2023.10.05

“憧れの存在”吉田亜沙美の加入が刺激に…アイシンの司令塔・酒井彩等「とても楽しみ」

昨シーズンは全試合でスターターの司令塔として奮闘した酒井[写真]=兼子愼一郎
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

■ 節目のシーズンに実現「夢のよう」

「本当にこんなことあるんだなって。10年近く頑張ってきて良かったなと思いました」

 2014年に入団してからアイシンウィングス一筋の酒井彩等にとって、今シーズンは、これまでとは違ったシーズンとなるだろう。

 オフシーズン、最も話題をさらったのが吉田亜沙美の現役復帰だ。4月20日に本人と所属するアイシンとが入団の発表をすると、SNSなども大いににぎわった。

 酒井も「ミニバスの頃から目指していたのがリュウさん(吉田)。プレースタイルなどあらゆる面で目指していたし、尊敬していた人だったので、チームに来ることになって本当にビックリしました」と、当時のことを振り返る。

 愛知県出身の酒井は、昭和ミニバス、若水中学校、桜花学園高校とエリート街道を歩み、小中高といずれも主軸として全国制覇を達成。卓越したスキルと高いシュート力を武器にポイントゲッターとして活躍した。また、高校1年生のときには、U16女子日本代表の一員としてアジアチャンピオンにも輝いている。

 ちなみに、そのU16女子日本代表の仲間でもある宮崎早織が、吉田の所属していたENEOSサンフラワーズに入団した際には、宮崎に直接、「一緒にプレーできてうらやましい」と、伝えたそうだ。

 もちろん、アイシンに入団してからは吉田との対戦もあったのだが、「まだ試合に出始めた頃だったので、リュウさんとマッチアップできるという楽しみやチャレンジ精神でいこうという思いはあったけれど、もう無我夢中で。試合にのめり込んでいました」という。

 そんな憧れの選手だったからこそ、Wリーグで10シーズン目という節目に吉田とチームメートになったことは、青天の霹靂でもあり、「夢のよう」(酒井)でもあるのだ。

■ 新シーズン目前“リュウさんの存在”が刺激に

ミニバス時代から目標としていた吉田亜沙美とともにシーズンに臨む[写真]=兼子愼一郎

 同じポジションでもある吉田が本格的に合流してから約3カ月。酒井には一緒に練習をする中で多くの気づきがあったようで、「リュウさんが武器とする『パス』は、見ているところが違うなと思いました。パス一つ一つに気遣いや気配りがあって、いろいろなことを心がけてパスを出しているのが伝わります。選手一人ひとりに対するアプローチを変えているというか、選手の特長を見てプレーするという気遣いがすごいです」と、言う。

 ENEOS時代にはチームを幾多の優勝へと導き、日本代表としてもリオデジャネイロ・オリンピック(2016年)やワールドカップなどで世界を相手に戦ってきた吉田。日本女子バスケット界のレジェンドともいえる彼女は現在35歳だが、「トレーニング一つとっても、絶対にきついはずなのに100パーセントでやるし、練習中の声も人一倍大きい。そこだけを見てもやっぱり違うなと思います」と、やはり吉田からもらう刺激は大きいようだ。

 今はオフコートでも一緒に過ごす時間も多く、仲の良い間柄。「私もシャイなんですけど、リュウさんにはなぜか(コミュニケーションを取りに)自分から行っちゃったんですよね」と、酒井は笑顔で話す。

 9月30日に行われた記者会見では、吉田が「そんなに(試合は)出ないと思います」といった発言をしたが、酒井は、「出てもらわないといけない場面は絶対出てくると思います」と、キッパリ。加えて、「自分がダメでも、リュウさんがいるという心強さってないですよ」と、声を弾ませた。ただ一方で、「リュウさんからは、『保険をかけない』『自分を当てにしない』と言われているし、私としてもリュウさんに頼らず頑張りたいという思いはあります」とも力を込める。

 チームは吉田のみならず、野口さくらや飯島早紀といったキャリアのある選手たちが移籍で加入。「昨シーズンからベースにしているオールコートのマンツーマンディフェンスは強度も上がっています。それに、ビックマンはいないけれど、昨シーズンよりもどこからでも点が取れるというのは魅力だと思います」と酒井。その中でキャプテンとして、また正ガードとして、「トランジションの速さは出したいし、まず私のできることはディフェンスで一線からプレッシャーかけて相手のリズムを崩すこと。オフェンスでは積極的に点を取りに行き、そこからパスをさばくというスタイルでやっていきたいです」と、意気込む。

 昨シーズンは、3ポイントシュートのタイトルを獲得するなど得点力のある酒井。ベテランの域に入ってきた中で迎える今シーズンは、一緒にプレーすることが「とても楽しみ」という憧れの存在とともに新たな戦いに挑む。

取材・文=田島早苗

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