2022.10.20

新指揮官対決で幕を開けたWリーグ…トヨタの大神HCが記念すべき初勝利を飾る

リーグ戦初さい配で初勝利を挙げたトヨタ自動車の大神HC [写真]=Wリーグ
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 第24回Wリーグが10月19日開幕。国立競技場代々木第二体育館で行われた開幕戦は、他のチームに先んじてトヨタ自動車アンテロープスとENEOSサンフラワーズが対戦した。

 トヨタ自動車が大神雄子、ENEOSが佐久本智と今シーズンから指揮官が替わった両チーム。新体制の中でどのような戦いをするかに注目が集まったが、スタートダッシュに成功したのはトヨタ自動車。プレッシャーの高いディフェンスで主導権を握ると、第1クォーターを20−8と大きくリードを奪う。後半、反撃したいENEOSは林咲希を投入すると、その林が12分37秒のプレータイムで14得点を挙げるなど奮闘したが、前半のビハインドを埋めることができず。

 開幕戦は70−57でトヨタ自動車が勝利。大神HCに初勝利をプレゼントした。トヨタ自動車は山本麻衣が23得点でゲームハイのパフォーマンスを見せただけでなく、ENEOSに23本のターンオーバーを誘発させたディフェンスが勝因と言えるだろう。

開幕戦はトヨタ自動車が70−57でENEOSに勝利 [写真]=Wリーグ


「このチームはまずはディフェンスからと言うことができます」

 試合後のメディア対応で大神HCは笑顔を見せた。初采配に緊張したと振り返った新指揮官だが、大量リードの中で迎えた後半、早めのタイムアウトでゲームの流れを修正するなど、細やかな指揮を発揮した。

 3連覇を目指すチームだが、東京オリンピックで銀メダルを獲得した三好南穂が引退。長岡萌映子がENEOSに移籍し、馬瓜エブリンが休養のためチームを離れるなど、チームを支えた主力が離脱し、若手中心のメンバー構成となった。

 それだけに、「多分(勝利を)意識していたのかもしれません。少しでも流れ悪くなったら、すぐに断ち切ろうと思っていました。新米HCなので、『ちょっと変じゃないか』という見方もあったと思いますが、ただ、やっぱり若いチームなので、どこかで早めに断ち切って先手を取ろうと思っていました」と大神HCは振り返った。

 FIBA女子ワールドカップに出場のためにチームから離れていた山本、馬瓜ステファニー。さらに大会が終わって帰国した後には、「とにかく一旦バスケットボールについてリセットしてほしい」と、1週間近い休みを与えたという。これは自身の経験をもとにした判断だったそうで、「残っているメンバーで6月からスタートして、やるべきことをとにかくやってきた感じでした。全員が揃った練習は4、5回でしたが、その中でそれぞれがやるべきことを証明してくれたんじゃないかなと思います」と試合を総括した。

 今シーズンの戦い方について、「今日出場したのは8人でしたけれども、11人全員が誰が出ても同じように戦うという目標をチーム全員で掲げているので、この面も意識して練習をやっていきたいと思います」と力を込める。

 シュートの確率や細かい連携、それにHCの采配など、まだまだ修正していかなければならない点は多い。しかし、Wリーグの大海原に繰り出した“太神丸”はまずまずの船出を果たしたと言えるだろう。

初勝利にホッとした表情を見せた大神HC [写真]=バスケットボールキング編集部


文=入江美紀雄

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