2020.12.13

筑波大、インカレ連覇まであと1勝…2日連続の激闘制し東海大との決勝へ

筑波大のエース、山口颯斗は準決勝でも29得点を挙げて勝利に貢献 [写真]=小沼克年
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

2日連続の延長戦を制し連覇へ王手

2戦連続で延長戦を制して決勝進出を果たした筑波大 [写真]=小沼克年


 12月12日、大田区総合体育館で「第72回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)」の男子計4試合が開催。14時から行われた準決勝では、大会連覇を狙う筑波大学が大東文化大学との延長戦をものにした。

 筑波大は、11日の専修大学戦でも45分間の激闘を制しての勝利。しかし、この試合ではキャプテン兼司令塔の菅原暉(4年)が左足をケガしてしまい準決勝を欠場する事態に。一方の大東文化大も、11月の「オータムカップ2020」決勝で先発の中村拓人が負傷しており、決勝行きをかけた戦いはともに正ポイントガードを欠いた中での一戦となった。

 スタートダッシュに成功したのは筑波大。エースの山口颯斗(4年)が積極的に仕掛けてスコアを重ねると、開始約5分間で10-0のランに成功した。大東文化大はベンチから「1人で打開しようとするな!」と、西尾吉弘ヘッドコーチが檄を飛ばすが、筑波大の守りを崩せない。途中出場の星野京介(3年)、野原暉央(4年)がミドルシュートでスコアボードを動かしたが、第1クォーターは17-7で筑波大が制した。

 しかし、第2クォーターの立ち上がりは大東文化大がペースを握る。飴谷由毅(4年)の1on1、中川祥一郎(2年)の3ポイントで5点を積み上げて追撃。この間、山口をベンチに下げていた筑波大は、オフェンスの動きが悪く得点が止まってしまった。山口がコートへ戻ると、山口とともに二上耀(3年)も連続得点をマークして再び息を吹き返した筑波大。中盤以降は守備でも立て直しを図り、13点リードで前半を終えた。

 第3クォーター、筑波大は野本大智(4年)の連続ターンオーバー、大東文化大はバトゥマニ クリバリ(1年)が3つ目のファウルを犯すなど互いに我慢の時間帯が続く。先に流れを掴んだのは大東文化大。オールコートのゾーンプレスを仕掛けたことが功を奏し、まずは相手のミスから3ポイントをマーク。ゴール下の守備でもクリバリとジェン アビブ(3年)が体を張って相手を抑え込み、終盤に得た3本のフリースローは中川が全て決めきった。同クォーターを8-19で終え、試合は筑波大のわずか2点リードで最終クォーターへ突入。

 第4クォーター残り4分57秒、飴谷がトップの位置から3ポイントを沈めて大東文化大がこの試合初めてリードを奪う。しかし、筑波大もすぐさま山口の3ポイントで対抗し流れを渡さない。ここからは互いの意地がぶつかりあうシーソーゲームとなったものの、40分では決着がつかず、54-54で5分間のオーバータイムへ。

 延長に入っても、筑波大は山口を起点にオフェンスを展開し先行する。だが、ファウルを犯してフリースローを与えてしまい試合終了残り1分を切った時点で1点ビハインド。それでも、同43秒に半澤凌太(3年)のアシストから二上が逆転の3ポイントで2点差とすると、最後までこのリードを守りきった。

東海大との決勝は「総力戦」で勝利を

試合の入りの悪さを悔やんだ大東文化大。順位決定戦に回ることになった [写真]=小沼克年


 最終スコアは62-59。筑波大はこの試合で21個ものターンオーバーを犯したが、オフェンスでは山口が29得点を挙げ、守備ではセンターの井上宗一郎(3年)を中心に相手留学生2名を1ケタ得点に抑え込んだ。

 また、この試合は結果的に出だしの差が勝敗を分けた1つのポイントとも言える。西尾HCは「インカレに入ってからは出だしが課題となっていました」と口にし、「あれがなければというのは、どうしても考えてしまいます」と悔しさをにじませた。先発ポイントガードとしてコートに立った石川晴道(3年)も「見ての通りスタートが悪かったです。そこでガードとしてチームの流れを変えることができなかった」と反省した。

 一方、出だしでリードを作った筑波大の井上は「1クォーターの入りは、かなり手応えがありました。そこでまず主導権を取れたのは大きなポイントだったと思います」とコメント。「後半は流れが悪かったですけど、何とか延長に持ち込むことができましたし、ここまできたら気持ちしかないと思いました」と、2日連続となった延長戦を振り返った。

 チーム全員の結束力で窮地を切り抜け、大会連覇まで残り1勝まできた。離脱を強いられたキャプテン・菅原だけでなく山口や二上も足に痛みを抱えた状態でコートに立っているが、ここまできたら気力の勝負だ。「相手がどこになろうが総力戦。今日も主力が出ずっぱりですから、明日は控えメンバーも含めて全員で臨みたいです」(吉田健司HC)。

 決勝の相手は東海大学。準決勝でも白鷗大学相手に83-62で勝利し、ここまで勝利した全4試合で20点差以上をつけている。さらにはオータムカップでも優勝を飾り今シーズンは未だ無敗。相手にとって不足はない。

文・写真=小沼克年

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