2023.01.07

佐賀U15一期生が確実に残した爪痕…会場を沸かせた岸川藍佑と颯佑のプレーに注目

広い視野からリードパスを繰り出す岸川颯佑 [写真]=バスケットボールキング
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 1月6日、「Jr.ウインターカップ2022−23 2022年度 第3回全国U15バスケットボール選手権大会」は大会3日目を迎え、男女3回戦16試合と準々決勝8試合が行われた。第3試合に登場した男子の佐賀バルナーズU15(佐賀県)は、昨年夏の全国中学校バスケットボール大会(全中)優勝の四日市メリノール学院中学校(三重県)と対戦した。

 佐賀U15は1回戦で滋賀レイクスU15(滋賀県)に54−46、倉敷市立南中学校(岡山県)に75−58で勝利。指揮する水町亮介ヘッドコーチは、「決して楽な試合ばかりではなかったのですが、そこを勝ち上がれて。子どもたち成長を感じました」と、手応えを感じていた。

 その言葉どおり、全中王者へも臆することなく、互角の展開を見せた。佐賀U15はPGの岸川颯佑が繰り出すリードパスでリズムをつかみ、岸川藍佑の3ポイントシュートで応戦。加えてチームで粘り強く守り、リバウンドに食らいつき、第3クォーターを終えた時点で42−45と3点ビハインドで、最後の8分間を迎えた。

 しかし、勝負の第4クォーター、四日市メリノール学院の連続3ポイントシュートで41−52とリードを一気に広げられる。それでもタイムアウトがとけた後、佐賀U15はディフェンスを立て直してついていく。しかし、四日市メリノール学院の壁は厚く、54−60で惜しくも敗れた。

チームは設立して2年目。「今回2回連続で出させてもらって、周囲の子どもたちに少しずつ興味を持ってもらえるようになってきました。サッカーのサガン鳥栖のユースのように日本一になるのが目標です。道のりはまだ長いのはわかっていますが、それを目指したいと思います」と、水町HCにとっても実りの多いものになったようだ。

 チームをけん引した岸川藍佑と颯佑は双子の兄弟。ミニバス時代は佐賀の勧興男子ミニバスケットボールクラブに所属し、全国ミニバスケットボール大会への出場権を獲得していたという。しかし、大会は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止に。今大会には2度目の出場となったが、中学3年になった今、その悔しさを晴らす大会にもなった。

将来はプロを目指すという岸川藍佑 [写真]=バスケットボールキング


 シューターである兄の藍佑は、「最初はいつもの調子が出なくて反省も多かったのですが、最後はみんな調子が上がってきて、楽しい大会になったと思います」とコメント。ポイントガードの弟、颯佑は「勝ち上がっていくにつれて相手も強くなって。その相手にビビってしまうこともあったけど、最後は強い気持ちを持って臨めたので良かったと思います」と振り返った。

「4クォーターまではリバウンドなど集中できていたので良かったんですけど、最後はその集中力が切れたところが反省です」と兄の藍佑は述べたが、チームとして強敵に立ち向かえたことで得た自信は決して小さいものではないはずだ。

「将来はプロになりたい」と佐賀U15の門を叩いた藍佑は「目標は富永啓生選手(ネブスカ大学)。シュートだけでなくドライブができるところがすごいです」と目を輝かす。颯佑の目標は「観客を盛り上げられる選手」と、こちらもプロを意識した発言も。

 チームを卒業するメンバーに向けて、水町HCは「次のカテゴリでも頑張ってもらいたいと思います。(卒業の)その前にB.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIPも残っているので、その大会でも期待しています」とメッセージを送った。

現役引退後、地元に戻って指導者となった水町HC。選手たちを温かく見守った [写真]=バスケットボールキング


取材・文=入江美紀雄

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