2022.12.22

【ウインターカップ2022注目校】桜花学園(愛知)「総合力を高めて冬のリベンジへ向かう最強軍団」

「U18日清食品トップリーグ」を制した桜花学園が、集大成となるウインターカップへ挑む[写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 試合終了のブザーが鳴ると、まるで優勝が決まったかのように桜花学園高校(愛知県)の選手たちはコート中央に駆け寄った。

 女子は8月27日から11月27日の期間にわたって開催された「U18日清食品トップリーグ」。これは今年初の試みで、2021年度全国大会(インターハイ、ウインターカップ)の成績をポイント化し、ポイントの多かった8チームがリーグ戦を戦うというもの。その大会に昨年は夏と冬を制した桜花学園も出場。ほかにも今夏のインターハイで優勝した京都精華学園高校(京都府)や同大会準優勝の大阪薫英女学院高校(大阪府)らが顔をそろえた。

 各チーム全7試合を戦う中、桜花学園にとっては6試合目となったのが京都精華学園戦。この時点で全勝同士の対決でもあった一戦は、終盤まで僅差の戦いとなる。だが、残り1分を切ってからわずかにリードを奪った桜花学園が粘る京都精華学園を振り切り、68-66で勝利した。

 全勝対決を制したものの、この時点で「U18日清食品トップリーグ」の優勝はまだ決まっていなかったのだが、冒頭に触れたように桜花学園の選手たちは飛び上がって喜びを爆発させた。

 それもそのはず、京都精華学園には、今夏のインターハイ3回戦で残り0.2秒から逆転負けを喫していたのだ。

 桜花学園にとってはリベンジマッチとなった一戦は、エースであり、司令塔でもある横山智那美(3年)が21得点10リバウンドとダブルダブルの活躍。そして「U18日清食品トップリーグ」からスターターに定着したスモールフォワードの菊地実蘭(3年)がドライブや3ポイントシュートだけでなく、体の強さを生かしたリバウンドやリング下のシュートなどで加点し、チームに勢いをもたらした。

 接触をいとわず、相手の高さにも屈せずに体を張ったプレーを見せる菊地の台頭は、冬に向けては好材料といえるだろう。そして高さ対策といった点ではチーム最長身の192センチも確実に成長を続けている。圧倒的な高さがある福王伶奈(2年)だが、まだ線の細いところがある。しかし、「U18日清食品トップリーグ」の京都精華学園戦では、強さのある188センチのイソジェ ウチェに対して必死のディフェンスで対抗した。インサイドプレーからシュートを決められたシーンはあったものの、留学生を相手に福王1人で付くことができるのはチームにとって大きな強みだ。加えて、その試合では、ウチェと同じ188センチのディマロ ジェシカ(2年)には、ペイントエリアに入れさせないように押し出すなど、夏からパワーアップした姿を見せ付けた。

 またドリブルワークなどテクニックに優れ、インターハイでは強気のシュートを沈めてビハインドから追い上げるキッカケを作った田中こころ(2年)は、頼もしいシューティングガード。さらに1年生でパワーフォワードの深津唯生は、中学時代から京都精華学園の留学生センターとのマッチアップの経験があり、体の寄せなど、高さのある相手に対してのディフェンスがうまく、リバウンドでも貢献する。加えて、森美麗、鈴木杜和、高木美波と、オールラウンドに動く3年生たちの気迫あるプレーにも期待したいところ。ケガから復帰したポイントガードの平賀真帆(3年)も勝負強いシュートを持つ選手で、ガードからセンターまでチームの選手層は厚い。

 インターハイの京都精華学園戦では、「オフェンスが停滞してボールマンが孤立してしまった」(長門明日香コーチ)ことも敗因の一つに。「U18日清食品トップリーグ」ではその課題の改善が見られたものの、「出だしは良かったけれど、第2クォーターでまた孤立状態が起こってしまった」と、まだ完璧に改善できたわけではない。合わせのプレーの精度の向上など、冬に向けて一つずつチーム作りを進めている桜花学園。夏のリベンジとなる決戦に向けて、キープレーヤーでもある菊地は、仲間の思いを代弁するように力強く抱負を語った。

「チャレンジャーの気持ちで思い切り良くプレーします」

文・写真=田島早苗

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