2023.05.01

【W杯日本代表メンバー予想 vol.2】重視したのはホーバススタイルとの合致、最重要はウィングの人選

スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019ワールドカップ等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。

 8月開幕の「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」に出場する日本代表。チームを率いるトム・ホーバスHCは、本番で果たしてどのようなメンバーを選ぶのか。バスケットボールキングでは、日本代表を継続的に取材するライター陣に依頼し、本大会出場メンバー12名を予想してもらった。今回紹介するのは、スポーツライター永塚和志氏の予想メンバーだ。

《永塚和志氏が予想するロスター12名》
PG:富樫勇樹河村勇輝テーブス海
SG/SF:須田侑太郎西田優大馬場雄大、富永啓生、吉井裕鷹
PF/C:八村塁渡邊雄太渡邉飛勇ジョシュ・ホーキンソン

■2人のユウキはチームの強み、高さを補完する第3のPG

富樫と河村を補完する能力を持つテーブス[写真]=野口岳彦

PG:富樫勇樹河村勇輝テーブス海

 ボールのキープ力と「ここぞ」という時の3ポイントの決定力を備え、近年はリーダーシップもつけてきた富樫勇樹と、リングへ向かう意識を高めてパスだけでなく得点力でも力量を急速に上げてきた河村勇輝の2人は、ガードが重要なホーバスジャパンにおいて強みになっている。両者ともに小柄ながらプレースタイルは異なり、体が強くディフェンスでもハッスルができる河村は、たとえ日本の試合の入りが重たくなったとしても、ベンチからの出場でスイッチが入れられる。

 ホーバスHCは「第3のポイントガード」候補としてさまざまな人材を試してきたが、ワールドカップ・アジア地区予選の最終ウインドウで活躍したテーブス海が収まるのではないか。188センチの同選手は先述2選手のサイズのなさを補完する。オフェンスでもペネトレイトからの1対1、またキックアウトパスができ、ホーバスHCの求めるスタイルに合致する。

■重要度の高いウィングには”ホーバス・チルドレン”を選出

屈強なフィジカルで海外の選手とも渡り合う吉井[写真]=野口岳彦

SG/SF:須田侑太郎西田優大馬場雄大、富永啓生、吉井裕鷹

 ドライブインからのリングへのアタックとキックアウトパス、3ポイントと、ホーバスHCのチームでウィングポジションの重要度は極めて高く、それを踏まえてこの人選となった。

 須田侑太郎は3ポイント、吉井裕鷹はドライブインとフィジカルなディフェンスという与えられた役割を愚直に遂行してきた”ホーバス・チルドレン”と呼べる存在だ。また吉井は相手との体のぶつけあいをいとわず、パワーフォワードとしてもプレーできるのが強み。攻守で速さと強さを見せる馬場雄大も同HCのスタイルに合致する。

 富永啓生はディフェンスに不安はあるが、特殊な能力を持つ長距離シュートは今季、アメリカの大学シーズンで一段とレベルを上げ、コートを広く使いたい日本のオフェンスに欠かせない。比江島慎西田優大はそれぞれに異なる良さを持つが、ディフェンダーとしての存在感で後者を選んだ。新生・金近廉はトップクラスでの実戦経験が少なすぎるため、外した。

■NBA組は別格、最後は万能性や経験よりもフィジカルを重視

長期離脱から復帰し、2月の代表戦でも存在感を放った渡邉[写真]=野口岳彦

PF/C:八村塁渡邊雄太渡邉飛勇ジョシュ・ホーキンソン

 NBA組の八村塁渡邊雄太は別格の存在で当確だ。両者とも本大会前の少ない時間でどれだけ代表のスタイルに合わせられるかが成否を握るが、ともにNBAシーズンで3ポイントの技量を上げホーバスHCのスタイルにはフィットできるのではないか。

 2月に帰化申請が認可されワールドカップ・アジア地区予選に出場したジョシュ・ホーキンソンはアウトサイドのプレーもできバスケットボールIQも高く、同じく代表向きの選手でこちらも選出は間違いない。井上宗一郎張本天傑の万能さや経験も捨てがたいが、リング付近でのフィジカリティが必要ということもあり、ここは東京オリンピックでもメンバー入りした渡邉飛勇が選ばれると見る。

文=永塚和志

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