シックスマンとして持ち味を発揮した馬場雄大、ライバル韓国撃破も「満足はしていない」

馬場は約23分間の出場で8得点4リバウンドをマーク[写真]=山口剛生

 8得点4リバウンド。物足りない数字と感じる人もいるだろう。まだ大学生でありながらそれだけ大きな期待を背負っているということだが、2020年東京オリンピックへの大事な1歩目となる第5回東アジアバスケットボール選手権大会の韓国戦において、馬場雄大(筑波大学)の存在感は数字に表れない部分でも光っていた。

「シックスマンとして、いかにコートにエネルギーを与えるか。ディフェンスや走ることを第一に考えてプレーしました。そこは相手に関係なくできることなので」元来、195センチというサイズに見合わないスピードでコート狭しと駆け回るプレーが馬場の最大の武器。チームに勢いをもたらすその躍動感こそが、馬場が今の代表チームに必要とされている最大の理由といってもいい。

 第3クォーター半ば、スティールからのワンマン速攻で相手のファウルを誘ったプレーは、まさに馬場の持ち味が体現された象徴的な場面。ベンチスタートでありながら23分11秒間出場し、勝負のかかった最後の約8分間コートに立ち続けたのも、すでに主力の1人として信頼を受けている証拠だ。もちろん、日本代表メンバーという地位は、若さと勢いだけでその責任を果たせるわけではないが、そのことは馬場自身も重々承知の上。普段戦っているステージより格段に高いレベルであることは間違いないが、ミスを若さのせいにしようとはせず、「今まで練習してきたスキルがもう少し出せればと思ったので、満足はしていないです。ミスしてしまったところも明日(マカオ戦)はアジャストしなければ」と反省が口をつく。そこには、向上心以外にも大きな要素がある。

「日本代表に選んでもらっているからには年齢も関係ない。それを気にしてしまうのは日本のバスケットボールのためにも良くないので、コートでしっかり表現することを意識していきたい。自分が切れこんでディフェンスを集めてからボールを展開すればチームとしてももっと良いオフェンスができたと思う。そういう意味ではもっとボールをもらいたいです」と、すでに日本代表としての責任感と自覚をのぞかせる馬場。その言葉の裏には、「自分の力を発揮できれば、チームを引っ張ることもできる」という自信も潜んでいるのだろう。

文=吉川哲彦

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