2019.07.26

女子日本代表キャプテン対談『東京五輪の金メダル獲得に欠かせない三井不動産カップ』

吉田亜沙美(写真左)と髙田真希の新旧キャプテンが女子代表の過去、現在、未来ついて語り合った [写真]=加藤誠夫
取材歴15年目でミニバス、中学、高校、大学、トップリーグに日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

吉田「センターで体を張っていろんな仕事をしてくれたのはリツには感動」

吉田は「リツは一緒に戦いたいと思っていた選手だった」と振り返った [写真]=加藤誠夫

――一昨年まで一緒に日本代表でプレーしていましたし、Wリーグでは3月まで相手チームとして戦っていました。お互いにどんな存在でしたか?

髙田 私がというより、みんなが知っているリュウ(吉田)さんのすごさを私自身も一緒にやりながら感じていました。一番は全部見えているところ。どこにでもパスが来るし。ちゃんと自分の事を見てくれていて、どういうパスを出した方がいいのかも分かってくれていました。空いたら絶対パスが飛んできますから。それにリュウさんは自分自身でも点が取れるし、ディフェンスもとてもタフ。単純な言葉になってしまうのですが、本当に一緒にやりながらも『すごいな』と思う選手でした。

 昨シーズンのWリーグでは(シックスマンとして)途中から試合に出てきて流れも雰囲気も変える。自分の役割を分かってやっていたと思うし、やっぱりすごいという言葉しか出ないですね。

吉田 リツ(髙田)に関しては、JX-ENEOSとしてデンソーと対戦した時には、リツをどうやって抑えるか、リツの得点をどうやって減らすかをポイントにしていました。やっぱりリツの存在はJX-ENEOSにとっても脅威ですね。

 日本代表では、一緒にやっていて楽しかったです。普段は対戦しているからこそ、日本代表では一緒にやりたいと思う選手でしたね。長い間一緒にやっていたので動き方も分かるし、どこでボールが欲しいとか、スクリーンの掛け方とかそういったことも考えてやっている選手だったので、ガードとしてはとてもやりやすかったです。

――一緒に出た大会で印象に残っていることはありますか?

髙田 アジア選手権(現アジアカップ)で優勝してリオデジャネイロオリンピックを決めた時ですね。あの時の代表活動は始まった段階から、少しバスケットが変わってきたこともあって海外遠征でもフランスとか強豪チームに勝つなど、試合に出ながら充実感はありました。オンボールを使う場面がすごく多かったので、そこでのコンビネーションは通用していたし、いい流れの中、アジアカップ優勝へと繋げていった感じがします。

吉田 私もその時のチームは好きです。オリンピック世界最終予選(OQT)に出てギリギリのところで勝てなかったという経験をしてきた選手が多かったこともあったので、アジア選手権でオリンピック出場を決めたいという強い思いをみんなが持っていたのは確かでしたね。

 でも、私は2年前のアジアカップ3連覇した時。準決勝、決勝とリツがチームをまとめて引っ張ってくれたのは、もちろんメイ(大﨑佑圭/JX-ENEOS)もいたけど、センターで体を張っていろんな仕事をしてくれたのはリツには感動でした。

――ケガにより準決勝から吉田さんが試合に出られなくなって、髙田さんがチームの最年長として戦いましたよね。

髙田 そうですね。あの時、準決勝前に一緒にケアを受けていたんですよ。そしたらドクターが来て、いろいろ話をしている中でドクターストップだということが分かって。ケア室から自分の部屋に帰って、同じ部屋だったメイに、『リュウさん試合に出られないっぽいよ、やばいよ』って言いました(笑)。チームとしてもいい感じの雰囲気だったので、焦りはありましたね。次の日の午前中の練習来てなかったので、これは自分が頑張らないといけないし、まとめないといけないと思って。リュウさんがいなくなるのって、プレーでもそうですけど、コートにいる存在感も大きいので。その辺はすごく動揺していましたし、心配していました。

――でも、吉田さんの代わりにリーダーとして立派に成し遂げたと。

吉田 そうです。それを見て、日本代表もいつ辞めても大丈夫かなと思ったのはありますよ。

――髙田さんは昨年からキャプテンを務めていますが、それぞれ日本代表でのキャプテンとはどんな役割だと思っていますか?

吉田 私がやっていた時は選手個々がしっかりしていたし、目標に向かって一つになっていけるチームになっていたので、私がどうこうしようというのはなかったですね。チームの雰囲気が良くない時に少し言葉を発したとは思うけれど…。

 ただ、練習に対しての姿勢はキャプテンだからこそちゃんとしようとは思っていました。『キャプテンがここまでやっているのだから私も頑張ろう』と思ってもらえるように。あとは選手だけでなく、スタッフからも信頼されるような、そういう関係を作ることも意識していまいた。私はコミュニケーションを取るのが苦手な分、プレーとか練習の態度で示していかないといけないと考えていましたね。

髙田 私もリュウさんと同じで、キャプテンは誰よりも自覚だとか責任、日の丸を背負っている重みを感じないといけないし、リーダーシップもとらないといけない存在だと思っています。

