2022.08.26

チームワークの良さが光った布水中学…「選手たちが楽しくやってくれた」と角田コーチ

2014年以来の決勝進出となった布水[写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「第52回全国中学校大会」(8月21日〜23日)において、2014年以来の優勝を目指した布水中学校(石川県)。

 四日市メリノール学院中学校(三重県)との決勝では、北村優太や北本慶志(いずれも3年)らの活躍もあり、前半を終えて3点リードを奪う。後半も互いに点を取り合う中、布水は、北村、神保旺介(3年)が高確率でシュートを沈めていき、主導権を渡さない。だが、試合終盤に四日市メリノール学院が勝負強くシュートを決めたのに対し、残り4分から得点を奪うことができず。最後は64ー73で涙をのんだ。

「大事な場面でのシュートの入り方の違い。相手は走っていいシュートに持っていっていました。選手たちは頑張ったけれど、うちは(シュートを選択する)場所などが苦しく、タフショットが多くなってしまいました」と、試合を振り返ったのは布水の指揮を執った角田敏コーチ。「前半はいい展開でペイントアタックできていたけれど、後半はスクリーンに頼りすぎてしまいましたね」とも語った。

ポイントガードの北村が攻撃を組み立てた[写真]=田島早苗

 布水は、予選リーグ初戦で東海大学菅生高等学校中等部(東京都)に75ー48で勝利。続く九州チャンピオンの中村学園三陽中学校(福岡県)には第1クォーターで31得点を奪う戦いぶりで76ー63とし、予選を2戦全勝の1位通過で終える。

 決勝トーナメントでは1回戦で近畿覇者の京都精華学園中学校(京都府)に58ー49で競り勝つと、準々決勝では東北大会を制した津軽中学校(青森県)を58ー49で破り、準決勝進出を決めた。

 準決勝では中国チャンピオンの倉敷南中学校(岡山県)に85ー63で圧倒。そして東海王者の四日市メリノール学院との決勝を迎えたのだった。

 決勝後、「(ドライブなどで)切っていきながら点を取るのが、相手の方が1枚も2枚も上でしたね」と相手を評した角田コーチ。また、「ハードなチームとの戦いが続き、満身創痍。体力の差があったかもしれないです」ともコメントした。

 チームは、ガードの北村を中心にどこからでも得点の奪える布陣。中でも、北村、神保らアウトサイド陣の得点力は高く、神保、そしてベンチスタートの北本は、ここぞの場面で3ポイントシュートを沈めて、チームに流れを引き寄せていた。

積極的な攻めから得点を挙げた神保[写真]=田島早苗

 コート上では常に声を出し、スローインなどボールが止まった一瞬の時間を見つけては、選手たちでプレーを確認し合う姿が多く見られた布水。そうした『チーム力』で負けない強さを発揮し、準優勝へと駆け上がった。決勝ではあと一歩及ばなかったものの、「コロナ禍で3年間大変だった代。(全中では)100点以上、150点をあげたいぐらいですね。そして何より楽しくやってくれたので」と指揮官は、選手たちの3年間の頑張りに目を細めた。

 布水は、1992年に富山県にて開催された全中で優勝。このときの指揮官は角田コーチで、現在、三遠ネオフェニックスの大野篤史ヘッドコーチはエースとして活躍した。そして、それから22年後に再び全国制覇を成し遂げる。このときは、千葉ジェッツ大倉颯太が点取屋として大暴れ。優勝に導く働きを見せた。

 大会を終えて、SNSを通してチームの健闘を称えるコメントを残した大野ヘッドコーチと大倉。2人と同じように、連携の取れたバスケットをいかんなく披露し、また選手たちの勝利へのひたむきな姿勢は映像を通して見た人たちの心にも残ったはずだ。

取材・文・写真=田島早苗

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