2020.02.20

【アジアカップ予選直前レポート】熾烈なメンバー争い、帰化選手、改善すべき課題は?

オリンピックイヤー初の代表戦となる[写真]=小永吉陽子
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

初のホーム&アウェーで行われる「アジアカップ予選」

 オリンピックイヤーが幕開けし、初の代表戦となる「FIBAアジアカップ2021予選Window1」が目前に迫った。

 この大会は各大陸で4年に一度開催されるコンチネンタルカップ(アジアカップ、ユーロバスケット、アメリカップ、アフロバスケット)の出場権をかけた予選となる。バスケットボールの国際大会は4年に一度のオリンピックとワールドカップを軸に動いているが、2017年から導入されたFIBAのカレンダー改変に伴い、2年に一度の開催だったコンチネンタルカップが4年に一度となり、次回は来年の2021年。アジアの場合、これまで東アジア選手権のようなサブゾーン予選を経てアジアカップ出場国を決めていたが、今回からは、全大陸が同時期に予選期間(Window)を設けてホーム&アウェーで予選を行う方式へと変更された。
 
 アジアカップの出場枠は16。予選はアジア・オセアニア地域24ヶ国を4ヶ国ずつ6組にわけてWindow1~3までホーム&アウェーで総当たり戦を行い、各組上位2チーム(12チーム)がアジアカップ2021に直行。各組4位は脱落し、各組3位は2次予選となるWindow4に回って残り4枠を争う。

 新型コロナウイルスの影響により2月21日にホームで開催予定だった中国戦は延期になったが、24日にアウェーで開催されるチャイニーズタイペイ戦を前に、19日にメディアへの練習が公開された。

セットプレーの確認も怠らない [写真]=小永吉陽子

「チャイニーズタイペイに勝つことだけにフォーカス」(ラマスHC)

 
 今回は海外で活動する選手が招集できないため、国内組でチームを構成。2月の1週目から週の前半を使って開催されており、今回で3週目。短い時間でチーム作りが進められている中で、フリオ・ラマスヘッドコーチは、「24日はアジアカップの出場権を獲得するために戦い、チャイニーズタイペイに勝つことのみにフォーカスする」と言い、今夏のオリンピックに向けた展望については一切語られなかった。ただ、メンバー選考については「常に試験だと思って選手たちには競争することを求めている。昨年でいえば、安藤誓哉安藤周人の2人が自分の力でポジションを勝ち取った。代表チームとはそういうもの」と力を込めて語るように、選手たちには競争による成長を促している。

 確かに、今は24日の試合に集中することになるだろう。しかし、選手たちにとってみれば、5カ月後に迫ったオリンピックを意識しないはずがない。「今回はアジアカップ予選だけど、個人としてはオリンピックへの選考のひとつだと考えている」と富樫勇樹が語るように、練習内容も熱が帯びたものとなっていた。2月の合宿開始時には、選手個々がバスケットボールや日本代表に対しての思いや取り組みについて、それぞれの考えを述べるミーティングを実施しており、今まで以上にコミュニケーションを深めている。

ディフェンスに重点を置いた練習を行っている[写真]=小永吉陽子

最大の課題はディフェンスの強度を上げること

 昨夏、ワールドカップの5戦の戦いが終わったその日、ラマスHCからは「これから、日本が一番にやることはディフェンスの改善だ」との反省の弁があった。5試合で平均92.8点の大量失点。対戦相手に3ポイントを打たれすぎてしまい、世界にトレンドの戦い方に対応できず、シュートチェックが遅れるシーンは脳裏にこびりついている。

 格上である対戦相手のほうが“八村対策”でディフェンスを仕掛けてきたことに対し、日本は受け身のままで無策に終わり、ただただ、世界との距離を痛感するばかりだった。そのため、今もっとも力を入れている課題もディフェンスである。

「特にやっているのはボールプレッシャー、ディナイ、トライアングルディフェンスの使い方。ワールドカップではシュート・コンテスト(シュートチェックにいくディフェンス)が課題だったので、それについてもやっている」とラマスHCは言い、より相手にスペースを与えない守り方や、ペネトレーションに対して体を張って止めることに重点を置いて練習している。「Bリーグができてから、少しずつフィジカルが強いゲームができるようになっているように、ディフェンスについてもインテンシティ(強度)を意識した練習ができている」とラマスHC。

選考が有力視されているライアン・ロシター[写真]=小永吉陽子

最終12名の発表は試合前日の2月23日

 Window1に参戦する帰化選手については、負傷がない限り、ライアン・ロシターとなる。注目の帰化選手争いとロシターの選出理由について、ラマスHCはこのように語る。

「現時点で日本にはニック・ファジーカスライアン・ロシターギャビン・エドワーズの3人の帰化選手がいて、この中でニックのことはよくわかっている。彼がこの代表を成長させ、彼がいなかったらワールドカップに行けなかったかもしれない。私はそのことを忘れないし、とても感謝している。ただ、今回はロシターとギャビンが代表でどう戦うか見てみたかったので、2人を代表に招集した。最初の計画ではロシターが中国戦で、エドワーズがチャイニーズタイペイ戦に出てもらう予定だったが、エドワーズが怪我をしてしまったこともあり、今回はロシターを選んでいる」

 ロシターのプレーについては「ディフェンス、得点、リバウンド、リーダーシップ、すべてにおいてチームに貢献できる万能選手」と信頼を置いており、ロシター自身も「日本代表に選ばれることは誇り」と語り、率先してハードワークを行い、盛んに選手たちに声をかけていたのが印象的だ。

 直前合宿となる第8次合宿は15名で練習をしており、ラマスHCは「21日に3選手をカットし、今のベストメンバーを選ぶ」と明言。台湾への出発は22日。つまり出発前日まで12名入りをかけて競うことになる。日本協会によれば、最終ロスター12名は試合前日、23日のテクニカルミーティングのあと公式発表される。

文・写真=小永吉陽子