 まさか私が日本代表のキャプテンをやるなんて思っていなかったので、最初はどうしたらいいのかと思いながら、なかなかうまくできないこともあって。トム・ホーバスヘッドコーチには『リュウはこうやってたよ』と言ってもらいたので、リュウさんがやっていることを引き受けながら、参考にしながら、それを自分の形にしていければいいかなと思っています。

 でも、誰でもキャプテンになれるものではないし。自分にしかできないことだと思いながらやっているので、楽しいは楽しいです。

髙田「三井不動産カップは日本のファンに自分たちのバスケを見ていただくいい機会」

日本のファンの前で試合する機会が少ないだけに「三井不動産カップはいい機会」と髙田 [写真]=加藤誠夫

――さて、8月24、25日にチャイニーズ・タイペイとの「バスケットボール女子日本代表国際強化試合2019三井不動産カップ(埼玉大会)」が控えています。今年で3年目となる三井不動産カップですが、それぞれどんな位置付けで臨んでいましたか?

髙田 海外のチームと試合をする機会がそれほどないので、三井不動産カップはとてもいい機会だといつも感じています。自分たちのバスケットがどれだけ通用するかも分かる試合なのですごく大事ですね。なおかつ、日本のファンの皆さんの前で試合ができるということで、しっかりと自分たちのバスケットを見てもらいたいです。そうしてバスケットが盛り上がる一つの要因にもなればいいなと思っています。選手としてはそこで結果を残し、面白いバスケットを見せたいと思って臨んでいます。

吉田 チームの完成度を確かめる大会でもありますね。それとJX-ENEOSのファン、デンソーのファンと、いつもなら違うチームを応援している方たちが日本代表ということで一体になって応援してくれる。それはプレーしている側の選手からしても楽しいし、ファンの方も楽しいのではないかと思います。リツも言ったように、そこで自分たちがどれだけのパフォーマンスを発揮できるか。8月の試合は、オリンピックの会場でもあるさいたまスーパーアリーナが会場なので、すごく盛り上がるのではないかとワクワクしています。

髙田 そうですね。スーパーアリーナでしょっちゅう試合ができるわけではないので、お客さんもたくさん入る中で、その雰囲気を味わえるのもいい機会だと思います。

――三井不動産カップでは試合の後にキャプテンがファンの方に挨拶しますよね。2人との経験がありますが、緊張はするのではないですか?

髙田 緊張しますね。

吉田 いや、しなさそう。

髙田 (笑)。慣れました。言葉を覚えないといけないのはありますけど、その時その時でなんとかなるかなとは思っています。

吉田 私はめちゃめちゃ緊張します。人前で話すのは慣れないですね。だから緊張して言葉を忘れてしまうので、メモを見るんです(笑)※挨拶の時にはメモを見ながら話をしていた。

 考えてきたことを全部言いたいんです。でも、緊張から覚えたことが頭の中から飛んじゃうんですよね。

髙田 私も文章を考えて覚えるんですけど、いざ試合になると試合に集中しているから忘れますね。だから、試合が終わってからもう一度覚えて。そうなると、後で『あれを言い忘れた』というのは出てきますね。すべてを伝えたい思いがあるので、(メモを)読む気持ちはわかります(笑)。私も読みたいです。

吉田 (笑)

――そうしたら8月の試合から読んでもいいのではないですか。

髙田 いや、読もうとしてメモを出したところでだいたい笑いが起きるじゃないですか。それに、あれはもうリュウさんのものです(笑)。

――話は変わって、5月の三井不動産カップで試合をご覧になった吉田さんから今年のチームの印象を教えて下さい。

吉田 あの時はまだチームがスタートして間もない時だったので、チームとして完成はしていなかったと思うのですが、その中で日本の良さは出ていたと思います。ブレイクも出ていたし、3ポイントシュートの確率も良かった。何より選手が楽しそうにやっていたので、見ているこっちも楽しくなりました。すごくいいチームになってるなという印象ですね。今後、どんな成長を見せるのかも楽しみです。

――髙田さんから見た今年のチームの特長は?

髙田 やっていることは前から変わっていないのですが、よりスペーシングを広く取りながら、どんどんアタックをして、3ポイントシュートも狙っていくのが今のスタイルだと思います。5月の試合で足りなかったのはディフェンスのコミュニケーション。連携もうまく取れていなかったので、これからはそれがもっと必要になってくると思います。

――では、最後に髙田さんは8月の三井不動産カップへの意気込み、吉田さんはエールをお願いします。

吉田 チームが掲げているオリンピックで金メダルを取るという目標は難しいことだけれど、トムさんはできないことをできるとは言わない。可能性があるからこその言葉だと思うから、そこは信じて三井不動産カップなどを経験しながら成長していってほしいです。

髙田 まずは勝つこと。自分たちのバスケットを40分間、オフェンスもディフェンスも通してやり切ることが大事になってくると思います。見に来て下さる方も、さいたまスーパーアリーナがどんな会場なのかが分かると思うし、私たちもそこでの雰囲気を味わえると思うので、そういう機会を大事にしたいですね。オリンピックは来年ですが、まずは今年9月のアジアカップに向けていい弾みとなるような試合をしたいです。

女子日本代表のキャプテンシーは吉田から髙田に受け継がれていく [写真]=加藤誠夫

取材・文=田島早苗
写真=加藤誠夫


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