2018.08.25

熱戦が続いた女子決勝1・2回戦。ベスト4に名乗りを上げたのは清心、取石、梁瀬、八王子一

最後までどちらが勝つのはわからなかった新潟清心女子と四日市メリノール学院の決勝T1回戦
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 ソルトアリーナ防府で行われた女子1回戦は接戦の連続となった。まず第1試合に入った新潟清心女子中学校(新潟県)と四日市メリノール学院中学校(三重県)の一戦は最後の最後まで勝敗の行方が分からないゲーム展開となった。9点リードで最終クォーターを迎えた清心だったが、メリノールはオールコートのマンツーマンディフェンスでボールマンにプレッシャーをかけて追撃。

 しかし、この場面で清心の坂本一文コーチは「オールコートで当たってくるのはわかっていた。なので、パスを出す相手を探すのではなくて、自分でプッシュすること、前を向くことを意識させた」と試合を振り返る。清心はポイントガードの下條由奈(3年)がディフェンスのズレをついて一気にゴール下までドライブで切りこみレイアップシュートを決めて同点に追いつくと、星野乃彩(3年)がこの試合20得点目となるフリースローを2本決め、リードを奪った。残り時間は1分を切る。ここでメリノールは痛恨のターンノーバーを犯す。直後、メリノールの黒川心音(1年)がスティールから速攻を決めて2点差に詰め寄るも、ファウルをもらった清心の下條が落ち着いてフリースローを2本決めて熱戦に終止符を打った。

 名古屋市立長良中学校(愛知県)と日本体育大学桜華中学校(東京都)の一戦は、第4クォーター残り試合54秒で日体桜華の小林杏実(3年)が3ポイントを決めて同点に追いつく熱戦に。ここから長良は福王伶奈(1年)がゴール下を決めると、日体桜華は残り24秒で谷川莉理(3年)がジャンプシュートを決めて一歩も譲らなかった。延長戦も頭をよぎった瞬間、長良は熊谷のどか(2年)がドライブを決めて1歩リード。日体桜華はタイムアウトを請求して最後の攻撃に期待を込めたが、谷川のシュートが外れてゲームセット。長良が2回戦に駒を進めた。

「最後のプレーが思いどおりにいかなかった。でもそれが中学生」と語ってくれたのは日体桜華の指揮を執った森田望アシスタントコーチ。「チャンスはあったと思うが、(長良は)しっかりとフリースローを決めてきた」と分析。その中で、森田Aコーチは、「新興チームなので、練習環境を整えるところから始めて、よくがんばったと思う」と選手たちを称えた。

 2回戦になっても熱戦は続く。清心と大阪薫英女学院中学校(大阪府)の一戦は清心が1ゴール差で逃げきり準決勝に駒を進めた。

 大阪薫英の市川藤乃コーチは「相手は乗っているので怖かった。オフェンスではスクリーンを使ってうまくズレを作るスタイル。それに対応するのにスタミナが奪われ、オフェンスに疲れが出てしまった」と試合を振り返った。さらに「ゴール下も相手に支配されたのが痛かった。今年は『最後まで頑張り切る』を目標に戦ってきたが、それがクリアできなかった」と悔しがった。

粘りのディフェンスで逆転勝ちを呼びこんだ取石(青)

 長良と高石市立取石中学校(大阪府)は、最後にゲームを支配した取石が逃げきり、初の全中で見事ベスト4進出を決めた。決勝トーナメントでも逆転勝ち、そして2回戦も序盤は長良ペースで試合は進んでいた。「出だしから最後のようなプレーができるのがベスト」と語ったのは取石の安達美花アシスタントコーチ。「しかし、それができなくても粘ってチャンスを待つのもうちのスタイル。ルーズボール、リバウンド、ディフェンスをモットーに新チーム結成から積みあげてきた」と胸を張る。この試合、両チーム最多の23得点を挙げたエース、前田心咲(3年)の存在は心強いが、他のメンバーの基本を徹底したプレーぶりも取石を支えている。

 女子準決勝は、初出場ながら激戦を勝ち抜いた清心、取石というフレッシュな顔合わせと、4年ぶり5回目の出場の朝来市立梁瀬中学校(兵庫県)と3年連続11回目の出場の八王子市立第一中学校(東京都)との対戦が実現した。この4チームの中で優勝経験があるのは八王子一(2007年山形大会)のみ。今大会の八王子一の予選リーグ、そして決勝トーナメント1・2回戦の戦いぶりを見れば、11年ぶり2度目の優勝も射程圏内に入っているように見えるが、何が起こるのかわからないのが全中。特に1試合ごとに成長したプレーぶりを発揮している清心と、いくらリードを奪われようと揺るぎない試合運びで“負けない”バスケを見せている取石の勝者が一気に頂点に上り詰めるかもしれない。また、粘りという面では梁瀬も侮れない存在で、八王子一に思いどおりのバスケをさせなければ勝機は十分あると言えるだろう。

 中学生ケイジャーの憧れの舞台、全中の最終日でメインコートに立つのはどのチームか!? 2日目以上の熱戦が繰り広げられることは必至だ。

八王子一(白)は2度目の全中優勝を目指す

文=入江美紀雄

第48回全国中学校バスケットボール大会 試合日程、試合結果
https://basketballking.jp/news/japan/junior/20180823/90266.html

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