2023.02.28

9シーズンぶりのホームゲームにENEOS・渡嘉敷来夢は「みなさんと作った試合」

9年ぶりのホームゲームで活躍を見せた渡嘉敷[写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「久しぶりのゲームでしたが、良いところもあり、相手のプレッシャーを感じたときにバタバタしてしてしまうといったような課題も出たりしました。勝つことだけでなく、内容にもこだわっていきたいです」

 2月25日、新潟アルビレックスBBラビッツに勝利したENEOSサンフラワーズの渡嘉敷来夢は、1月28日以来、約1カ月ぶりとなった試合を終えてこう振り返った。

 新潟との初戦は、序盤からチームディフェンスで圧倒したENEOSが第1クォーターを31-13とリード。その後もコンスタントに得点を重ね、終盤にはバックアップメンバーたちも果敢にリングに向かうなど、最後は102-59で大勝した。

「1試合1試合がプレーオフに向けて大事になってくるので、そういった意味でも相手がどこであろうと、チャンスがあれば自分で攻めながら、アシストなどで周りの選手も生かすことができたらと思っています」と自身のことについて語った渡嘉敷は、24分弱の出場で28得点12リバウンド4アシスト。翌日の2戦目でも約25分の出場で24得点12リウバウンド6アシストをマークした。

 この2日間にわたって行われた新潟との一戦は、ENEOSの本拠地である千葉県柏市での開催。実に9シーズンぶりとなるホームゲームとなった。それこそ、9シーズン前までは、ほぼ毎シーズンのように柏市中央体育館で行われていたホームゲームだったが、現在、当時を知る選手は渡嘉敷と岡本彩也花の2人だけ。「いつも以上に会場が黄色かったので、うれしかったですね。選手たちもそうですが、体育館に来てくれたみなさんと作った試合だと感じました」と、喜びを語った渡嘉敷。「そりゃタップシュートも入るわみたいな感じですね(笑)」と、笑顔も見せた。

 タップシュートとは、1戦目の第1クォーターでリバウンドに跳んだ渡嘉敷が、高い位置でボールに触ると、そのままタップしてリングへと押し込んだシーンのこと。このプレーと後半に見せた超ロングパスには、会場から大きなどよめきが起きていた。

「柏だったから、いいシュートも決まったし、タップシュートやロングスローにも沸いたんだと思います」という渡嘉敷。彼女にとってもまた、柏市中央体育館はいろんな思い出が詰まっているそうだ。

「私が1年目のシーズンはここでトヨタ自動車と試合をしてるんです。今までスタートではなかったのがトヨタ自動車戦からスタートになって。1戦目は点差が開いての勝利で20分ぐらいの出場だったんですけど、2戦目は延長だったから40分以上出て…。なんか血の味がした思い出しかないです(笑)。この体育館に来ると、それを思い出すんですよね。あの試合は一生忘れられないです」

 ほかにも、「確かはじめて緑色のユニフォームを着てプレーしたのがここだったと思うんですよ」と、話は尽きない。それだけ、渡嘉敷がキャリアを重ねてきた過程の中で切り離すことのできない体育館でもあるのだ。

ディフェンスでも貢献した渡嘉敷(左)[写真]=田島早苗

 その渡嘉敷は、この2試合のホームゲームで『とかシート』を実施。これは「前からずっとやりたかった」という渡嘉敷が、ペア2組計4名を各試合で招待するというもの。試合観戦だけでなく、渡嘉敷のサイン入りのタオルなども提供された。今回は、渡嘉敷がチームとともに行なっているオンラインイベント『TOKASHIKI Tuesday(とかしき チューズデー)』から募集したが、いずれは人数を増やしていきたいという。

「少しでもバスケットがメジャーになったり、試合を見るキッカケになったりすれば。今回、会社や体育館、柏市の方たちの協力のもと、ホームゲームで実現することができました」と、渡嘉敷。

 そこには、「バスケット観戦が夢につながる影響を与えるのかなと感じています。最終的な夢がバスケットでなくてもいいんです。何かにつながれば」という渡嘉敷の思いが込められている。

 そもそも、2021年11月から始めた『とかしき チューズデー』も、「若い子たちに夢や希望を持ってもらいたい」という意味があって行なっているもの。

「たくさんの人に試合を見てもらい、身近に私やアスリート触れてもらったらうれしいなと思いますね。自分にとってもいい時間になりました」

 9シーズンぶりのホームゲームは、渡嘉敷にとっても充実した2日間となったようだ。

文=田島早苗

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