「FIBA女子オリンピック プレ・クオリファイイング・トーナメント2019(アジア・オセアニア)」の初戦、インドと対戦した日本は120-29と圧勝。その中で両チーム最多となる21得点を奪取したのが宮下希保だ(アイシン・エィ・ダブリュウィングス)。
「試合に出たら自分のできることを精一杯やろう、今までやってきたことや自分の武器を出せたらいいなと思って臨みました」
こう試合を振り返った宮下は、これまでU18女子アジア選手権、U19女子ワールドカップと、アンダーカテゴリーでの国際大会の経験はあるものの、5人制のトップ代表ともなると強化試合なども含めてインド戦が初。その試合でいきなり21得点を挙げたのだ。
世界ランキングで10位の日本に対し、相手のインドは70位とはいえど、その堂々とした戦いぶりに加え、得点だけでなく7リバウンド4アシスト3スティールという数字も残したのだから、見事な“代表デビュー”だったといえるだろう。
🇯🇵@kiho1068 impressive in her outing 🆚 @BFI_basketball 🇮🇳 with 21 points in 24 minutes @JAPANBASKETBALL #AkatsukiFive #FIBAOQT pic.twitter.com/PlTCDieb9T
— FIBA (@FIBA) November 15, 2019
それでも、宮下は落ち着いた口調で「走って点を取ることはできたのですが、ドライブで得点する場面がもう少し増えていたら良かったなと思います」と、自身の武器であるドライブでの得点が少なかったことを課題に挙げた。
これまで3x3の日本代表での活動が多かった宮下は、昨年は「第18回アジア競技大会」で馬瓜ステファニー(トヨタ自動車アンテロープス)らと銀メダル、今年5月にも「FIBA 3x3 アジアカップ2019」に出場し銅メダルと3x3で着実に実績を残してきた。それだけに、今回の5人制での日本代表の招集に関しては「すごく驚いたけれど、与えられたチャンスなので、この場所でやれることはやろうと思っています」と言う。
得意とするドライブに関しては当たりの激しい3x3での経験が生きるのではないかとしながらも、「3x3はコートが広いのですが、5人制になった時にはディフェンスのヘルプが来るので、そこでどう判断するかは不安です」と宮下。
第2戦目はチャイニーズ・タイペイ(世界ランキング32位)、最終戦はオーストラリア(同ランキング2位)と強豪との対戦が待っているだけに楽しみでもありながら、不安でもあるのが正直な心境のようだ。
「緊張は今もありますが、先輩方がいっぱい教えてくれるし、すごく聞きやすいので、それでいろいろ聞きながら自分でやってみようといった感じです」と日を重ねる毎にチームにもフィットしてきた。すでに日本代表として活躍している赤穂ひまわり(デンソーアイリス)をはじめ、梅沢カディシャ樹奈(JX-ENEOSサンフラワーズ)にオコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ)ら同級生の存在も良い刺激となっている。
「思いっきりやろうとは思っているけれど、やり過ぎず。ここにきてすごくチームワークが大事だと感じているので、自分をアピールすることも大事だけれど自分のことだけ考えすぎないようにしています。リバウンドを取ってくれる人がいるので、先頭を走ってもっとブレイクを出したいです」と残り2試合での抱負を語った宮下。
若きポイントゲッターは、初戦の活躍にも浮かれることなく、しっかりと地に足をつけて、与えられたチャンスをつかみ取ろうとしている。
写真・文=田島早苗