2023.02.17

美濃加茂との粘り合いを制して頂点に輝く…東海新人男子は藤枝明誠が7回目の優勝

7回目の優勝を果たした藤枝明誠 [写真]=伊藤大允
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

一進一退の展開の中、藤枝明誠が美濃加茂を突き放す

 3年ぶりの開催となった第36回東海高等学校バスケットボール新人大会が2月11日、12日、静岡県袋井市のエコパアリーナで開催された。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2年間中止になっていたこの大会、男子の部でベスト4に勝ち進んだのが、藤枝明誠高校(静岡県1位)、桜丘高校(愛知県1位)、中部大学第一高校(愛知県2位)、美濃加茂高校(岐阜県1位)。

 藤枝明誠と桜丘の準決勝は第3クォーターまでは一進一退の展開となるが、第4クォーターで28−12と引き離した藤枝明誠が勝利。決勝にコマを進めた。もう1つのカードは中部大第一と美濃加茂が対戦。この試合、第4クォーター終盤、リードされた中部大第一が1ゴール差を追う展開となるも、大事な場面でフリースローを決めきれず。結局、美濃加茂が逃げ切り、決勝進出を果たした。

シュートはもちろんのこと、パスで周囲を活かすことにも長けている藤枝明誠の赤間 [写真]=伊藤大允


 決勝戦、藤枝明誠は赤間賢人、小澤朋樹、大塚絢心、天田虎之介、ボヌ ロードプリンス チノンソ、美濃加茂は北條彪之介、遠山広貴、エブナ フェイバー、本田海翔、後藤宙が先発を務めた。ティップオフ直後から美濃加茂はオールコートのディフェンスに加え、ボックス&1、トライアグル&2などのゾーンディフェンスを駆使して、藤枝明誠に思いどおりにオフェンスをさせない。それに対して藤枝明誠はマークの厳しいエースの赤間だけでなく、チノンソ、小澤がシュートら他のメンバーがシュートを決めて一進一退の展開となる。

 互いの意地と意地がぶつかる粘り合いは第4クォーターまで続いていく。試合時間が残り4分を切った場面で藤枝明誠の大塚がシュートを決めると、今度はその大塚からチノンソにパスが入り、リードを7点に広げる。残り1分、美濃加茂はエブナにボールを集めるが藤枝明誠が粘りのディフェンスを見せて相手の得点を0に抑え切る。この結果、67−63で藤枝明誠が勝利し、2019年以来、7回目の優勝を果たした。

 スタッツを振り返ると、藤枝明誠はチノンソが24得点、赤間が17得点、大塚が11得点の3名が2ケタ得点をマーク。一方の美濃加茂はエブナがゲームハイの28得点、遠山が13得点を挙げるも、チームに勝利を導けなかった。

美濃加茂のエブナはゲームハイの28得点をゲット

「静岡のウインターカップ出場枠を増やしたい」

 昨年のウインターカップでベスト4に残ったことや、インフルエンザでチーム作りが遅れた中での勝利に、「選手たちがコミュニケーションを取ってゲームを進めたことが優勝につながりました。私の指示というより、選手たちが考えてやってくれた」と、試合後にメディア対応した藤枝明誠の金本鷹コーチが笑顔を見せた。

「県内ではなかなか対戦ができない中、東海大会では初戦から留学生のいるチームとの対戦になりました。決勝戦は相手の得点を60点に抑えられましたが、インターハイに向けて強度を高めたい」と前を見据える。

 まだまだ強化しなければならない点は多いと語るが、「今年は(夏の)東海総体に勝って静岡県のウインターカップの出場枠を1つ増やしたい。そしてインターハイでは決勝まで勝ち上がってもう1つ枠を増やせるようなチームにしたいと思います。選手たちには責任と自覚を持ってほしい」と金本コーチは青写真を語った。

最後まで優勝した藤枝明誠を苦しめた美濃加茂 [写真]=伊藤大允


 その藤枝明誠を最後まで苦しめた美濃加茂の林コーチは、「(ディフェンスは)戦力的にいまくいきましたが、フィニッシュ力がなかった」と悔やんだ。その中で「リバウンドは計算できることがわかったので、アウトナンバーを作ってレイアップでシュートを決められるようにしたい。そうすればもっと有利に試合を進められるはず」と、こちらも手応えを感じた大会となったようだ。

3位入賞を果たした中部大第一 [写真]=伊藤大允


取材・文=入江美紀雄

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