2022.06.30

【W杯予選ライバル情報】キャプテンはデラベドバ…国内選手中心ながら選手層の厚さが際立つオーストラリア

今シリーズでオーストラリア代表のキャプテンを務めるデラベドバ[写真]=fiba.com
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

「FIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window3」はオーストラリア・メルボルンでの集中開催となる。そのため、今回のオーストラリア代表は国内リーグのNBL勢を中心としたメンバー構成で臨む。

 新チームのキャプテンであり、このチームの顔となるのは、NBAクリーブランド・キャバリアーズとミルウォーキー・バックスでプレー歴があり、東京オリンピックで銅メダリストに輝いたマシュー・デラベドバだ。豊富な代表キャリアと、その粘り強いディフェンスでチームを一つにまとめている。

 また、デラベドバのミルウォーキー・バックス時代のチームメートであり、現在はGリーグと契約中のソン・メイカー(214センチ)も高さの面で柱となるだろう。ソン・メイカーは2018年6月末に行われた「FIBAワールドカップ2019予選Window3」の日本戦で代表入りを果たしたが、フィリピンとの試合で大乱闘を起こしてFIBAより処分を受けており、その時以来の代表復帰となる。

2018年に日本代表と対戦したソン・メイカー[写真]=Getty Images


 初代表として注目を集めているのが、デューク大学(NCAA)時代に2年間キャプテンを務めたリーダーシップの持ち主、ジャック・ホワイト。昨年にアキレス腱を損傷したことにより代表入りが遅れたが、完治した今、母国で待望の代表デビューを飾る。ホワイトは2014年にU17ワールドカップで準優勝を遂げているが、この時、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)擁する日本は初戦でオーストラリアに延長で敗れる悔しさを味わった。そんな因縁を持つ相手でもある。

 今回の顔ぶれには、馬場雄大がメルボルン・ユナイテッド時代にともに戦ったメンバーが多いことも挙げておこう。先に上げたホワイトのほか、2021年の優勝メンバーでは、コンボガードのミッチ・マッキャロン(現アデレード36ers)、ディフェンスで貢献するサム・マクダニエル(現タスマニア・ジャックジャンパーズ)がチームメート。2022年にはデラベドバもメルボルンで戦っている。

馬場の元チームメートであるマッキャロン[写真]=Getty Images


 代表初選出組に目を向けると、ベテランシューターのクリント・スタインドル、21歳の若手ワニ・スワカ・ロ・ブルクらはNBLを制覇した経験を持つ。さらには、富永啓生と同じネブラスカ大学出身のジャック・マクベイ、アリゾナ大学出身のキアヌ・ピンダー、クレイトン大学で1年プレーしたセブンフッターのサム・フローリングなど、NCAAでプレーした経験を持つ選手も多く、毎度のことながら選手層の厚さがうかがえる。

 ただ、今回のオーストラリア代表には懸念も多い。6月30日現在、発表されているメンバーには、チームの半数となる6名もの初代表組が含まれている。また、オーストラリア協会の発表によれば、集合してからの強化期間は1週間程度しかなく、チームケミストリーがどこまで作られているかは疑問である。さらに、昨年11月のWindow1を辞退しているオーストラリアは、今回のWindow3で3試合戦うことになり、6月30日に中国と戦った翌日に日本と対戦するタイトなスケジュールになっている。

 こうした不安要素を東京オリンピックで悲願の銅メダルに導いたブライアン・ゴージャンヘッドコーチが、どのような手腕でまとめるのか。7月1日、日本との決戦はメルボルン・ユナイテッドの本拠地である「ジョン・ケイン・アリーナ」で行われる。

その手腕に注目が集まるゴージャンHC[写真]=Getty Images


文=小永吉陽子

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