2018.02.23

男子日本代表、課題が浮き彫りになったチャイニーズ・タイペイとの一戦

試合後、肩を落とす日本代表の選手たち [写真]=山口剛生
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 2月22日、横浜国際プールで「FIBAバスケットボール ワールドカップ2019 アジア地区 1次予選(Window2)」が行われ、男子日本代表はチャイニーズ・タイペイに69-70で惜敗した。

 昨年11月のフィリピン戦同様、試合の出だしで思い切りのいいオフェンスができない日本代表。しかし、第1クォーターの最後に比江島慎シーホース三河)がブザービーターを決めると、その勢いのまま第2クォーターに入っていく。ここで活躍したのがベンチスタートの辻直人川崎ブレイブサンダース)。日本は辻が3本の3ポイントシュートを決めるなどして11-0のランを決め、この試合、初めてリードを奪うと、5,000人を超えるサポーターたちのボルテージが一段と上がる。辻はこのクォーターだけで12得点をあげる活躍を見せ、日本は35-29とリードを奪い、前半を折り返した。

 しかし、本来であればチャイニーズ・タイペイを突き離さなければいけない場面で、日本は集中力が切れたのか、オフェンスリバウンドを奪られるなど、7連続失点を喫し、逆転を許してしまう。

 この場面をフリオ・ラマスヘッドコーチは「選手が慌て始めていたようだ。オフェンスリバウンドを取られ、フリースローも与えていた。それに緊張が出始めていたのでタイムアウトを請求した」と振り返る。比江島も「集中が切れる場面があった。国際ゲームではこれを40分続けなければいけないのに」と試合後悔やんだが、引き寄せた流れをキープすることができず、苦戦を強いられてしまった。それでも終盤に辻が2本連続で3ポイントシュートを決め、2点ビハインドで最終クォーターに入っていった。

「集中が切れる場面があった」と比江島 [写真]=山口剛生

 だが、流れを取り戻せない日本は最終クォーターも後手を踏む。辻のこの試合7本目の3ポイントシュートで逆転に成功するも、ミスを重ねてチャイニーズ・タイペイに連続得点を許し、せっかく奪ったリードを吐き出してしまった。その後も各所にミスが出て、どうしても追撃態勢を作れない。日本はファウルゲームに持ち込むものの、せっかく獲得したフリースローをアイラ・ブラウン琉球ゴールデンキングス)と篠山竜青(川崎)が1本も決められず。残り2秒で、辻の3ポイントシュートで1点差とするが、そのままボールをキープされ試合終了。日本は大事な一戦に勝利することができなかった。

8本の3ポイントを含む26得点を挙げた辻 [写真]=山口剛生

 チャイニーズ・タイペイを70点に抑え、エースのクィンシー・デービスを12得点にとどめたことは日本のディフェンスが機能していたことをラマスHCは評価した。ただ、オフェンス面では課題をあげた。「我々は(オフェンスの)オプションをもっと増やさないといけない。それが今の課題になっている。国際ゲームでは、ギリギリの展開になってくると、勝ち負けはこだわりを持っていかないといけない。良いプレーか悪いプレー、それしかないと思う」

ブラウン(左)は相手エースとマッチアップ [写真]=山口剛生

 辻の3ポイントシュートが爆発したことで日本は勢いに乗ることができた。しかし、裏を返せば、それがなければもっと厳しい試合運びになっていたはずだ。今回もリバウンドの課題が浮き彫りになり、何より確実に得点を奪うことができるオフェンスパターンをクリエイトできずにいる。

 前日練習からラマスHCが強調しているのが「今回の12名が(現在の)ベスト。彼らを信頼するしかない」だ。2月25日のフィリピン戦は選手の入れ替えなしにこのメンバーで戦うことになる。辻は「フィリピン戦まで中2日ですが、精神的な部分を見つめ直し、切り替えることが必要だと思います」と前を向く。アウェーでの厳しい戦いとなるが、7月、もう一度戦うチャイニーズ・タイペイ戦に向けても、進化していくしかない。

文=入江美紀雄

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