2019.07.19

メダル獲得を目標に掲げ、若き女子日本代表が「FIBA U19 女子ワールドカップ2019」に挑む!

バンコク出発直前のU19女子日本代表チームをキャッチ [写真]=加藤誠夫
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

限られた時間の中で目標達成のために可能な限りの準備を遂行

出発の前日までフォーメーションの確認を行う萩原美樹子ヘッドコーチ [写真]=加藤誠夫

「メダル獲得です。これは選手たちと話をして決めました」と、U19女子日本代表の指揮を執る萩原美樹子ヘッドコーチは、今月20日に開幕する「FIBA U19 女子ワールドカップ2019」に向けての目標を語った。

 アジア2位代表で出場する日本は、これまで限られた時間や回数の中で強化を図ってきた。5月にはWリーグのチームに胸を借り、6月にはフランス遠征でU20のフランス、ベルギー、ドイツ、チェコと対戦(結果は1勝3敗)。そして出発直前にはU19アメリカ代表と2試合、味の素ナショナルトレーニングセンターで練習試合を行った(結果は2敗)。

「合宿をやっていく上で5月のWリーグ、6月にヨーロッパ、そして直前にU19アメリカ代表と試合をさせてもらったことで色んな準備ができました。(格上の)Wリーグのチームをはじめ、ヨーロッパはハーフコートオフェンスに慣れる。インサイドの攻防についてはアメリカと対戦するのは絶対に勉強になります。そういう意味ではいい流れで色んなバスケットに対応することができました。しかも最後に一番強いアメリカと試合ができたことは自信になりました。逆にダメージになる場合もあるかなとは思ったのですが、選手たちがよく耐えてくれて、いい準備ができたと思います」と、萩原コーチは、ここまでの強化の手応えを語った。

 メンバーは、昨年のアジア選手権を戦った選手を中心に、世界が相手ということを踏まえてサイズアップ。プレースタイルはそれまでと変わらず、激しいディフェンスから速い攻めで挑む。その中で「ブレイクが出ないとチームの得点は50点ぐらいになります。ペースを上げてブレイクを出すようにすると70点ぐらい取れるようになります」と、指揮官が言うように速攻からの得点は日本の生命線となりそうだ。

 大会の競技方法は、全16チームが、4チームごとに4つのブロックに分かれて予選ラウンドを行い、その後、決勝トーナメントへと進むというもの。日本はグループDに属し、ドイツ、スペイン、コロンビアと予選を戦う。ただ、このグループはヨーロッパ1位のドイツに2位のスペインがいる大混戦のグループ。予選の順位によって決勝トーナメントの対戦も変わるだけに、コロンビア(アメリカ4位)はもちろんのこと、ヨーロッパの2チームにもできるだけ勝利したい。初戦となるドイツ戦が大会を占うようなポイントの試合となるだろう。
 
 2年前の前回大会は過去最高の成績を残すものの、あと一歩でメダルを逃して4位。その先輩たちに悔しさを晴らすためにも、初戦から勢いに乗って日本初となるメダル獲得を狙いたいところだ。
 

2年かけて作り上げたチームを牽引する3名の選手にインタビュー

 最後にキャプテンと得点を担う2名の選手の意気込みをお伝えする。

チームを支える3人に大会に向けて意気込みを聞いた(右から時計回りに石原柚香、東藤なな子、今野紀花)[写真]=加藤誠夫

「ガードとしてまずは速い展開に持って行けるように」石原柚香(SG/愛知学泉大学)

キャプテンの石原柚香は早生まれなので学年は1つ上だが、年齢差を感じさせないチームワークが強みと言う [写真]=加藤誠夫

「キャプテンとしては、チームの雰囲気が悪くなった時に『ここ一本しっかりやろう!』という声を出せるように心掛けているのと、うまくいく選手といかない選手がいる中で、うまくいかない選手に『大丈夫だよ』と声を掛けてあげたいなと思っています。

 学年は全然関係ないです。年下の選手たちも歩み寄ってくれるというか、コートの外だけではなくて、コート中でも何でも聞いてきてくれるので。

 アメリカ代表と2試合しましたが、1戦目は今までいろんなことを練習してきたのに、それをやってみようという気持ちが薄くて。自分たちがやることをやっていなかったので、そういう面でも負けていたと思います。修正して臨んだ2戦目は、とにかくやってみようという気持ちから入ったので、勝ててはいないですが、良いところもたくさんあった試合でした。

 ガードとしては速い展開に持って行けるようにスピードを一番に考えています。点が取れる選手たちばかりですが、任せきりになるのではなく、自分自身でもディフェンスを崩して、そこから攻めやすいようなパスをするなど、周りを生かしていきたいです。自分たちのできることをやってチャレンジャーとして頑張ります」

「ボックスアウトが今大会のカギになると思います」今野紀花(SG/アメリカ・ルイビル大学進学予定)

得点以外でもチームに貢献したいと語る今野紀花 [写真]=加藤誠夫

「U19アメリカ代表のコーチがルイビル大学のコーチなので頑張りたいという思いとU18アジア選手権の時から一緒のメンバーで、そこから積み上げてきたものをしっかりと大会で出してメダルを取りたいという気持ちがあります。

 アメリカとの練習試合は緊張したのですが、(相手の)コーチがハグしてくれて。それですごく安心したし、しっかりと戦えることができたので、ワールドカップに繋がるいい試合になったと思います。

 まずはボックスアウトをして全員でリバウンドを取ること。そして走ることが大事で、個人的にはボックスアウトが今大会のカギになると思うし、意識していることです。

(高校を卒業後)どこのチームにも属してなかったので、一度はコンディションが落ちてしまったのですが、今はどんどん上げてきています。大会では『自分が日本のエースだ』と思えるように。得点もそうなんですが、スタッツに残らないディフェンスやリバウンドでも頑張って存在感を出していきたいです。

 アメリカに行くには(日本で)一番にならないと認めてもらえない、納得してもらえないと思うので、チームでやることを徹底しながら、個人としてもしっかり戦いたいと思います」

「点を取ることと日本らしい足を使うディフェンスが役割」東藤なな子(SG/トヨタ紡織サンシャインラビッツ)

今野とともに得点源として期待される東藤なな子 [写真]=加藤誠夫

「アメリカとの練習試合をしましたが、アンダーカテゴリーの中でもアメリカ代表はトップレベル。日本は速さを武器にしているけれど、アメリカは体の強さに加えて速さもあるので、頭よく使って戦わないといけなかったです。コートの中でも選手たちで解決していかないといけない状況もあったので、それは逆に大きい収穫だったと思います。それにアメリカとやって世界のレベルを把握できたことも、目標のメダル獲得に近付けたのではないかとも思っています。

 チームとして2、3番ポジションの得点を重視してくれているので、まずは点を取ることが一番。それと、ディフェンスでも日本らしい足を使って守るというのも自分の中で役割だと思っています。

 今野さんはドリブルやハンドリングが上手いのでディフェンスを崩して自分でシュートに行ける分、私はスピードを生かしてドライブに行って流れを作るようにしたいです。

 チームとしては2年目なので、味方の動きも分かっています。やりやすいし、楽しいです。まずは、メダルを取れるように頑張ります!」

文=田島早苗

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