【札幌山の手OG座談会】町田瑠唯×高田汐織×本川紗奈生×長岡萌映子(後編)

高校時代をともに過ごした本川、高田、町田、長岡(左から)

 2018年12月29日に大田区総合体育館にて開催された「Denka presents Wリーグオールスター 2018-19 in TOKYO」。メインイベントとなるWリーグのオールスターゲームには、ファン投票とリーグ推薦、そしてTwitter投票から選ばれた計30名の選手が参加した。その中に、町田瑠唯、高田汐織(ともにEAST/富士通 レッドウェーブ)、本川紗奈生(WEST/シャンソン化粧品 シャンソンVマジック)、長岡萌映子(WEST/トヨタ自動車 アンテロープス)と、札幌山の手高校出身の4選手が名を連ねた。

 この4人は高校時代、町田、高田、本川が3年生、長岡が2年生の時に3冠(インターハイ、国体、ウインターカップ)獲得を達成している仲間。そんな4人に、後編では高校時代のことだけでなく、1月11日から始まる「第85回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」のファイナルラウンドに向けての意気込みを聞いた。

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インタビュー=田島早苗

――さて、バスケットの話に戻りますが、高校時代、互いにどんなところがすごい、頼りになると思っていたかを教えてください。まずは町田選手について。
高田 瑠唯は、どこにいてもパスしてくれるし、どの動きをしても見てくれる。
本川 バスケットIQが高い。考えているように見えないんだけど、考えている。だってバスケットノートにめちゃくちゃ書いていたもん(笑)。書いていたよね?
町田 はい、書いていました。
本川 そういう地味な努力があっての今だと思う。
町田 ありがとうございます。
高田 (他の3人から褒められるので)これ、幸せな時間だよね。

――長岡選手から見た町田選手は?
長岡 ガードとしてパスは
高田 (話の途中で)早く早く。
町田 ダメ、今は瑠唯の時間!(笑)。
本川 (言うことは)同じだよね。
長岡 はい。みんなと一緒です(笑)。
町田 えー、雑!
一同 (笑)。
長岡 でも、どこにいても何をしていても、気を抜いていてもパスが来ました。

日本代表の司令塔も務める町田 [写真]=新井賢一

――では、次は…
本川 早く汐織を褒めたい。

――(笑)。高田選手についていきましょう。
本川 汐織は隙がない。細かいところまで自分もやるし、周りにも言うし。今も変わらず、そこがすごいし、誰にもできないところ。だからルーズボールやリバウンドで絶対に負けないんだと思う。
町田 私は小中高と(同じチームで)一緒にやっているので、(本川と長岡の)2人とも息の合ったプレーはできるんですけど、汐織に関しては“マジで”何も言わなくても、目を合わせただけで何を考えているか、何をやるかがわかる。だからやっていて面白い。
本川 どのパスかわかるよ。バックシュート多くない?
高田 多いね(笑)。
町田 一番来てほしいタイミングや位置に必ずいてくれるし、リバウンド、ルーズボール、ディフェンスという泥臭い、記録に残らないところを一番やっていたと思います。
長岡 いつも上島さん(正光/コーチ)は「ディフェンス、リバウンド、ルーズボール」と言うんですけど、汐織さんはずば抜けてそれをやっていた。隙がないという点ではディフェンス。手がうるさくて、スティールする。私のディフェンスがザルすぎたので、そのカバーにいつもいてくれた印象です。

「隙がない」と評される高田 [写真]=新井賢一

――次は本川選手について。長岡選手からいきますか。
長岡 同じセンターとして、自分のパスを何でも取ってくれたし、合わせてくれました。コミュニケーションを取っていたという点では、メンタルの支えは紗奈生さんだったというぐらい。それに私が上島さんに怒られた時に一緒に怒られてしまって…申し訳ない!
高田 それは間違いない(笑)。
長岡 本当にありがとうございました(笑)。
町田 紗奈生は、勝負強さがすごい。
長岡 (国体決勝の)福岡戦、思い出した。(※同点の状態で残り3.7秒から北海道の攻撃。最後は本川が決勝点となるブザービートのシュートを決めた)
町田 国体もそうだし、なんだかんだ競った時とかには紗奈生のところで点を取る。私も紗奈生のところでと思ったし、上島さん(正光/コーチ)も信頼していたと思う。それで本当にシュートを決めたり、ファウルをもらったりするから気持ちが一番強い選手なのかな。
高田 ギャップがすごい。普段はヘニャヘニャしているけど(笑)、バスケットになると一番勝負強いし、気持ちも出ていると思う。(試合で)困って時間がない時は紗奈生にパスを出した。「紗奈生が何かやってくれる」と思っていたから。
町田 わかる、わかる。
高田 それで結果も残す。
本川 うれしい。

