2022.10.24

要所を締める3ポイントシュートも健在…開幕節を連勝に導いた富士通・宮澤夕貴

2試合で計47得点17リバウンドを挙げ、躍動した宮澤[写真]=W LEAGUE
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 10月19日に開幕したWリーグ。21日と22日には大田区総合体育館にて昨シーズン準優勝の富士通レッドウェーブと9位の東京羽田ヴィッキーズが、それぞれ開幕となる2試合を戦った。

「(富士通の)武器はディフェンスなのに、ディフェンスのところでやられてしまいました。3ポイントシュートは全部守れないけれど、それでも(相手の)“3ポイント祭”になってしまい、そこからディフェンスが緩くなってしまいました」

 第1戦の試合後、BTテーブスヘッドコーチがこう振り返ったように、富士通は第1クォーターで東京羽田に3ポイント5本を含む30得点を許してしまう。第2クォーターはディフェンスを修正し、相手の3ポイントを2本に抑えたものの、前半を終えて32-47と15点のビハインドを負った。

 しかし後半に入ると、ディフェンスがより一層ハードになった富士通は、東京羽田を追随。第4クォーター残り5分半のところで宮澤の3ポイントで逆転に成功すると、最後は77-73で逆転勝ちを収めた。

 この試合、25得点8リバウントをマークし勝利の立役者となったのが宮澤だ。

 前半こそ放ったシュートが決まらず、2得点で終えたものの、後半になると、「前半はペイントアタックができていなくて、ずっと外のシュートになってしまい、そのシュートが外れていました。後半はもう少しぺイントを崩していかないと厳しい戦いになるのかなと思い、(インサイドで)面を取るようにしました」と、リング下でも積極的に攻撃を仕掛けて得点。それでも、会場が最も沸いたのは宮澤の代名詞ともいえる3ポイントが決まったときだ。

後半では積極的なペイントアタックや3ポイントで得点を量産した[写真]=W LEAGUE

 9月の「FIBA女子ワールドカップ2022」では本来の力を発揮できず、放った3ポイントは5試合で11本のみ。その11本ともリングを射抜くことはできなかった。

 それだけに、“待望の3ポイントシュート”となったのだが、宮澤は、「(3ポイントは)自分の仕事だからやり切らないといけないと思ってます」と冷静にコメント。だが、「待たせちゃってすみませんというか…」とも苦笑いで語った。

「(試合の)出だしが少し良くなかったから(ワールドカップを)引きずっているのかなと見られたとは思うのですが、チームに戻ってきた時点でワールドカップを引きずってる感じはなかったし、シュートタッチも悪くないです」

 頼もしい言葉を発した宮澤は今シーズンからキャプテンに。それでも、「チームをまとめなきゃいけないというのは、キャプテンではなかった昨シーズンからずっとやってきたこと。特に何かが変わった感じもしなくて」と言う。変わったことはといえば、「(掛け声で)『ワン、ツー』と言うこととか挨拶に行くこととかですかね(笑)」と笑顔も見せた。

 続く東京羽田との第2戦では、第1クォーターから積極的に攻めて27分半の出場で22得点9リバウンドをマーク。試合は、前半から得点を重ねた宮澤の活躍もあり、富士通が、81-50で連勝を飾った。

宮澤はキャプテンとしてチームを開幕2連勝に導いた[写真]=W LEAGUE

 今シーズンの富士通は、昨シーズンまでの8シーズンで主軸を務めた篠崎澪が引退。また、オコエ桃仁花がギリシャリーグに移籍した。オールラウンダーの宮澤はそれまでも得点源であり、リバウンドでも活躍はしていたが、さらに課せられる役割は増えるだろう。それは宮澤自身も承知のところ。

「そのとおりだと思います。得点の面で(昨シーズンより)マイナスなところがあるので、それまではそんなにインサイドをやらなくてもよかったのですが、そうもいかなくなりました。それに待ってるだけではチャンスは来ない。だからそういうときにどうやって攻めていったらいいかというのを、(これから)チームの中で見つけられたらいいなと思っています」

 得点やリバウンド、そしてディフェンスなど、あらゆる面で貢献度の高い宮澤。「いつも大事にしてるのはリバウンド。このチームだとなおさらリバウンドが大事だと思います」と、語る口調からは、まだまだチームについても、自身のプレーについても納得はしていない様子。だが、開幕2連戦は、エースとして、またリーダーとしての存在を大いに見せつけた試合となった。

取材・文=田島早苗

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