2021.07.12

日本大が15年ぶりとなる春の関東王者に! 昨季無敗の東海大を決勝で撃破

喜びを爆発させる日本大学の選手たち[写真]=小沼克年
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

生まれ変わった日本大がトーナメントを席巻

 7月11日に越谷市立総合体育館で行われた「第70回関東大学バスケットボール選手権大会」の決勝戦は、日本大学が東海大学を破り優勝を飾った。同大会での優勝は実に15年ぶり(通算11回目)。昨シーズン無敗を誇り、インカレ王者にも輝いた相手を61-57で振り切った。

 まさにディフェンスの意識改革が実った大会となった。

 今大会の日本大の勝ち上がりを見ると、80失点を超えた試合はなく、決勝戦を含めた全5試合の平均失点は62.6。「今まではオフェンスに目が行きがちだった」(若林行宗/4年)チームを、「もう少し強度を上げた日本大学らしいディフェンス、新しいディフェンスを全員でやっていこう」という城間修平ヘッドコーチの考えのもと、練習から守備への意識を高めていった。

 その成果は大学界随一のタレントをそろえる東海大相手にも遺憾なく発揮され、第1クォーターから17-10とリードを奪うことに成功する。なかでもルーキーのコンゴロー・デイビットがゴール下で猛威を振るい、佐土原遼八村阿蓮(ともに4年)とのリバウンド争いを制し流れを引き寄せた。

 ともにセカンドユニット中心で臨んだ第2クォーターでも、日本大はチームディフェンスとシックスマンながら大会MVPに輝いた飯尾文哉(3年)の得点でリードを保つ。得点が伸び悩む東海大は先にスターターの5人をコートへ戻したが、八村のバスケットカウントで5点差に詰めたところで前半が終了した。

大会MVPに輝いた飯尾[写真]=小沼克年


 後半開始早々、東海大は八村、松崎裕樹(3年)の連続得点で一気に1点差とすると、開始約3分で同点に追いつく。対する日本大は195センチの佐藤大介(3年)が4つ目のファウルを宣告され、このまま東海大に流れが傾くかと思われた。

 しかし、ここでも日本大は食い下がった。飯尾の個人技で再びリードすると、終盤には佐藤に変わって入ったキャプテン・若林が3ポイントシュート、コンゴローがバスケットカウントを決めて引き離す。7点差で迎えた最終クォーターでも、鍛錬を重ねたディフェンスで相手にタフショットを打たせ、攻撃では米須玲音(1年)が冷静にゲームメイク。残り3分58秒には若林の“4点プレー”も飛び出し、悲願達成へ加速する。最終盤には野口佑真(2年)が気迫のこもったドライブで勝利を手繰り寄せ、歓喜の瞬間を迎えた。

主将として、シューターとしての仕事を果たした若林

主将としてチームをけん引した若林[写真]=小沼克年


 試合終了を告げるブザーと同時に、日本大の選手たちはもみくちゃになって喜びを爆発させた。その選手たちに担がれ、3回宙を舞った城間HC。試合後は「苦しい場面もありましたが、それを全員で我慢して、何とか乗り切って勝つことができました」と決勝戦を総括した。

 また、この試合ではコンゴローが17得点27リバウンドをたたき出したほか、3ポイントでは日本大が29本中8本沈めたのに対し、東海大は32本中得点につながったのは佐土原の2本のみと差が出る内容となった。

 この大一番で得意の3ポイントを3本射抜いたのは若林だ。自身の出来に関しては「チームのみんなが作ってくれたシュートだと思っています。決めたときはうれしかったですけど、勝つことが優先だったので試合が終わるまでは一喜一憂するのではなくて次のディフェンスを考えていました」と控えめに話した。

 今回の優勝は、入学早々にスタメンに抜擢された米須とコンゴローの加入も大きいだろう。しかし新チームがスタートして以来、この下級生主体のチームをまとめ上げたキャプテンの存在も忘れてはならない。

 若林は言う。「日大は部員数が多いので、そこで自分が伝えたいことや言いたいことは自分だけが言ってもなかなか伝わらないです。なので、そこはAチーム、Bチーム関係なく4年生が中心となって、協力し合って自分が思っていることを共有してしっかり伝えていきましたし、後輩たちもしっかりとついてきてくれました」

 王者とも呼べる東海大に土がつき、日本大が15年ぶりに春のトーナメントを制した。関東の男子は今シーズン最初の大会で大方の予想が覆ったと言える。秋のリーグ戦、冬のインカレもますます面白くなりそうだ。

敗れた東海大が今後の大会に向けてどのように修正するのかにも注目が集まる[写真]=小沼克年


写真・文=小沼克年

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