2022.03.21

持ち味を発揮する昨季新人王のトヨタ紡織・平末明日香…プレーオフでは「下剋上を狙います」

2年目の今シーズンはシックススマンとして出場することも多くなった平末[写真]=W LEAGUE
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2年目を迎え、自身の持ち味を再確認

 Wリーグの『ルーキー オブ ザ イヤー』(以下、新人王と表記)は、選手にとって受賞のチャンスは一度しかない。これまで、現役選手でいえば髙田真希(デンソーアイリス)や渡嘉敷来夢(ENEOSサンフラワーズ)、町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)といったトップ選手たちがその栄誉に輝いてきた。そして昨シーズン、激しい争いを制して新人王を獲得したのがトヨタ紡織サンシャインラビッツの平末明日香だ。

 東京医療保健大学からトヨタ紡織に入団した平末は、1年目となる昨シーズン、レギュラーシーズンでは19試合に出場し、16試合でスターターを務めた。1試合平均10.6得点という数字を残すなど、その活躍は目覚ましく、中でも開幕戦でいきなり16得点8アシストと大暴れしたことは記憶に新しいところだろう。

 そして迎えた2年目。シックススマンとして出場することも多くなった今シーズンについて平末自身に聞くと、こんな答えが返ってきた。

「昨シーズンは『自分でやる』といった感じで『前のめり』になっていて、いいプレーができなかったと思っています。でも、今シーズンは一歩引いて、シックススマンとして出ることも多いので、ベンチから『相手が狙っていること』、『こちらの狙いどころ』などをしっかり見てからゲームに入ることができています」

 また、「昨シーズンよりもフィールドゴールのパーセンテージが上がり、アシストも増えました。ターンオーバーは今シーズンのほうが多いのでそこは課題ですが、総合的に見て数字が良くなっているので、2年目にして何か少しつかめたのかなと思います」と手応えも感じているようだ。

 先述したように今シーズン、途中からは2番手ガードとして出場しているが、それについても、「マイナスな気持ちは全然ないです」と力強くコメント。「知花(武彦)ヘッドコーチも今シーズンはタイムシェアしていくと言っていたし、短いプレータイムの中で結果を残すということの難しさを感じながらも、やりがいも感じています」とも語った。

シックスマンとして短いプレータイムの中で結果を残すことが求められる[写真]=W LEAGUE

 しかし、そういった考えに行き着くまでには葛藤もあったようで、「最初は(現在スタートを務める)坂本美樹さんのようにならないといけないと思っていました。でも、私は坂本さんにはなれないし、逆に坂本さんも私にはなれない。そのことに気づいてからは坂本さんと違う良さ、自分らしさを出していこうと思い、そこでプレーも良くなっていったと思います」と言う。

 それこそ、開幕から4戦目まではスターターを務めていたが、「スタートで出たからというわけではないのですが、どこかでコントロールしなきゃいけないと思っちゃったんです」と平末。「もちろん、スタートではなくなったことは悔しかったのですが、私の良さってコントロールとかではなく、自分で点を取りにいけることだと改めて気づくことができました」と、序盤戦のちょっとしたつまずきが、自分らしさを取り戻すきっかけにもなったと振り返った。

レギュラーシーズン全試合を終え、見据える先はプレーオフ

 トヨタ紡織は、3月13日にレギュラーシーズンの24試合を終え、プレーオフに向けて強化を図っている最中。最終的な順位はまだ決まらないため、プレーオフでの対戦相手は未定だが、「リバウンドは全員で取り切ることを徹底していきたいです。それと堅守速攻。速い攻めで相手をかき回していきたいです」と平末は意気込む。

 レギュラーシーズンでは、昨シーズンの4強であるトヨタ自動車アンテロープス、ENEOS サンフラワーズ、富士通 レッドウェーブ、デンソー アイリスと対戦し、勝利はわずかトヨタ自動車戦の1勝のみ。分は悪いが、日本一に向けては倒さないといけない相手たちでもあることも承知している。そのため、「私たちはずっと上位のチームを意識して練習しているので、それをプレーオフでは全部出し切りたいです」と抱負を語る。さらには、「プレーオフでは(レギュラーシーズンの)順位とか関係ないので、下剋上を狙います!」と頼もしい言葉も発した。

 スピードを生かしたドライブや速攻、確率の上がってきた外角シュートなど、自身の持ち味を発揮し、1年目とはまた違ったスタイルをしっかりと披露している平末。気持ちの強い司令塔は、プレーオフでの勝利を誓うとともに、その先に目指す日本代表への思いも強く描いている。

「女子アジアカップなど見て本当に刺激をもらったし、そういうところで活躍してる人たがすごく輝いて見えました。私もそういった場で活躍して、周りの人に元気を与えたいので、そこは自分自身の一番の目標だと思っています」

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