2018.12.30

レジェンド集結! “もぐもぐタイム”もあり、新旧のファンを虜にしたWリーグオールスターが開催

今回のオールスターはリーグ誕生20年目を記念して様々なプログラムが用意された[写真]=新井賢一
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

 1日限りの華やかな宴に、大田区総合体育館を埋め尽くした大観衆が酔いしれた。2015-16シーズンの復活以降4回目となるWリーグオールスターが12月29日に開催。今回はリーグ誕生20年目を記念して様々なプログラムが用意され、新旧のファンを虜にした。

 盛りだくさんの1日は「ステーキハウスブロンコビリーカップ」と銘打たれた3×3トーナメントから始まった。4チームで争われたトーナメントの初代王者は、ブロンコビリーアンバサダーの馬瓜ステファニー(トヨタ自動車アンテロープス)を擁する新栄町モーターズ。第1試合の開始8秒で瀨﨑理奈が負傷するアクシデントをものともせず勝ち進んだ穴守稲荷エアポーツは一歩及ばなかった。

 昨季引退した大神雄子氏がその人脈を活かして他競技のトップ選手を招集した「Shin’s Dream Game」で会場が温まり、3つ目のプログラムはリーグの歴史を築いた往年のスター達による 「Wリーグオールスター クラシック」。圧倒的優勝回数を誇るJX-ENEOSサンフラワーズのOGで構成されたTEAM YELLOWと、それに挑み続けた選手が集結したTEAM BLACKの激突は、28-21でTEAM BLACKに軍配。要所で現役当時をほうふつとさせるプレーを披露した相澤優子氏や永田睦子氏の姿に、激闘の記憶が甦ったファンも多いだろう。

「Wリーグオールスター クラシック」では大神雄子氏らレジェンドたちが集結[写真]=新井賢一

 初の試みとなった3つのイベントが終わると、ここからは定番のコンテストタイム。本川紗奈生(シャンソン化粧品 シャンソンVマジック)の4連覇がかかったスキルズチャレンジは、宮崎早織(JX-ENEOS)が24秒4の好タイムを叩きだし、最後に登場した本川は1秒5及ばず新女王の誕生となった。同様に4連覇が期待された山本千夏の欠場が発表された3ポイントコンテストは、急きょ代打出場となった高田汐織(ともに富士通レッドウェーブ)が制覇し、富士通の牙城を守った。

スキルチャレンジコンテストは宮崎早織が新女王に[写真]=新井賢一

 そしていよいよ本戦。Wリーグオールスターは毎回白熱した展開になるが、今回はWESTが立ちあがりから勝負へのこだわりを見せた。高田真希(デンソー アイリス)の3ポイントで先制すると、ディフェンスでもEASTを24秒バイオレーションに2度追いこみ、10-0と突っ走る。EASTは渡嘉敷来夢(JX-ENEOS)の2本の3ポイントでようやく反撃開始。吉田亜沙美(JX-ENEOS)も外角シュートを2本浴びせるなどして逆転するが、WESTも栗原三佳(トヨタ自動車)の3ポイントなどで譲らず、第1クォーターはWESTが5点リード。

 WESTの“もぐもぐタイム”を経て始まった第2クォーターは、なんと選出されていないステファニーがWESTの一員としてコートイン。しかもバスケットカウントを決めてみせた。馬瓜エブリン(トヨタ自動車)によれば、ゲームクロックが動きだす前に連れ戻すはずだったのがそのまま始まってしまったとのことだ。1点を争う攻防の中、抜けだしたのはWEST。高田の連続得点にWESTベンチは『高田半端ないって』のボードを掲げて会場をさらに盛りあげる。EASTも井上愛(新潟アルビレックスBBラビッツ)の3ポイントなどで追いすがり、ラスト12秒からのオフェンスでは渡嘉敷以外の4人がセンターライン近くで待機する奇策も見せたが得点はならず、前半は53-46とWESTが優位に立つ。

WESTは“もぐもぐタイム”を披露[写真]=新井賢一

 第3クォーターは開始2分過ぎにEASTがガード5人を同時起用し、WESTは5人全員180センチ以上のビッグラインアップで対抗。これはEASTの藪内夏美ヘッドコーチが後半開始直前にWESTの一色建志HCに提案したものだった。この時間帯はサイズの不利を逆手に取った吉田が長岡萌映子(トヨタ自動車)の3秒バイオレーションを誘うなどしてEASTが踏んばるものの、7点差は変わらず第4クォーターに突入。本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)のカットインなどで2点差まで詰め寄るが、WESTも長岡と馬瓜の得点ですかさず突き放す。町田瑠唯(富士通)の3ポイントなどで追いあげを図るEASTを振りきり、97-87でWESTに凱歌が上がった。

DA PUMPの「U. S. A. 」を熱唱するなど“圧巻”のパフォーマンスを見せた馬瓜エブリン[写真]=新井賢一

 MVPの馬瓜とMIPの渡嘉敷に加えて吉田や町田、初出場の宮崎らも観客を楽しませるパフォーマンスを随所に披露。世界レベルのスキルとエンターテイナーとしての一面を併せ持つ彼女たちの姿は、多くの人の心に焼き付いたことだろう。

文=吉川哲彦

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