2022.08.31

日本代表、W杯予選イラン戦・カザフスタン戦出場メンバーの通信簿…評価を受けた選手は?

W杯予選Window4へ出場した選手を4段階で評価[写真]=伊藤大允
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019ワールドカップ等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。

 男子日本代表は、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」Window4イラン戦で68-79と敗れたが、カザフスタン戦で73-48と勝利を収めた。この2試合では継続して代表へ参加している選手のほか、トム・ホーバスヘッドコーチ体制で初招集となった選手も出場を果たした。ここでは出場機会のあった選手をA、B、C、Dの4段階で評価する。

 文=永塚和志

#2 富樫勇樹千葉ジェッツ):B
 リーダーとしてチームを引っ張る姿を見せたのは高評価も、イラン戦では自身の得点力を発揮できなかったことも含めて第2クォーター以降のリズムの悪さを立て直せなかった。カザフスタン戦もややインパクトが少なかった。

#6 比江島慎宇都宮ブレックス):B
 イラン戦で積極的なドライブから得点を決め、不得手とされるディフェンスでも激しく当たる姿を見せたのは良かった。とりわけペネトレーションではいわゆる「比江島ステップ」が炸裂し、存在感をアピールした。

比江島は積極的なドライブとディフェンスが目立った[写真]=伊藤大允


#11 アキ・チェンバース群馬クレインサンダーズ):C
 3ポイントシュートとディフェンスに長けており、ホーバスHC向きの選手にも思えるが、シュートチャンスも少なくなかなか「ハマって」いない。このWindow唯一の出場となったカザフスタン戦ではルーズボールに飛び込む場面はあったが、それ以外で見せ場はなかった。

#17 須田侑太郎名古屋ダイヤモンドドルフィンズ):B
 3ポイントシューターという明確な役割を与えられ代表で開花も、このWindowでは良いシュートセレクションができず成功率も低かった。一方、ディフェンスでは足を動かして相手に重圧をかけるなど、こちらでは貢献した。

#18 馬場雄大:B
 イラン戦ではチームトップの27得点。ホーバスHCから指示されたように3ポイントシュートも躊躇が少なくなり、同試合では5本成功させた。ただカザフスタン戦では疲労もあってか空回りし、得意としている速攻からのオフェンスもほとんど出せなかった。

馬場はイラン戦で27得点も、カザフスタン戦では影を潜めた[写真]=伊藤大允


#19 西田優大シーホース三河):C
 肩の故障に悩まされ、出場時間も少なくなってしまった。それでもカットインからの得点を何度か見せ、ホーバスHC体制発足時から代表参加し続けている強みを見せた。またカザフスタン戦では、短時間ながらポイントガードにも挑戦した。

#22 ニック・ファジーカス川崎ブレイブサンダース):C
 往年のパフォーマンスは影を潜めたが、37歳という年齢や試合勘のなさ、代表のシステムへの不慣れなどがあったため評価は難しい。カザフスタン戦のみの出場ながらパサーとしての可能性は感じさせた。

#32 シェーファーアヴィ幸樹シーホース三河):D
 イラン戦のみの出場となったが、この試合ではリバウンドを1本も取れず、イージーレイアップを外すなどいいところがなかった。仙台の2試合の強化試合でも1試合のみの登録だったが、今回のWindowで立場はさらに微妙になった。

#33 河村勇輝横浜ビー・コルセアーズ):B
 イラン戦では佐々宜央HC代行の考えからか出場時間が限られたものの、カザフスタン戦では得意のしつこいディフェンスと速攻時のパスなどでチームにリズムをもたらした。課題の得点への意識も向上したが、こちらはまだ空回りしたところがあった。

得意のディフェンスやパスでチームに貢献した河村[写真]=伊藤大允


 #43 永吉佑也ライジングゼファー福岡):B
ベテランが予想外の躍動を見せた。とりわけイラン戦では19分以上コートに立ち、相手の超巨漢、ハメド・ハダディを体を張って守り、オフェンスではダブルクラッチからのレイアップを決めるなど、光を放った。

#71 井上宗一郎サンロッカーズ渋谷):B
 仙台での強化試合に引き続き、このWindowでも両試合で先発出場。イラン戦では第1クォーターで3本の3ポイントシュートを決めるも、その後は不発。カザフスタン戦でも後半に3ポイントシュートを入れたが、こちらは反対にエンジンがかかるのが遅かった。

#88 張本天傑名古屋ダイヤモンドドルフィンズ):C
 カザフスタン戦のみ出場。果敢なドライブや速攻で前を走って河村のパスを受ける場面などがあった一方で、2本放った3ポイントシュートを外している。安定感はあるが、ホーバスHC体制下では攻撃力がなければ厳しいか。

#91 吉井裕鷹アルバルク東京):B
 ディフェンスで恐れずに体をぶつけるプレーぶりは、今や日本代表での1番と言ってもいい。課題はオフェンス。フィジカルにゴール下で得点を狙いにはいくが、フィニッシュが弱い。2試合で3ポイントシュートが6分の0というのもいただけない。

吉井はディフェンスで存在感を見せるも、オフェンスでは課題を残した[写真]=伊藤大允

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