2018.08.28

全中に新たな風を送り込んだ清心、取石の前に力尽きる

新潟清心はオフェンスのエントリーにハイピックを用いる戦術を得意とする[写真[=三上太
バスケットボールキング編集部。取材歴は20年を数え、これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、今年も氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 8月25日に山口県で行われた「平成30年度全国中学校体育大会 第48回全国中学校バスケットボール大会」の女子準決勝に勝ち進んだ新潟清心女子中学校(新潟県)のプレーぶりは異彩を放っていた。それはNBAをはじめとする世界各国のチームが取り入れているハイピック(ガードがゴールから離れた位置でスクリーンをかけてもらうプレー)からオフェンスをスタートさせていることだった。

 中学の女子ではパスでディフェンスを崩していくスタイルが主流と言えるが、清心はこの戦術を用いてディフェンスのズレを作り、そこを突く攻撃で予選リーグを突破。さらには決勝トーナメント1回戦では四日市メリノール学院中学校(三重県)、2回戦で大阪薫英女学院中学校(大阪府)という強豪校を打ち破り、創部20年目で初めて出場した全中でベスト4進出を果たした。

「(ハイピックは)子供たちにいろいろと選択肢を与えようと練習した中での1つの戦術。そこから派生したオプションまで加えていくと、今では7割近くがピックプレーからオフェンスに入るようになった」と、清心を指導する坂本一文コーチが解説する。

 対する高石市立取石中学校(大阪府)は5年ぶり2回目の全中出場。3月のジュニアオールスターで大阪府チームを準優勝に導いた前田心咲を中心に、粘り強いバスケでこちらの初の準決勝進出を果たした。

取石の前田心咲(青)は両チーム最多の23得点をゲット[写真]=三上太


 前半は互いに持ち味を発揮して、取石が29-28と1点リードで折り返した。しかし、後半に入ると、取石のディフェンスが清心自慢のピックプレーをつぶしにかかる。取石は瀧野彩春が清心のPG下條由奈にプレッシャーをかけ、これまで破綻をきたさなかった清心のボール運びにミスを誘発させたのだ。

 取石は第3クォーター終盤から第4クォーターの出だしにかけて、11-0のビッグランを決め、一気にリードを2桁に広げてしまった。清心は主力がファウルトラブルに陥るも、控えメンバーがそん色のないプレーぶりでゲームをつないだが、54-42のスコアで取石が勝利した。

「終盤、5番(取石・前田)にリバウンドを取られてしまったのが大きかった」と、開口一番に語った坂本コーチ。「取石さんはディフェンスの駆け引きがうまい。それでストレスを感じてしまい、オフェンスのエントリーが次第に遅れていった」と、敗因にも言及した。

出足の鋭い取石のディフェンスに手を焼いた清心のオフェンス[写真]=三上太


 予選リーグの初戦、日本体育大桜華中学校(東京都)に47-66と敗れたところからスタートした清心。「相手に分析されてはいたが、自分たちがさぼれば負けるということを選手たちが感じたことで、昨日(決勝トーナメント1・2回戦)を勝ち抜けたと思う。「『最高の夏休みにしよう!』と日本一を目標に戦ってきた。それは果たせなかったが、チームの成長には満足している」と、坂本コーチは選手をほめたたえた。清心は初の全中の舞台で1試合ごとに成長する姿を見せてくれた。

 新進気鋭、清心の戦いぶりは、中学の女子に新たな風を送り込んだと言えよう。バスケットボールは日々成長している。それを全中の舞台で見事に披露した清心の戦いぶりに拍手を送りたい。

文=入江美紀雄
写真=三上太

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