会を振り返ると、インターハイ王者として挑んだ昨年は3回戦、一昨年は1回戦、2019年は2回戦敗退と、冬は思うような成績が残せていない。目指すはウインターカップ初優勝。目の前の試合に全神経を注ぎ、一つひとつ戦い抜く。それが頂点へと辿り着く最良の方法だ。

文=小沼克年

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