「2020年度 第1回 全国U15バスケットボール選手権大会(Jr.ウインターカップ2020-21)」が1月7日、4日間の日程を終え、無事終了した。部活動、クラブ、そしてBリーグのユースというカテゴリーの違うチームが覇を競った今大会は、U15世代の新たな全国大会として、記念すべき第1回を終えたことになる。ここでは大会を通じて大きなインパクトを与えた選手を紹介したい。
身長192センチの福王伶奈(四日市メリノール学院中学)は、高校生に交じって2019年度女子U16日本代表強化合宿に参加した実績があり、大会前から注目を集める逸材だ。準々決勝の37得点を筆頭に、1回戦は36得点、準決勝では30得点など、コンスタントに得点を量産した。
サイズを生かした得点力の高さが福王の魅力ではあるが、中学3年生になって初の全国大会に登場した福王は速攻の先頭を切る走力を身につけていた。また、これまで簡単にファウルを犯してしまうことがあったが、それを我慢することを覚え、常にゴール下の番人としてディフェンスでもチームに貢献できるようになっていた。
それについて聞くと、「自分としてはまだまだなんですが、もしそのように思ってもらえるのなら、自分に色々教えてくださっている先生方のおかげだと思います。(四日市メリノール学院中学の)稲垣(愛)先生をはじめとする先生方が技術やディフェンスを教えてくださっているのが今の自分に繋がっているのだと思います」と謙虚な答えが返ってきた。
その福王が持つポテンシャルが覚醒したのが決勝戦だったと言えるかもしれない。対戦した京都精華学園中学のエースは、この大会の得点王になった留学生のディマロ ジェシカ ワリエビモ エレ。福王は試合前、「ジャンプシュートや3ポイントといった外のシュートは苦手だったのですけど、その大切さに気づいて練習し始めて少しは前よりは自信が持てるようになりました。“打倒京都精華”を目標に練習してきたので、引っ張り出して1対1を仕掛けてみたいです」と語っていたが、それを実践。3ポイントシュートは3本打つもリングを通過しなかったが、トップからのドライブでゴールに迫った。得点は9にとどまったが、12リバウンドをマーク。ディフェンスではディマロ ジェシカ ワリエビモ エレの得点を19にとどめ、勝利に貢献した。「本当にできるとは夢にも思ってなかったのですごいうれしかったのと、自分を支えてくれた仲間、先生方、保護者の方々に感謝しかないです」と、福王が最後まで謙虚な姿勢を崩さなかった。
福王は「自分の持ち味は身長とフックシュートを打つことです。フックシュートを打つのがすごく得意なので、それを極めてさらに強い武器にしていきたいと思います。私はもともと左利きなので、どちらかというと右のほうが苦手なのですけれど、最近は右の練習にも力を入れています」と将来像を話してくれた。そして…
「私が目標にしているのは渡嘉敷来夢(ENEOSサンフラワーズ)選手とアメリカのキャメロン・ブリンク(スタンフォード大学2年、身長:193センチ、ポジション:フォワード)選手。憧れはこのお二人もそうなんですが、桜花学園(高校)の朝比奈あずさ選手です」
A bucket getter. @cameronbrink22
2020 SLAM All-American: CAM BRINK! pic.twitter.com/ObFrbMaN2H
— WSLAM (@wslam) June 26, 2020
福王の真摯な態度と練習への前向きの姿勢があるかぎり、彼女は成長を止めないだろう。日本代表として世界の舞台でプレーする日が待ち遠しい。
文=入江美紀雄