2019.07.29

U19女子W杯を終えた今野紀花が振り返る。「落ち込んでいる暇はない」――ほろ苦い経験も、前向きにとらえる

全日程を終えた今野紀花に直撃。大会を振り返ってもらった [写真]=田島早苗
取材歴15年目でミニバス、中学、高校、大学、トップリーグに日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「FIBA U19 女子ワールドカップ2019」に出場したU19女子日本代表。その中で日本のバスケットファンや関係者から最も注目を浴びたのが今野紀花だろう。夏にはルイビル大学進学のためにアメリカへ経つポイントゲッターは、聖和学園高校(宮城県)時代からユーロステップなど巧みなテクニックとクレバーな動きでひと際目を引く存在だった。その今野が渡米前に参加する最後の大きな大会だけあって、注目度も高かったのだ。

 しかし、高校卒業後から所属がなかったことや「大会に入ってから、心に体が追い付いていなくて、いろいろなことを頭で考えてしまい、頭でっかちみたいになった」といったことも影響して序盤は本来の動きとはいかず。それでも、3戦目(対コロンビア)からは「少しずつディフェンスから守ったり、ディフェンスから走ることを頑張ったり、チームのためにと考えながらやることでプレーも上がっていったと思います」と語ったように、徐々に得点にも絡み、らしさを発揮した。そこには「今まで一緒に合宿から頑張ってきた人たち、今回のメンバーに選ばれなかった人もいる中で、こうやって試合に出させてもらっているからには、やらなきゃいけないし、気分を変えて一戦一戦臨もう」という思いも強かったようだ。

 もちろん、本人は今大会の自身の出来には納得はいっていない。それでも現実を受け止めながら、苦しみながらも戦い抜いた今野に、全7試合を終えての心境、そしてアメリカに向けての話を聞いた。

取材・文・写真=田島早苗

うまくいかない中で何ができるかを必死に模索した7日間

「上手くいかなくなった時にチームのためにできる事を探して一つずつやる」ことを学んだ今野

――振り返ってみて、自分にとってどんな大会になりましたか?
今野
 自分のコンディションを調整するのが難しい時期でしたが、その中で参加させてもらったことはアメリカに行く前としては良かったと思っています。上手くいかなくなった時にチームのためにできる事を探して一つずつやるということを今回学べました。苦しかったですけど、しょうがないし…。今は落ち込むというよりは、これからのことをすごく考えていて、結構前向きな気持ちでいます。

――この時期はチームに所属していないため、コンディションの維持についての大変さはありましたか?
今野
 ありましたが、コンディションを上げるように助けてくれた人もたくさんいるので、その人たちに感謝の気持ちを持ちながらプレーしていました。プレーではうまくいかなかったのが正直なところですが、できることを探して試合に取り組めたことはもう一回大事なことを学んでからアメリカに行くことができると思います。今はポジティブにとらえてるし、やらないといけないことがいっぱいあるので落ち込んでいる暇はないと思っています。

――大会中に聞いた時は気負いもあったと言っていました。
今野
 “できないかも”という不安と“やってやる”という想いがぐちゃぐちゃになって。体も追いつかないし、勝ちにも貢献できていなかったのが悔しかったです。だけど、さっきも言ったように最初の2試合ぐらいはもっとできるのにと思っていたけれど、その後の試合からは自分ができることをやった方がチームにとってもいいと思い、それを探して頑張りました。

――今大会は、奥山理々嘉さんも苦労していましたし、それが世界大会でもあるのでしょうか。
今野
 U19の大会は、色んな選手が高校から新しいチームに入って迎える難しい時期だと思うのですが、その中で今大会も色んな選手が色んな思いを持って戦っていました。リリカも苦しんだと思うし、だからリリカの(初得点となる)3Pシュートが決まった時は、ベンチで(伊森)可琳と抱き合って、涙が出てきました。私もちょっと悩んでいたし、そういう色んな選手の思いが交錯した大会だったと思います。

――活躍することがこの先のアメリカでのバスケットにつながることもあるし、今回のような苦しんだ経験もまたアメリカにつながるのかなと。
今野
 最初はプレーでつなげようと思っていたんですけど、うまくいかないとなって必死に何ができるかってやったことで、いろんなことが見えてきました。みんなに助けてもらって勝った試合もあったし、(東藤)なな子みたいないい選手、日本の同じ世代にそういういい選手がいることがうれしいし刺激にもなりましたね。

――大会を終えた今はアメリカに向けて気持ちも強くなっていますね。
今野
 今回はアメリカ代表のヘッドコーチがルイビル大のジェフ・ウォルツヘッドコーチで、大会中も話すこともできたし、後はアメリカチームにケンタッキーに入る選手もいて。ケンタッキー大はルイビルのライバルなので、そういう人とも知り合えたことで、これからをイメージさせてくれる大会でした。頑張ろうという気持ちがさらに強くなりました。

――プレーで見えてきた課題は?
今野
 自分のプレーを出し切れなかったので、あまりじっくりと考えられないのですが、感じたことはどこのチームもブロックにすごく来る。だからそこで一発でシュートに行こうとするのではなくてキックアウトで数回ボールを回したりとか、ブロックを想定してフェイクでディフェンスを飛ばせてからが必要だと感じました。私はまだそういう感覚が分かっていないので、アメリカに行ったらずっとそういう人たちとやることになるし、そこはアメリカで学べるなと思いました。

――大会休息日に行われたFIBA主催のワークショップもいい刺激になったと言っていました。
今野
 はい。私はすごく楽しくて。『英語話せる人』という問いに他の国の人はみんな手を上げていて、日本はマヤだけ(笑)。改めて英語を身に付けたいなと思ったし、交流の時間も楽しめました。試合では敵だけど、バスケットを通して世界の人と繋がるのは楽しいと感じましたね。

――英語を話せる人で手は上げなかったのですか?
今野
 まだできていないので(笑)。でも、前よりは確実に会話をできるようになっているとは感じました。

――では、最後に日本から応援している人もたくさんいるので、アメリカでの意気込みをお願いします。
今野
 自分がやりたいと思って自分で決めた道だし、やりたいことをしに行くわけだから常に向上心を持って、挑戦する気持ちを忘れないこと。自分らしく高いところを目指して毎日毎日頑張るので、応援お願いします。

大会が終わるといよいと渡米の時が近づく今野。アメリカでの活躍を期待したい [写真]=田島早苗