2022.05.06

白熱の展開となったWリーグオールスターゲーム…三好と篠崎が引退の花道を飾る

2日間に渡り、終始笑顔が絶えなかったWリーグオールスター[写真]=W LEAGUE
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

 当初予定されていた1月開催が延期になったことがかえって良かったのではないか……国立代々木競技場第二体育館で5月4日・5日に開催されたWリーグオールスターは、そう思わずにはいられない展開となった。

 昨夏の東京オリンピックにおける5人制の銀メダルの快挙と、金メダルのアメリカに唯一土をつけた3人制の活躍を受け、今シーズンのWリーグは大きな注目を浴びていたが、それまでも常に上質のコンテンツをファンに提供し続けてきた。その最たるものがオールスター。今回もフレッシュオールスターや3x3オールスターマッチ、過去2シーズンに引退した選手が集った「LAST GAME」がファンの心をつかみ、スキルズチャレンジと3ポイントコンテストも激戦の展開で盛り上がったが、最も沸いたのはやはりオールスター本戦。選手たちは至福のひとときを披露してくれた。

笑顔溢れるオールスターゲームが開幕

 試合はチーム渋谷・宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)とチーム原宿・三好南穂(トヨタ自動車アンテロープス)というガード2人のジャンプボールで幕を開けた。これを制したのは三好だったが、最初のポゼッションで篠崎澪(富士通レッドウェーブ)がスティールから速攻レイアップを決めてチーム渋谷が先制点。選手紹介で最も多くの拍手を浴びた2人がいきなり見せ場を作ったことは、その後の展開を予感させるものだった。

三好と篠崎にとってはこのオールスターゲームが現役最後の晴れ舞台に[写真]=W LEAGUE

 ほかの選手も心得たもので、篠崎の高校の後輩でもある宮澤夕貴(富士通)はミスマッチを突いて篠崎にポストアップを仕掛けて得点。また、三好がディフェンスリバウンドを取ると一目散に走ってパスを受け、レイアップを決めたのが三好の高校の後輩でもある馬瓜エブリン(トヨタ自動車)。第2クォーターには篠崎と元チームメートの長岡萌映子(トヨタ自動車)のマッチアップもあり、この試合が現役最後の晴れ舞台となる2人を目立たせようと、周囲も演出を施した。

 演出といえば、オールスターではお馴染みのベンチパフォーマンスも健在。第1クォーター残り1分20秒にチーム原宿がタイムアウトを取ると、ベンチの椅子を並び替えるなど慌ただしく動きだしたのはむしろチーム渋谷のほうだった。山本麻衣(トヨタ自動車)ら5人が水分補給用に手にしたのは哺乳瓶。一昨シーズンのオールスターでも見せたパフォーマンスだが、東京オリンピックを機にWリーグに興味を持ったファン層には新鮮に映ったに違いない。なお、チーム渋谷はその後パンスト相撲や鵜澤潤ヘッドコーチの鼻毛ブラジリアンワックスなども披露したことを付け加えておきたい。

哺乳瓶で水分補給を行うチーム渋谷[写真]=W LEAGUE

後半戦は怒涛の展開に

 33-43で迎えた後半は、リードするチーム渋谷のカーリングパフォーマンスでスタート。しかし、三好のために勝利を貪欲に目指したチーム原宿が徐々に点差を詰め、一進一退の展開に。第3クォーター終了間際に飛び出した本川紗奈生(デンソーアイリス)のレイアップが、あるはずのないリプレー検証を要求したチーム渋谷の猛アピールも実らずカウントされ、58-58の同点で第4クォーターに突入する。

 その第4クォーターも接戦が続き、残り2分を切って三好が連続3ポイントを決めたかと思えば、篠崎もお返しの3ポイント。そしてチーム原宿3点リードの残り11秒、ターンオーバーを犯した本川が本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)に思わずファウルし、空気を読んだ審判がアンスポーツマンライクファウルをコール。本橋はフリースローを1本外したが、残り0.5秒で渡嘉敷来夢(ENEOS)が値千金のシュートを決め、試合は延長戦にもつれ込む。

オールスターゲームでも勝負強さを発揮した渡嘉敷[写真]=W LEAGUE

 だが、チーム渋谷の粘りもここまで。チーム原宿が敷いたビッグラインアップのゾーンディフェンスを崩せず、92-86でチーム原宿に軍配。最後は三好が篠崎にマッチアップを提案し、互いにドライブを決めて引退の花道を飾った。

 試合後のセレモニーでは2人がマイクの前に立ち、ファンへ挨拶。篠崎が「お客さんが自分のタオルやパネルを持ってくださっているのがうれしくて」と感極まったのに対し、20得点の活躍でMVPに選ばれた三好は「最高のバスケットボール人生でした!」と声を張り上げた。2557人のファンが見守る中、2人は最後まで“らしさ”を見せてコートを去っていった。こんな展開が待ち受けているとなれば、来シーズン以降はオールスターをシーズンのエンディングイベントにしたほうが良さそうだ。

最後は熱いマッチアップ披露し、現役最後の花道を飾った篠崎(左)と三好(右) [写真]=W LEAGUE

BASKETBALLKING VIDEO