2022.07.14

【アジアカップ対戦相手紹介】2011年以来の対戦…帰化選手のエースが初戦は行方不明? 謎の相手シリア

11年ぶりの対戦となるシリア。はたしてその実力は…[写真]=fiba.com
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

 FIBAアジアカップ2022に参加中の日本代表が、グループリーグ2戦目で戦うのがシリアだ。グループCの中ではFIBAランキングが一番低い83位。それもそのはずで、近年のアジアカップでは2013、2015年大会は不出場。安定した力がないため毎回出場することができず、下位に低迷している。

 日本と過去の対戦は3試合で2勝1敗。対戦のすべてがアジアカップであり、1999年、2001年、2011年大会で対戦している。1999年大会は78-58、2011年大会は77-55で勝利。2001年大会は65-75で敗戦している。

 アジアカップ本戦にはなかなか出場してこないシリアだが、今回のアジアカップ予選では奮闘して出場権を獲得した。近年、実力が急落しているサウジアラビアやカタールといった中東勢に1勝1敗。そして、2020年11月に行われたイラン戦で77-70と大金星をあげて大きく前進。トータル3勝3敗の成績をあげ、イランに次ぐグループ2位となってアジアカップのチケットをつかんだ。

 しかし、7月上旬に1次ラウンドが終了したワールドカップ予選では、カザフスタンに2敗、イランに2敗、バーレーンに1勝1敗となり、1勝5敗の成績で1次ラウンド敗退が決定している。

チームの得点源であるアミール・ジャバー・ヒントン。しかし…[写真]=fiba.com


 チームのエースは2021年にアメリカから帰化した#88アミール・ジャバー・ヒントン(198センチ/25歳)。Gリーグでプレー歴があり、直近はフィンランドでプレーしている。ワールドカップ予選1次ラウンドの6試合で平均26.7得点、5.2リバウンド、2.8アシストを記録している万能型のシューティングガードで、ワールドカップ予選で唯一勝利したバーレーン戦では36得点、7リバウンド、5アシスト、4スティールのスタッツを残している。

 だが、この選手は13日に行われたイランとの初戦を欠場している。12名のロスターには入っているものの会場には来ておらず、11名で戦っていた。試合後、ハビエル・フアレスHCによれば、「(Window3以降にアメリカに帰国しており)アミールはアメリカからインドネシアへのフライトに乗り遅れた」と明かされ、この行動については理解できない様子を示していた。今後、チームに合流するかどうかは明言されず、「重要なのは今コートで戦っている選手たちであり、グループCで少なくとも1勝すること」と語っている。ヒントンが日本戦に出場するか否かが大きなポイントとなるが、チーム状態が正常でないことは伝わってきた。

大会初戦のイラン戦でも12得点を挙げたハニ・アドリブ[写真]=fiba.com


 その他、ワールドカップ予選1次ラウンドで安定した力を出していたのは、#1 アンソニー・バカール(198センチ/28歳)、#15ハニ・アドリブ(204センチ/31歳)といったウイング陣の選手だ。また、大会ナンバーワンの220センチの高さを持つ#12アブドゥルワハブ・アルハムウィ(32歳)はベンチから登場する。驚異的な活躍をする選手ではないが、高さの面では警戒したい。

 初戦のイラン戦ではゾーンやボックス&ワンなどさまざまなディフェンスを仕掛けていたが、イランにはかわされていた。シリア戦を前にホーバスHCは「ディフェンスからリバウンドを取って速いペースを作る日本のバスケをちゃんとやれば(勝つ)自信はあります」と語る。中東独特の粗さがあるためやりにくさはあるが、ディフェンス強度はそこまで高くはない。しっかりアジャストして確実に1勝をもぎ取りたい相手だ。

文=小永吉陽子

BASKETBALLKING VIDEO