2023.01.04

選手自らが考えるスタイルを貫いた秋田ノーザンハピネッツU15女子の戦い

「ハピネッツのロゴを背負っている以上、コート外でも日本一にふさわしいキャプテンになろうと努力しました」と加藤 [写真]=バスケットボールキング
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 1月8に開幕した「Jr.ウインターカップ2022-23 2022年度 第 3 回全国 U15 バスケットボール選手権大会」(以下、Jr.ウインターカップ2022-22) 。

 男子は52チームのうち、Bリーグのユースチームは15チームが出場となったが、女子では秋田ノーザンハピネッツのU15女子が秋田県代表として全国の舞台に立った。

 迎えた1回戦、七尾DACHS(石川県)と対戦した秋田だったが、試合序盤は追う展開となる。しかし、ジリジリと追い上げを図ると、前半は20ー20の同点に。だが後半、第3クォーター終盤から引き離されると、第4クォーターでも七尾を捉えることができず。終盤には加藤唯花、佐々木芽咲(いずれも3年)らが気を吐いたものの、最後は40ー49で敗れた。

「初めての全国大会だからこそ、いろいろ感じるものもあったと思います。よく頑張りましたが、今年の3年生の課題がこのゲームにもやはり出てしまいました。全国ではごまかしは効かないと痛感しました」

 こう試合を振り返ったのは、指揮を執る内村祥也ヘッドコーチ。だが一方で、「3年間やってきたものを出そうとする姿」や練習から重きを置いている「選手自ら考えてプレーする姿」が見られたとも語った。

 女子ではまだ少ないBリーグチームのユースチームだが、秋田がU15女子を設立したのは2019年4月。「男子のU15ができ、秋田県のために選手育成をしてきた中で、秋田県全域のレベルアップを図るのであれば、女子チームを作ろう」(内村HC)ということで設立されたという。「男子はBリーグの育成だからと特別にいったことはなく、男女同じ熱量を注いでいます」と、内村HCは力を込める。

 選手として、また人としての成長を大きな育成方針とし、先にも挙げたように自らが状況判断できる選手を育てている秋田。

「勝つために選手をコマのように動かすのは簡単なことですが、『この局面でどうするんだ』といったことを選手自身が考えることのできる頭を育てることが大事だと思っています。自分たちで考えるプレーが私たちの基本です」と、内村HCは胸を張る。

「誰かのため、チームのためといったことを第一優先で考えること。私が明るくすればチームの雰囲気も良くなるので雰囲気作りに気をつけるなど、人間性の成長に取り組みました」と、秋田での3年間を振り返ったのはキャプテンの加藤。

 加藤はこの試合でも巧みなドリブルワークからのシュートなど、秋田で磨いたスキルをいかんなく発揮し、チーム最多の11得点を挙げた。

 そんな加藤をはじめとする3年生たちに「今回の経験を高校のステージで生かしていってほしいです」と、言葉を送った内村HC。

 加藤も、「ガードとしてチームをコントロールできるように。少しのチャンスでもシュートを決め切る、チームにプラスになる存在になりたいです」と、この先の思いを語った。

「全国を知っていると知らないでは違うし、こういう舞台で他チームを見ることも大きいですね」と語った内村HC。チームの歴史に新たなページを加えた秋田は、今大会での経験を糧に、さらにレベルアップを図っていく。

選手を引退後、秋田U15男子のアシスタントコーチを経てU15女子の指揮官となった内村ヘッドコーチ [写真]=バスケットボールキング


取材・文=田島早苗

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