2019.05.19

「このままじゃいけない」…激動の1年を過ごした本橋菜子が描く、東京五輪への道

昨年代表に初招集され、大きく飛躍した東京羽田の本橋[写真]=兼子慎一郎
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昨年4月に日本代表候補に初選出され、6月の「バスケットボール女子日本代表国際強化試合2018 三井不動産カップ」では約16分間で6得点5リバウンドに加え、驚異の12アシストを記録した本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)。鮮烈な代表デビュー後も結果を出し続けると、「FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2018」にも出場を果たし、全試合で先発を担った。自身がキャプテンを務める東京羽田では、チーム史上最高の6位でシーズンを終えるなど、本橋にとっての2018年は、まさに飛躍の年となった。2020年東京オリンピックも迫った今年、25歳のポイントガードはどのような1年を送ろうとしているのか。今年度も日本代表候補に名を連ねた本橋に、話を聞いた。

インタビュー・文=小沼克年
写真=兼子慎一郎、田島早苗

――いきなりですが、本橋選手にとって昨年はどんな1年になりましたか?
本橋 去年代表に初召集されて、まさかワールドカップまで出場できるとは思っていなかったですし、(代表)合宿もすごく濃厚でした。一つひとつの質とか細部までのこだわりとかが自分の中で刺激になりましたし、それを毎日突き詰めてやれたことが今の自分につながっていると思います。東京羽田ヴィッキーズに戻っても、代表で学んだことを伝えることでチームも変わっていったと思いますし、すごくいい経験になりました。

――初めて候補メンバーに選ばれた時の気持ちは覚えていますか?
本橋 『まさか!』でしたね(笑)。でもその時は、一気に52人も招集されて、なおかつ各チーム1人以上は呼ばれていたんです。なので、私は(東京羽田の代表として)その中の1人なのかなと思っていたんですけど、せっかくの機会だからたくさんのことを吸収したいし、学びたいという気持ちでやれるだけのことはやりました。

――最初から練習にはついていけましたか?
本橋 ついていけないというよりは、「必死についていった」という感じです。

――代表デビュー戦では、いきなり12アシストをマークしました。最初から活躍できる感触はありましたか?
本橋 自信はなかったですね。でも、“当たって砕けろ精神”で合宿も積み重ねて毎日充実していたし、「すべて出しきって、ダメだったらしょうがない」という気持ちでやっていたので、それがいい結果につながったのかなって。

――改めて、ご自身の強みを教えてください。
本橋 主にドライブと3ポイントの得点力の部分ですね。あと、パス、シュート、ドライブのバランスも評価してもらっていると思います。

本橋の実力は、トム・ホーバスHCから「ポイントガードの中で一番いい」と言わしめるほどだ[写真]=兼子慎一郎

――昨年を振り返って、最も成長できたところはどこですか?
本橋 んー、何だろ? 自分が空いたら迷わず打つというシュートチャンスを逃さないことを意識していたので、そこは得点にもつながりましたし成長できたと思います。

――Wリーグでは、プレーオフ初戦で富士通レッドウェーブを退けて6位という成績で終えました。昨季に比べ、チームが変化した部分はありますか?
本橋 いろいろ要因はあるんですけど、一番はチームがうまくまとまったことだと思います。特にプレーオフでの試合、富士通とセミファイナルのデンソー(アイリス)との試合はそれを強く感じました。

――チームが1つになれた具体的な理由は?
本橋 今までの羽田は、ちょっと妥協があったり細かいところまで徹底することがあまりなくて、選手もそれに気づけていなかったんです。でも、代表活動で細部までこだわることが強さの秘訣なんだなということを私自身が痛感して。チームに戻ってもキャプテンとして、そこを意識して声掛けするようになりました。そこから選手同士で指摘、刺激し合って1つの方向に向けたんじゃないかなと思っています。一人ひとりがちゃんと自分の役割を理解して、それを遂行できたことが大きかったです。

――本橋選手は、東京羽田と代表の時で役割は違いますか?
本橋 あまり変わらないですね。羽田でも自分で攻めることが多いですし、代表でもピック&ロールから仕掛けることがあるので。個人的にはつながる部分が多くて、助かっているという感じです。

――代表のポイントガードでは、本橋選手のほかに町田瑠唯選手(富士通)と藤岡麻菜美選手(JX-ENEOSサンフラワーズ)も中心選手です。
本橋 2人とも本当に上手いですし、代表で一緒にやれるのは、すごく自分のためになっているなと思います。練習からこんなにバチバチやれるのは、すごくいい環境です。

本橋、町田、藤岡に加え、現在は川井麻衣(三菱電機コアラーズ)が代表の司令塔争いをしている(左)[写真]=兼子慎一郎

――やはり今の段階では、3人で先発の座を争っている状況ですか?
本橋 正直、私はあまりそこはこだわりがないです。まずは自分のやるべきことをやって、結果はあとからついてくると思っています。なので、試合では自分の持ち味、やるべきことをやりきりたいという気持ちが強いです。

――本橋選手になくて、町田選手と藤岡選手にあるもの。反対に、自分にあって2人にないものは何だと思いますか?
本橋 2人は本当にパッシングが上手で、私はそこがまだまだ足りないなって思います。ボールを前にプッシュしたり、散らしたりするのが本当に上手だなって思います。でも、得点力の部分では、ある程度2人に勝っているという意識はあります。

――これからも代表に定着していくイメージはありますか?
本橋 全然ないですね(笑)。どんどん若い子たちも入ってきてますし、上手い子も多いので。私もこのままじゃいけないと思うし、焦りまでとはいかないんですけど、うかうかしていられないです。

――現在の課題は何だと感じていますか?
本橋 今、シュート確率が良くないので、まずはそこを上げていきたいです。あとは、先ほども言ったパッシングが自分に足りない部分だと思うので、自分のチャンスは見逃さないようにしつつ、日本が目指すパッシングバスケットを、もっと思いきりできるようになりたいです。

――31日と6月2日に行われる「バスケットボール女子日本代表国際強化試合2019三井不動産カップ」へ向け、現在のコンディションはいかがですか?
本橋 オフシーズンが長くて対人のバスケットボール感覚がまだ戻っていない部分があるので、まずそこをベルギー戦に向けて調整していかないといけないなっていうのがあります。

2019年も本橋の活躍に期待したい[写真]=田島早苗

――2019年はどんな1年にしたいですか?
本橋 東京オリンピックにつながる大事な1年だと思っています。去年できたことをベースに、そこにパッシングだったり何かをプラスして、もっとステップアップしていきたいです。