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7月1日、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」Window3、日本対オーストラリアがメルボルンのジョン・ケイン・アリーナで行われ、日本は52-98と大敗を喫した。
気持ちをくじかれるような、完敗だった。そのなかで、ほとんど唯一、日本チームで気を吐いたのが3ポイントを5本沈め、両軍最多の18得点を挙げたのがNCAA1部・ネブラスカ大学でプレーする富永啓生だった。
ベンチスタートとなった富永は第1クォーター残り5分半ほどでコートに送り出され、A代表のデビューを飾る。試合後「最初はとても緊張していた」と吐露した21歳は、出場から1分ほどでいきなりロング3ポイントをまず放った。これは入らなかったが、まずは肩の力を抜くことには成功したようだった。
同クォーターの残り2分を切って、得意の3ポイントがネットを揺らした。右のコーナーに位置取った富永は、永吉佑也からのパスをワイドオープンで受け、左手から迷わず放たれたシュートがリングをくぐった。これでリズムをつかんだ彼は、次のポゼッションでもキャッチ・アンド・シュートから再び3ポイントをヒットし、それまで約5分間、得点のなかった日本チームに勇気を与えた。
オーストラリアに大量リードを奪われてしまってはいたものの、第4クォーターにはさらに3本の3ポイントを決めた。また3ポイントだけではなく、第3クォーターにはトランジションでのボールプッシュから、3ポイントを打つと見せかけてリングにアタックし、きれいなレイアップによる得点。またディフェンスでも2スティールを記録するなど、NCAA1部で最強リーグと呼ばれる「ビッグテンカンファレンス」で揉まれてきた力量を披露した。
「出だしは(シュートを)決めたい気持ちが強すぎて1対1のシュートとか、いつもはやらないプレーをしてしまいましたが、タイムアウトでコーリー(・ゲインズ)コーチから『いつも通りやったら自分のところにボールは回ってくるから』と言われ、いつも通りやったらノーマーク(のシュートの機会)が来て流れをつかめました」
2018年にはU18アジア選手権に、昨夏は3x3で東京オリンピックに出場した経験のある富永は試合後、自身のパフォーマンスをそのように振り返った。
文=永塚和志