2018.10.02

目標に届かなかったからこそ見えた壁…女子日本代表が踏みだす次の一歩

W杯はベスト8決定戦で敗退した日本。2年後の東京五輪でメダル獲得を目指す [写真]=三上太
本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

 2年後の東京オリンピックで金メダル獲得を目指す女子日本代表は、そのためのステップとして「FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2018」でのメダル獲得を目標に掲げた。しかしその目標を達成することはできず、「9位」(結果はベスト8決定戦敗退。順位は予選ラウンドの勝敗などによって決定)で大会を去ることになった。

 何が足りなかったのか――古くから見ているファンは「吉田亜沙美、大崎佑圭、そして何より渡嘉敷来夢(いずれもJX-ENEOS サンフラワーズ)がいないのが大きいんだ」と言うかもしれない。チームが若返った分、国際舞台での経験が不足していたんだと。それを真っ向から否定するつもりはない。確かに今回のチームにはオコエ桃仁花、赤穂ひまわり(ともにデンソー アイリス)という20歳になるかどうかの若い選手が加わった。正ポイントガードの座についた本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)は25歳だが、いわゆるA代表には初めて選出されている。国際舞台での戦い方に慣れていない選手がいないのは事実である。

 しかし、キャプテンの高田真希(デンソー)は言う。

「今年は50人くらいから強化合宿が始まっているので、いろんな人たちの思い……もちろんファンの人たちの思いも含めて、自分たちには責任があるとみんなに話してきました。誰かがいないとか、誰かが抜けたからっていうのは言い訳になるよと。このメンバーでメダルを獲得したいし、このメンバーでやり遂げたいという思いはありました」

主将としてチームをけん引した高田 [写真]=三上太

 だから、この結果は自分たちの力不足でしかない。高田はそう認めるわけである。力不足を認めた上で、高田は今大会を、日本が本気で東京オリンピックでメダルを目指す「リスタートのスタートライン」と位置付ける。

 4年前にトルコで行われたワールドカップ(当時は世界選手権)では1勝もできずに帰国を余儀なくされた。そこから立て直した日本は2015年のアジア選手権(現在のアジアカップ)で優勝し、2016年のリオデジャネイロオリンピック出場を決めている。そのリオデジャネイロオリンピックでも、最終的にはアメリカに敗れたもののベスト8まで勝ち進んでいる。「やりきった感触はあったし、自分たちのバスケットができた」と高田は当時の手応えを今も覚えている。その翌年、つまり2017年のアジアカップでもオーストラリアを破って大会3連覇を達成した。

「4年前の世界選手権は悔しいというよりも、あっという間に終わった感じがあります。そこからいい経験を積んできたというか、上り調子で来ていただけに、今大会は久しぶりに心から悔しいという思いがあるんです」

 リオデジャネイロオリンピック後に指揮官に就任したトム・ホーバスヘッドコーチも、今回の12名で戦ったことに誇りを持っている。それぞれの選手の成長を認め、特に馬瓜エブリン(トヨタ自動車 アンテロープス)について言及する。

「馬瓜もいい仕事をしました。彼女はたぶん自分の弱いところがわかってきたと思う。練習中、僕は何度も彼女にそれを言ってきたんですけど、それを大会で見せたくれた。それは彼女が僕の伝えてきたことを理解してきたからだと思う。本人が理解したときから選手はうまくなる。今までしつこく言ってきたけど、本人が『ああ、わかった』と思えたときからうまくなるんです」

現在23歳の馬瓜にはさらなるステップアップが期待される [写真]=三上太

 むろんこの結果に満足しているわけではない。フィジカル面の強化はこれまで以上に追求していかなければいけないし、中国やオーストラリアなど2メートルを超すビッグマンのいるチームに対するディフェンスも再考の必要がある。シュートの精度を上げることも、これまで以上に求められるだろう。中国戦の翌日に会ったホーバスHCはすでにそんな対策を考え始めていた。

「今大会は渡嘉敷や吉田がいなかったから、残っているメンバーがステップアップしました。結果は出せなかったけど、僕は自信を持っていますよ。当たり前だけど、東京オリンピックで日本はメダルを狙えると思っています」

東京オリンピックへの挑戦はすでに始まっている [写真]=三上太

文=三上太

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