2023.04.12

【注目の新卒選手#1】横浜BC・松崎裕樹とはどんな選手? 「静かに燃える闘志とキャプテンシー」

東海大学から横浜BCに加入した松崎[写真]=B.LEAGUE
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 この春に大学を卒業し、いよいよBリーグでプロアスリートとして本格的なキャリアをスタートさせる“新卒”の選手たち。バスケットボールキングでは、そんな選手達のなかでも特に注目すべき5人の選手をピックアップして、その経歴やパーソナリティーを紹介する。最初に紹介するのは、横浜ビー・コルセアーズ松崎裕樹だ。

文=小沼克年

松崎裕樹を語る上で欠かせない要素とは

 横浜ビー・コルセアーズ松崎裕樹は、エリートコースを歩んできた1人だ。

 地元の長崎県を離れて名門・福岡第一高校の門を叩くと、1年の頃からスタメンに抜擢された。当時から身長は190センチ。加えて福岡第一が誇るトランジションバスケに対応する走力を兼ね備えていたスーパールーキーは、1年目からインターハイとウインターカップの2冠達成に大きく貢献した。

 高校2年目は日本一に届かなかったが、松崎はドライブに3ポイントにと、内外から得点を稼ぐエースへと成長。高校3年ではキャプテンに就任し、この年の夏にはU18の日本代表として「FIBA U18 アジア選手権大会2018」に出場し国際経験を積んだ。

 迎えた高校最後の冬、福岡第一は「SoftBank ウインターカップ2018 平成30年度 第71回全国高等学校バスケットボール選手権大会」で圧倒的な強さを披露。全試合で20点差以上をつけて2年ぶりの王者に返り咲き、松崎は大会ベストファイブに選ばれている。

 ただ、本戦行きをかけて戦った福岡大学附属大濠高校との県予選決勝は、まさに死闘だった。この一戦では最後まで1点を争う攻防が繰り広げられたのだが、福岡第一が終盤にわずかに抜け出し79−71で勝利。最終局面で連続得点をマークしたのは松崎だった。彼の活躍なくしてウインターカップ制覇、ましてや出場すらもあり得なかったのである。

高校3年時にウインターカップを制覇[写真]=大澤智子


 高校卒業後に進学したのは東海大学。松崎は2年生の頃からプレータイムを勝ち取り、最終学年では主将に就いた。4年目は一時期ケガに悩まされたものの、「第74回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)」では大学で2度目の日本一に輝き、個人では大会MVPを受賞。東海大は2021年のインカレで準優勝に終わっていただけに、新チームを率いた松崎は並々ならぬ覚悟でラストイヤーに臨んでいた。陸川章ヘッドコーチによれば、大学3年のオフシーズンにBリーグのチームから声がかかっていたが、松崎は日本一奪還のために自ら大学に残る選択をしたという。

「得点を取ること」「チームをまとめること」と自身の役目を口にしていた責任を果たし、松崎はプロの道へと進んだ。持ち味は「トランジションと3ポイント」。しかし、静かに燃えるような闘志とキャプテンシーも、松崎裕樹を語る上で欠かせない要素だ。

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