2022.03.15

三菱電機コアラーズ・藤田和…着実に成長続ける20歳の司令塔

2年目とは思えない落ち着いたゲームコントロールを見せる三菱電機の藤田和 [写真]=W LEAGUE
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「ゲームメイクがうまく、ゲームの作り方といった面で長けてると思います。『誰でどう攻めるのか』といったことも把握できていますし、リズムの取り方や鼓舞する力にも期待しています。2年目にしてこれだけのことができているので、高評価ですね」

 三菱電機コアラーズの指揮を執る古賀京子ヘッドコーチが、その働きを手放しで称えるのがポイントガードの藤田和。岐阜女子高校(岐阜県)から入団した2年目の選手だ。

 安定したボール運びに的確なパス回しを見せる藤田は、昨シーズンの出場は7試合に留まったものの、今シーズンは3月13日時点で20試合に出場。そのうち14試合はスターターとして奮闘している。

「1年目はまだコアラーズのバスケットもそうですし、Wリーグ自体も初めてだったので分からないことがたくさんありました。でも、2年目になって少しずつ分かり出してきて、今はスタートで出させてもらう中でコミュニケーションも取れるようになってきたと思います」(藤田)

 ルーキーイヤーはベンチで戦況を見守ることが多かったが、そのときも昨シーズン、メインのポイントガードを務めた川井麻衣(今シーズンよりトヨタ自動車アンテロープスへ移籍)の動きをみて「どうやってゲームを作っていくのか、また、ヘッドコーチが何を考えているのかを考えながら見ていました」という。その外から見て学んだことが今は「ちょっとずつ発揮できているかなと思います」と語った。

「試合ではいっぱいいっぱいのところがあるのですが、一緒に出ているメンバーやベンチからも声をかけてくれるので、助けてもらいながら(ガードとして)指示が出せています」と藤田。コメントこそ謙虚だが、コート上では落ち着いた様子を見せ、チームプレーにもしっかりとフィットしているように感じさせる。

 また、一人ひとりが役割を果たし、シュートへのプロセスをみんなで作り上げる三菱電機のプレーは、在籍していた岐阜女子高校とも似ているのではないか? そんなことを問うと、こんな答えが返ってきた。

「コアラーズを選んだ理由が、古賀ヘッドコーチに教えてもらいたいということと、自分のプレースタイルに合ってるかなと思ったからです。“チーム”で点を取ったり守ったりすることはすごく自分自身にマッチしていると思います」

 コート外ではどちらこといえば穏やかな性格で、率先して前に出るタイプではない。それでも、「ムード作りがうまい。すごく笑顔で話しかけるので、みんな落ち着くんですよ」と古賀HC。加えて「それに目配り気配りができる。(アーリーエントリーで)ハディ ダフェが加入しましたが、今は彼女も分からないことがたくさんある。そういうときにササッと隣にいって説明する。そんな様子が垣間見ることができます。ガードは小さいことを要求されるポジションなので、そういったことができるというのは、素晴らしいと思いますね」とも語った。

「試合で(やってきたことが)できると、すごく“ハマる”感じが分かるんです。不安もあるけれど、楽しいとかワクワクすること方がすごく大きいですね」とWリーグでの戦いに声を弾ませる藤田。日本代表クラスのガードたちとのマッチアップには「普通の感想で言えば“すごいな”となるのですが、戦う中で得るものがあって、『こういうことは通用するんだ』というのが分かるので、吸収できるものがたくさんあります」と目を輝かせた。

 まだ20歳。当面の課題は3ポイントシュートと、「1対1でスコアまで持っていける力を付けること」という若き司令塔にとっては、失敗も成功も試合でのあらゆる経験が今後の糧となる。

「今はベテランと試合に出ていますが、若手同士の中でどうやって(オフェンスを)創出していくか。人それぞれ何が得意で不得意なのかも今後は把握していってほしいと思っています。そういうIQはあると思っているので、もっともっと要求していきたいですね」(古賀ヘッドコーチ)と、指揮官も大きな期待を寄せている。

「パスを回すことやディフェンスでハッスルし、ルーズボールを追うこと」を自身の仕事に挙げた藤田和 [写真]=W LEAGUE

文=田島早苗

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