2022.08.25

【全中・男子】四日市メリノール学院が自らのスタイルを最後まで貫き、見事初優勝

試合終了も瞬間、喜びを爆発させた四日市メリノール学院(右が山﨑コーチ) [写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「第52回全国中学校大会」の最終日となった8月23日、男子は準決勝と決勝が行われ、準決勝を快勝した四日市メリノール学院(中学校)が決勝で布水中学校(石川県)と対戦した。

 試合は第1クォーターから互いに一歩も引かず。四日市メリノール学院は、白谷柱誠ジャック(1年)のリバウンドシュート、布水は北本慶志(3年)の3ポイントシュートなどで得点を重ねていく。布水が3点リードで迎えた後半も僅差の争いに。両チームとも高い集中力を発揮し、意地と意地がぶつかり合った第4クォーターでは、共に高確率でシュートを決めていった。

 試合が動いたのは残り3分を切ってから。四日市メリノール学院は榎木璃旺(3年)のバスケットカウントで3点リードすると、その後も榎木で加点。一方、追いかける布水は、シュートが枠を捉えず。最後まで走り切った四日市メリノール学院が73ー64で布水を退けた。

「相手がほとんどシュートを落とさなかったので、選手たちも私自身も何回か“しょぼん”となりそうになりました。でも最後、一番大事な第4クォーターでも粘り強くプレーしてくれた。本当に選手たちがつかんだ勝利です」と試合を振り返ったのは四日市メリノール学院の山﨑修コーチ。さらに「選手たちが笑顔を絶やさず、いい顔でやっていたのが勝因ではないですかね」と微笑んだ。

 四日市メリノール学院は、「男女の日本代表がやっているようなトランジションの速さ」(山﨑コーチ)をプレースタイルとし、「2点を取られても3ポイントシュートやレイアップ(からバスケットカウント)で3点を取り返す。また、走ることで相手を疲労させる」といった戦いで勝ち上がってきた。走力はもとより、フィジカルでも強さも見せるチームだ。
 
 その中で「ペイントアタックから3ポイントシュートはこだわりました」と山﨑コーチ。決勝では「ゆっくりボールを運んで攻めたいと思うような時間帯でも、ペイントアタック、3ポイントシュート、そしてディフェンスをやり続けてくれた。それが最後に効きましたね」と、自らのスタイルを貫いたことが勝因だとも指揮官は語った。

 また、「一番警戒していたのは布水のルーズボールと飛び込みリバウンド。これがうちの方が良かったことも勝因です」と山﨑コーチ。リバウンドでは布水の30本に対して四日市メリノール学院は59本と、特に前半は、セカンドチャンスから得点につなげたことも、勝利に大きく導いた。

 今大会は、予選リーグで近畿チャンピオンの京都精華学園中学校(京都府)、決勝トーナメントの準々決勝では関東覇者の豊野中学校(埼玉県)に勝利。そして決勝では北信越を制した布水に競り勝っての優勝と、全国にいる強豪たちを倒して初優勝までたどりついた。

 指揮を執る山﨑コーチは、2006年に木屋瀬中学校(福岡県)で男子優勝。2010年の高見中学校(福岡県)、2017年の二島中学校(福岡県)では女子で準優勝に導いており、今回が自身4度目の決勝進出。そして2度目の全国制覇となった。

「楽しいから頑張ることができるし、頑張ることが楽しいと感じる。今は『選手自らが頑張る』ことが大事で、自分たちで楽しく、最高のゲームを作る。そういったことができるようにするのがヘッドコーチの仕事だと思っています」と、優勝後に指導における思いを語ってくれた山﨑コーチ。

 加えて、「本当にこの大会を開催してくれたことに感謝です。コロナ禍という大変な中で運営してくださった(開催地である)北海道のスタッフの方たちが、少しでもバスケットって楽しいなと思ってくれたら、うれしいですね」と、大会に関わる人たちへの感謝の言葉も忘れなかった。

 悲願の全国制覇を成し遂げた四日市メリノール学院。同時に、『男女アベック優勝』という大会史上初の偉業としても、中学バスケット界の歴史に名を刻むこととなった。

決勝では37得点10リバウンドをマークした榎木 [写真]=田島早苗


取材・文・写真=田島早苗

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