2022.07.02

【W杯予選ライバル情報】2次ラウンド進出に黄信号のチャイニーズ・タイペイは若手育成チームが参戦

司令塔としてチームの軸となるリン・ビンション[写真]=fiba.com
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

 ここまで「FIBAワールドカップ2023アジア地区予選」4戦全敗でグループ最下位。2次ラウンド(Window4~6)進出にはグループで3位内になることが条件のため、1次ラウンド突破に黄信号が灯っているチャイニーズ・タイペイ。

正確に言えば、7月3日に日本戦、7月4日に中国戦を残しているためグループ3位になる可能性はあるのだが、日本協会の発表によれば『ワールドカップの開催国枠が与えられている日本は勝敗に関わらず2次ラウンドに進出できる』ことから、現時点で上位2チームのオーストラリアと中国を上回ることは非常に難しい状況だ。

チャイニーズ・タイペイが2次ラウンドに進出する条件(日本を除いてグループ2位以内になる条件)は、7月3日の日本戦と4日の中国戦の残り2試合に勝利して、なおかつ中国の残り2試合が棄権などで不成立となった場合のみ。中国は勝敗に関わらず、試合が成立すれば勝ち点で上回れるために2位以内が確定となる。現時点でチャイニーズ・タイペイの1次ラウンド敗退は濃厚とみていいだろう。

そんな状況を見越していたのか、チャイニーズ・タイペイは前回のWindow2同様、今回も若手および、代表キャリアの浅いメンバーに経験を積ませるコンセプトで選手を送り込んでいる。7月1日の中国戦のロスターは平均身長192センチ、平均年齢24歳。渡豪した13名のうち、4人が大学生という顔ぶれになっている。

若手中心で臨んだ1日の中国戦は58-94で敗戦した[写真]=fiba.com


 もともと、チャイニーズ・タイペイはこのワールドカップ予選より、7月12日に開幕するFIBAアジアカップや1年延期になったアジア競技大会のほうを重要視する方針で強化を進めている。アジアカップの候補メンバーには、CBA(中国プロリーグ)でプレーする選手を含む国内リーグの有力選手が名を連ねている。アジアカップ組がA代表だとすれば、Window3のメンバーはB代表という位置づけで、今夏はAとBの2チームに分けて活動しているのである。

そんななかで軸となるのは、前回のWindow2でメインの司令塔を務めた#3リン・ビンション(186センチ/25歳)だろう。チャイニーズ・タイペイに新しく設立されたプロリーグ『T1リーグ』では、初年度のスティール王(平均3.0本)、最優秀ディフェンス賞、ディフェンシブ・ファーストチームの3つのタイトルに輝いた選手だ。

 また、6月末に2シーズン目が終了したばかりのプロリーグ『Pリーグ+』でシーズン平均14.86点、4.41リバウンドのスタッツを記録した#69ルー・ジュンシィァン(188センチ/24歳)が攻撃の軸となる。また若手のなかでは、高校時代より渡米し、NCAAディビジョン1でプレーする#9タン・ウェイジェ(190センチ/22歳/バージニア・ミリタリー・インスティチュート)にも注目したい。

注目の若手タン・ウェイジェは中国戦で12得点を記録[写真]=fiba.com


 実は、今回のチャイニーズ・タイペイはアクシデントが続いている。Window2で帰化選手として代表デビューを飾ったウィリアム・アルティーノ(211センチ/29歳)を含む2名の選手が、オーストラリア出発前日にPCR検査で陽性反応が出たために選外となった。アルティーノはここまでの予選3試合で平均33分出場、16.3得点、13リバウンドのスタッツを残していることからも、大黒柱の不在は大きな痛手になる。また、現地入りしてからは主力とされていた2選手に陽性反応が出たため、チャイニーズ・タイペイは残り2試合を11名で戦う。

文=小永吉陽子

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