2018.09.26

プエルトリコ戦の勝利に流れを作った町田瑠唯のゲームメイク

プエルトリコ戦で復調の兆しを見せた町田[写真]=三上太
本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

「FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2018」の予選ラウンド第3戦。女子日本代表はプエルトリコ代表を69-61で下し、予選ラウンド突破を決めた。しかし試合後のトム・ホーバスヘッドコーチの表情は冴えない。

「とりあえず勝ちました。でももっといいバスケットを見せたかった。15点リードしていたのに、そこでのターンオーバーやミスショットが多かった。あまり頭を使っていないバスケットをしてしまった。僕はそれに対するプライドがある。もっと頭を使ってプレーしてほしいのだけど、今日はそれがあまりよくなかった」

 リードを広げたかと思ったら、その差を縮められ、また広げては、縮められる。そんな波のあるゲームをしていては、女子日本代表が目指す世界のメダルには到達しない。ホーバスHCはそう言いたいわけである。

「髙田(真希/デンソー アイリス)と宮澤(夕貴/JX-ENEOSサンフラワーズ)はいいバスケットをしている。でもあの2人だけでは難しい。もう1人か2人、ステップアップしなければ難しい」

 内容的には決して良くなかったゲームで、ステップアップとは言わないまでも復調の兆しを見せた選手がいる。ポイントガードの町田瑠唯(富士通 レッドウェーブ)である。

「ベンチで見ていてちょっと重いなと感じていたので、とりあえず自分が出たときはボールをプッシュして、みんなはしんどいかもしれないけど、ペースを上げて、3ポイントシュートだったり、インサイドでの得点につなげれたらと思って、コートに入りました」

重たい日本の流れを一変させ、計7アシストを記録[写真]=三上太

 その言葉どおり、第2クォーター残り6分52秒でコートに入ってくると、重たい展開に覆われていた日本の流れを一変させた。19歳コンビの赤穂ひまわりとオコエ桃仁花(ともにデンソー)を走らせ、髙田の速攻を呼びこみ、宮澤の3ポイントシュートも引きだした。町田がこの日に記録した7アシストのうち、6つはこの時間に稼いでいる。

 大会が始まる1カ月前まではスタメンの座にいた町田だが、最後の海外遠征へ行く直前に左足首をねん挫し、自身も懸念していたとおり、その座を本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)に譲ることになってしまった。そこへの気持ちの切り替えがうまくできず、初戦のスペイン戦こそ2番手としてコートに立ったが、ベルギー戦以降、プエルトリコ戦も3番手のポイントガードに下がってしまった。むろんゲーム展開や相手とのマッチアップ等を考えての起用ではあるが、町田はようやくその状況を受け入れ、今日の3戦目を戦った。

 「正直なところ、最初はきちんと切り替えができていなくて、自分のプレーも全然よくなかったんです。でももう吹っきれたというか、これからも大事な試合が続くし、自分は出たときに自分のやることをやるだけだなとしっかり切り替えてやることができました。ここ3試合の中では一番自分らしくできたかなと思います」

「ここ3試合の中では一番自分らしくできた」と振り返った町田[写真]=三上太

 切り替えることさえできれば、町田は身長の低さを十分に補うだけの実力を持っている。プエルトリコ戦でそれを証明することもできた。試合が始まれば、コートに出ていく順番は関係ない。いかに自分のプレーをして結果を出すかだけである。3人のポイントガード陣のなかでもっとも多くの経験を積んできた町田のゲームメイクは、ここからさらに研ぎ澄まされていく。

写真・文=三上太

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