バスケに対する真摯な姿勢と全力プレーで存在感を示した小川春太。シュート力の高さも魅力

男子日本代表第1育成キャンプに参加している197センチの小川

 どうしても進路に目が行ってしまう。なぜなら高校卒業後、世界的にも屈指と言えるエリート校、マサチューセッツ工科大学に入学することが決まっているからだ。しかし、そんなプロフィールを吹き飛ばすくらいの将来性を示してくれたのが小川春太だ。

 6月13日から始まった男子日本代表第1育成キャンプに参加中の小川は「(合宿についていくのは)大変ですけど、楽しいこともあります。友達もできて1日1日頑張っています」と、メディア対応に慣れていない雰囲気の中、しっかりと自分の言葉で合宿の感想を述べた。

 メンバー表の表記では身長197センチ、ポジションはパワーフォワードとなってはいるが、目を引いたのはシュートのうまさだ。自分では「ミドルレンジのシュート」をストロングポイントにあげており、3ポイントシュートも軽々打つシュート力も魅力と言える。とにかくシュートタッチが柔らかく、そしてシュートがはよく入るのが第一印象。さらに、「ディフェンスと複数のポジションでプレーできるのも自分の強み」というコメントからも、高さとシュート力を活かしたウイングプレーヤーが将来像と言えるだろう。

 バスケットボールを本格的に始めたのは13歳の頃。今回の合宿に召集されたことで「東京五輪でプレーしたいと思います。でも出られなかったとしても悲しくはないです。日本代表候補に選ばれたことが誇りです」と、冷静に自身を見つめつつ、“日の丸”への思いも忘れなかった。

練習での姿勢やメディア対応からも真面目な性格だということが垣間見えた

 小川が進学するマサチューセッツ工科大学はNCAAのディビジョンⅢに属する。「MIT(マサチューセッツ工科大学)を訪れた時にコーチが好きになって、ここでバスケをしようと決めました。バスケの推薦枠はないので、勉強して入学です」と小川。大学で勉強したいのは「バイオケミストリー」だが、「物理学やコンピューターサイエンスにも興味を持っています」と、アメリカのカレッジでプレーするなら欠かせない勉学についても目標を語る。プレー面では「今後はチームメートから頼られる存在になりたいです。トップスコアラーでなくても、攻防で頼りにされるプレーヤーになりたいです」と、こちらも明確なイメージができているようだ。

 メディアからの質問に対しても、なるべく日本語で答えようという姿勢を見せるが、うまく真意を伝えられないと判断すると、「すいません。ここは英語で答えさせてください」と必ず丁寧な対応を見せる。このあたりからも、小川の真摯な姿勢がうかがえる。そして、その真面目な性格は練習中にも垣間見られる。2メートルにも届きそうなサイズでありながら常に全速力でコートを駆けているのが小川だ。常に全力プレーするその姿勢も好感が持たれた。

 もちろんバスケのスキルや体格については発展途上。日本代表にとって即戦力というわけにはいかない。しかし、今のようなバスケに対する取り組みが続けられれば、どのような選手に成長するのか、楽しみでしかない。日本代表においても頼りにされるロールプレーヤーに育ってほしい。

文=入江美紀雄

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