2022.01.07

さらなる成長に期待…後藤音羽(KAISEIKANクラブ)の目標は「チームを勝たせられる選手になること」

今後に期待したいKAISEIKANクラブの後藤音羽 [写真]=バスケットボールキング
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 1月6日、「Jr.ウインターカップ2021-22 2021年度 第2回全国U15バスケットボール選手権大会」(以下、Jr.ウインターカップ)は3日目を迎えた。この日、女子3回戦第2試合に登場したKAISEIKANクラブ(静岡県)が、昨年の夏の全国中学校バスケットボール大会で準優勝した北九州市立折尾中学(福岡県)と対戦。

 前半、KAISEIKANはインサイドのディフェンスを固めて、折尾中学に互角の試合を挑んだ、後半に入るとそれに折尾中学が対応。第3クォーターで一気にリードを広げられてしまう。KAISEIKANのシュートもリングを叩くようになり、59−74で敗れた。

 この試合で目を引いたのがKAISEIKANの後藤音羽(3年)だ。チーム最長身の176センチながらゴール下のプレーだけでなく、チャンスと見れば1対1を仕掛けるドライブでリングにアタックした。

 KAISEIKANの石川奈美ヘッドコーチは「身長も伸びたけど、一番は吸収率が素晴らしかった」と後藤の中学での3年間を振り返る。「こちらから何か提案すると、すぐトライしようとする。こういう場合、尻込みする選手が多い中、ミスを恐れずトライして、それをすぐ吸収する。仮にそこでミスをしても新たなアドバイスができるので、階段を上がるスピードが速かった」と、後藤の姿勢を評価した。

 後藤は「今大会の目標は全中(全国中学校バスケットボール大会)でできなかった1勝を挙げることだったのでそれは達成できました」とコメント。次に「1対1の部分ではジャンプシュートが苦手で、決めなければいけないシュートを外すことも多かったと思います。相手を抜く技術は自分でもあると思うんですけど、状況判断をもっと磨きたいです」と課題を口にした。

 そんな後藤の父は現在浜松開誠館高校男子バスケ部のコーチを務め、昨年末の「SoftBank ウインターカップ2021」でチームを初めて全国大会に導いた正規氏。引退と同時に指導者に転身した正規氏は現役時代、NBLのアイシン精機などでプレー、日本代表でも活躍したシューターだった。そして母は名古屋短期大学付属高校(現桜花学園高校)から愛知学泉大学、シャンソン化粧品などでプレーした元日本代表の旧姓竹内高美さん。

「普段からNBAが流れている家でした」という環境で育った後藤は「両親から先に来ることはあまりないんですけど、私が『どうしたらいいと思う?』とどんどん聞いていって、それに的確に答えてくれます」とのこと。

 石川HCは高校に進学したら「チームを勝たせる選手、苦しい時に『自分にボールを回せ』と言える選手になってほしい。そのために、点を取れるオフェンス力を身に付けて。そこはまだまだ。お父さんは決めていたんだけど、娘はまだないから。でも伸びしろしかないですよ」と太鼓判を押す。

 後藤も「高校ではチームを勝たせられる選手になりたいです」と目標は明確だ。ただその前に、「中学とはレベルが全然違うし、高校生としてのプレーというものがあると思いますので、まず開誠館高校のプレースタイルを覚えて。自分の仕事をはっきりさせてベンチに入って、試合に出られるようになりたいと思います」と足元も見つめる。

 まだまだ原石の状態だが、ポテンシャルの高さに疑うものはないだろう。今度は高校の3年間でどのように磨かれ、そしてどんな活躍を見せてくれるのか。期待しかない。

今大会では随所で果敢にディフェンスを突破する姿勢を見せてくれた [写真]=バスケットボールキング


文=入江美紀雄

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