仲間から絶大な信頼を得ていた本川 [写真]=新井賢一

――では、最後、長岡選手について。
本川 上島さんがトリッキーなパスをいろいろ教えてくれたので、私はそれを実戦でも使いたくてやったんですけど、高校の時はあまりパスが得意ではなくて。だから「どこいった?」みたいなパスで。そのパスは萌映子しか取れなかった。必死にボールを追ってくれていたんだなと思いますね。あとはゴール下の強さは超高校級でした。
高田 必死さがあった。何に対しても全力だったし、だからこそ点もいっぱい取ったし。少し強引なプレーでも、(ディフェンスが)2人寄っていても、シュートを決めていた。本当はパスを欲しかったけれど、点を取る能力はすごかった。パスを欲しかったけど……(笑)。
一同 (笑)。
高田 だけど言えない。点を取ってくるから(笑)。
町田 器用な選手ですね。いろいろな得点の仕方があって、ボール運びもパスもできる。あの身長でそれができるのは高校生では見たことなかったというか。爆発力もありました。

2年次のウインターカップ決勝では50得点を叩きだした長岡 [写真]=新井賢一

――逆に今は敵になって嫌だなと思うところは?
長岡 富士通もシャンソン化粧品も嫌。私が3番ポジション(スモールフォワード)もやり始めたから、紗奈生さんに付く可能性があるのが嫌(笑)。
高田 紗奈生、勝ったね(笑)。

――本川選手、長岡選手がこう言ってます。
本川 全然怖くない。
長岡 じゃあ、(マッチアップしたら)全部ポストアップでいきます!
町田 チャージングを取られるかもよ(笑)。
長岡 富士通は、汐織さんは3ポイントシュートを決めるし、ディフェンスに付かれたらさっき言ったように手がうるさいから(笑)。
高田 なんかしようと思うもん。

――富士通の2人から見ると?
高田 2人ともポイントゲッター。チームとして本川、長岡を止めようというコンセプトで戦うから、それだけ中心選手というのはすごいなと思うし、誇らしいところはあります。
町田 ね、それはうれしくなるよね。
長岡 それを聞いてめっちゃうれしい。私も、同じ高校でやってきた先輩たちが、今もチームとしてフォーカスして守らないといけない存在というのは尊敬します。
高田 そのメンバーが高校の時に一緒にやっていたと思うと、確かにそれはすごいよね。
町田 恵まれたって思うよね。

――その高校時代を含めて、今の高校生にアドバイスをいただきたいのですが。
高田 楽しむのが一番だと思います。
町田本川長岡 あー、それ!
本川 山の手では楽しむことが一番だったので。
高田 自分たちが楽しまないと、見ている人に楽しんでもらうバスケットはできないというのが上島さんの教え。
町田 そこはみんな同じ考えだね。

――最後に、皇后杯に向けての意気込みをお願いします。
長岡 トヨタ自動車は、富士通とシャンソン化粧品と山が違うのですが、同じ山にはデンソー(アイリス)や三菱電機(コアラーズ)、トヨタ紡織(サンシャインラビッツ)などがいるので、上で戦えるようにがんばりたいです。個人的には点を取ることが役割だと思っています。
高田 初戦(準々決勝)の日立ハイテク(クーガーズ)に勝って、次の準決勝の相手がどこであろうと自分たちのバスケットをすることに変わりはないので、富士通らしいバスケットをしたいです。
町田 個人的には少し意識して点に絡むこと。それとチームの起点になれるように、速いバスケットを展開できるようにしたいです。
本川 JX-ENEOS(サンフラワーズ)が相手なので、最初からかみついていこうと思います。ひるまず、名前負けせずにバチバチと。(富士通の)準決勝の相手はシャンソンかもしれない!
町田 うん。うちらもまずは準決勝に上がれるようにしないと。
高田 まずはそこだよね。
本川 全力で戦って、見ている人に楽しんでもらえるようにがんばりたいです。

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